| Introduction 序盤アウトライン: |
| 核弾頭2個を搭載したNATO軍の戦闘機が消息を絶つ中、間もなくして国際犯罪組織スペクターから英米両国に2億8千万ドルの支払いが要求される。そんな中、戦闘機の操縦士が事件発生前に死亡していた事を確認していたボンドは、その行方不明の戦闘機に搭乗していたと云う「幽霊」操縦士の妹が滞在するナッソーに飛ぶのだがーー |
| Various Note メモ: |
スペクターとボンドの死闘を描くシリーズ第4弾。イアン・フレミングの原作は、小説リリースの順番では9番目だが、その元々の原型は、映像化を前提に書き下ろされた共同原案。その共同原案を手掛けたのは、生みの親のフレミングと製作のケヴィン・マクロリー、そして、幻のオリジナル版脚本を手掛けたジャック・ウィッテインガム。脚色は「007は二度死ぬ」と「007/ムーンレイカー」を除く「007/消されたライセンス」までの本家シリーズ全作品を手掛けるリチャード・メイボームと「怒りの刑事
(1972)」のジョン・ホプキンス。演出のテレンス・ヤングは「ドクター・ノオ」「ロシアより愛をこめて」に続く3度目にしてシリーズ最後の登板。
以下、完全ネタバレ。未鑑賞の方はご留意下さい。 |
| various novels and movies 原作と映像化作品のリスト: |
| 原作 novels |
映像化作品 movies |
| year |
邦題
別文節の「007号」は省略 |
original title |
year |
title
邦題
|
| 1953 |
カジノ・ロワイヤル |
Casino Royale |
1953 |
US/CBS TV
Climax Mystery Theater
Casino Royale
* Barry Nelson as 007 |
| 1967 |
same |
| 2006 |
same |
| 1954 |
死ぬのは奴らだ |
Live and Let Die |
1973 |
same |
| 1955 |
ムーンレイカー |
Moonraker |
1979 |
same |
| 1956 |
ダイヤモンドは永遠に |
Diamonds Are Forever |
1971 |
same |
| 1957 |
ロシアから愛をこめて |
From Russia with Love |
1963 |
same
007 危機一発
007 ロシアより愛をこめて
|
| 1958 |
ドクター・ノオ |
Dr. No |
1962 |
same
007は殺しの番号
007 ドクター・ノオ
|
| 1959 |
ゴールドフィンガー |
Goldfinger |
1964 |
same |
| 1960 |
007号の冒険
以下5編収録の短編集。
#1: バラと拳銃
#2: 読後焼却すべし
#3: 危険
#4: 珍魚ヒルデブランド
#5: ナッソーの夜 |
For Your Eyes Only
* omnibus as 5 episodes
#1: From a View to a Kill
#2: For Your Eyes Only
#3: Risico
#4: The Hildebrand Rarity
#5: Quantum of Solace |
1981 |
same
007 ユア・アイズ・オンリー |
| 1985 |
A View to a Kill
007 美しき獲物たち
|
| 1961 |
サンダーボール作戦 |
Thunderball |
1965 |
same |
| 1962 |
わたしを愛したスパイ |
The Spy Who Loved Me |
1977 |
same
007 私を愛したスパイ
|
| 1963 |
女王陛下の007号 |
On Her Majesty's Secret Service |
1969 |
same
女王陛下の007
|
| 1964 |
007号は二度死ぬ |
You Only Live Twice |
1967 |
same
007は二度死ぬ
|
| 1965 |
黄金の銃を持つ男 |
The Man with the Golden Gun |
1974 |
same
007 黄金銃を持つ男
|
| 1966 |
ベルリン脱出
以下3編収録の短編集。
#1: オクトパシー
#2: 所有者はある女性
#3: ベルリン脱出 |
Octopussy
* omnibus as 3 episodes
#1: Octopussy
#2: The Property of a Lady
#3: The Living Daylights |
1983 |
same
007 オクトパシー
|
| 1987 |
same
007 リビング・デイライツ
|
|
| release dates 英/米/日本での封切り状況: |
| 東京プレミア:1965年12月9日/NYC:1965年12月21日/日本公開:1965年12月25日/全英公開:1965年12月29日/全米公開:1965年12月29日。(東京での公開が世界最速。また、全国一斉の公開も、全英および全米より4日早い。ちなみに次回作は、日本でのロケーションが敢行される。) |
| a novel and a movie 原作と脚色: |
| 元々は、アーネスト・クネオと云う人物が1959年5月27日に書き上げたアウトラインを参照にしていたと云うオリジナル版の共同原案だが、やがてシリーズ生みの親フレミングとケヴィン・マクロリー、ジャック・ウィッテインガムによって共同原案が立ち上げられる中、その一人ジャック・ウィッテインガムによって書き下ろされたのが"James
Bond, Secret Agent"と云うタイトルのオリジナル版の脚本。そして迎えた1961年、フレミングが個人名義で原作本の出版に踏み切る中、ケヴィン・マクロリーの異議申し立てによって「サンダーボール作戦」ならぬ「サンダーボール訴訟」の係争に。ついては、映像シリーズ処女作と目されていた本作映像化のプランもご破算になる中、「イオンプロ」は「ドクター・ノオ」をリリースする訳だが、一方の係争の方は、1963年11月19日から同月29日までわずか10日間で示談が成立。結果、ケヴィン・マクロリーが5万ポンドの和解金と本作の映像化権利を手にする事に。 |
| 最終的には、手放したはずの「イオンプロ」名義でリリースされる本作だが、その理由は、リチャード・バートンを主演に擁するケヴィン・マクロリーの映像化プランが暗礁に乗り上げたため。やがて、ケヴィン・マクロリーから権利を貸し出されるような形で完成する映像だが、ついては、「イオンプロ」名義でのリリースながらも、アルバート・R.ブロッコリとハリー・サルツマンはノークレジット。フレミングの名前も「原作者」としてではなく、オリジナル版脚本の共同原案という形でクレジットされる。また、次回作を予告するお約束のエンドクレジットも当然なし。ちなみに、向こう10年間は映像化出来ない事も盛り込まれていた示談の取り決めが解禁になる中、83年に登場したのが、あの「ネバーセイ・ネバーアゲイン」。 |
| フレミング以下3者の共同原案が物語の原点という話になれば、最終版の脚色と原作の比較もややこしくなるが、核弾頭を強奪したスペクターが英米相手に2億8千万ドルの支払いを迫る中、ナッソーを舞台にボンドがその阻止に奔走するというアウトラインは、何れの場合も皆同じ。フレミングが出版した小説と最終版の脚色の大きな違いは、ペタッチの替え玉を用意する脚色に対して、フレミングの小説ではペタッチ自身が打算的な一匹狼の野心家として描かれていた辺り。これも要は、NATOの精鋭パイロットたる者が豪遊したかったが為に世界を裏切るというシチュエーションと云うのも、娯楽エンタメではご法度だったと云う事なのだろうが、それぞれを比較する上で最もややこしいのは、ドミノとフィオナという2人の女性キャラを巡る経緯。 |
| ジャック・ウィッテインガム版のオリジナル脚本と最終版の脚色にはドミノとフィオナの2人が登場、一方、2人の人格をドミノ1人に纏めるフレミングの小説にはフィオナは登場しないが、何がややこしいのかと云えば、そもそも初期の脚本にフィオナ(ファティマと云う名前。後年のNSNAではファティマ名義で登場)を登場させていたのも、実はフレミングのアイディアだったと云う経緯。フレミングのその真意を計り知る事は出来ないが、シリーズ生みの親のフレミングであれば、そもそも自身のアイディアだったと云うファティマも登場する内容で執筆したかったはず。と云うより、そもそもが短絡的なプロットの本作に於いて大方のアイディア捻出にも貢献する中、メインキャラ生みの親たる自身が係争の場に足を運ぶというのも甚だアホらしかったに違いない。ましてや、小説の内容は「脚色」されていたのだから。 |
| そんな背景でのゴタゴタはさて置き、フレミングの小説と脚色の違いには、映像と活字の表現スタンスの違いも露にされている。その最たる例は、舞台が異なるクライマックス。小説のクライマックスはあの大海中戦だが、ついては、ドミノが仇のラルゴを仕留めるのも海の中。一方、スリリングなジェットボートのアクションが用意される脚色の方では、その復讐の舞台もボートの船内だが、これも要は、誰が誰かも判別し難い海の中ではインパクトが激減する事も明らかだったため。サメの脅威が描かれる脚色に対して、小説では巨大バラクーダも登場するが、この辺りのややマイナーな怪物魚を思い切る描けるのも、活字ならではの世界。大イカ「クラーケン」や蟹の大群が登場する「ドクター・ノオ」の場合も然り。逆に、風光明媚なバハマの自然と透き通る海の情景を疑似体験出来るのは映像版ならではの楽しみ。 |
| 脚色では、端からナッソーに捜索の的が絞られているが、一方の小説では、お門違いの場所ではないのかと不安を抱くボンドとライターの屈託のない会話が面白い。また、別の場所に隠した核弾頭を回収に向かう最中での脚色版での海中戦だが、小説では核弾頭を攻撃目的地まで運ぶ最中での最終決戦として描かれる。細かい違いは他にも沢山あるが、ついては適宜以下の段落で。 |
| about James Bond ジェームズ・ボンド: |
| 保養所の女性職員パトリシア、女殺し屋フィオナ、ドミノと云う3人のボンドガールとの濡れ場がフィーチャーされるのは、1作目「ドクター・ノオ」以来。遺体に花を添える余裕を2箇所で見せるなどウィットの数でも他作品を凌駕。アストン・マーティンDB5は前作に引き続き2代目が登場。後部の防弾パネルは前作でも登場するが、放水装置は初お目見え。オープニングタイトルにスライドする為の何気に重要な装備。 |
| 後年のシリーズ作では毎度お馴染みの奇想天外な装備だが、そのハシリだったのが冒頭で登場するジェット・パック。これは、ベル・エアロシステムズ社謹製の実在の装備。昨今では「ロト6」のCMにも登場。真ん丸ヘルメット姿のボンドはお世辞にもカッコイイとはいえないが、仰天させられた事は確か。ジェット・パックと云えば、クライマックスの大海中戦では水中型ジェット・パックも登場するが、あまりの勢いで合戦の現場を通り過ぎはしないのかとヒヤヒヤさせられたりも。 |
| ボンドの命を救ったアイテムと云えば、4分間の呼吸が可能なミニチュアボンベと所在地を発信する服用型の放射性カプセル。救難信号用のピストルなんかもその一つ。逆に、危機を招いていたのがカメラ型のガイガーカウンター。ラルゴのアジト「ディスコ・ヴォランテ号」で核弾頭を探索しようとするドミノが窮地に陥る。ちなみに小説でドミノに手渡されるのは、映像版でボンドが使用していた腕時計型の方。 |
| Intro Sequence 冒頭シークエンス: |
| 膝を折り曲げる振付が災いした為か何気にフラつく辺りが気になるが、何れにせよ、1発目のガンショットシークエンスにコネリー自身が登場するのも本作が最初。前作までコネリーのダブルを演じていたボブ・シモンズは、スペクターNo.6の「ブヴァール大佐」として続く冒頭シークエンスでコネリーと対決。ガンショットシークエンスの新旧交代に因んだ粋なキャスティングだったようにも思えるが、これも恐らくは偶然の成り行き。 |
| さまざまなカラー映像と流麗なシルエットが特徴のタイトルデザインは、「ドクター・ノオ」以来の復活となったモーリス・ビンダー。ちなみにモーリス・ビンダーは、後の「消されたライセンス」までの本家シリーズ全作品のタイトルデザインを担当する人物。 |
| トム・ジョーンズが熱唱するテーマ曲はシリーズ屈指の硬派なナンバーだが、元々用意されていたのは、"Mr. Kiss Kiss Bang Bang"と云うナンバー。シャーリー・バッシーの録音を経て、最終的にはディオンヌ・ワーウィックの録音ヴァージョンも用意される中、軟派な歌詞の内容が憂慮された事から急遽差し替えされたのがトム・ジョーンズの歌によるテーマ曲だったが、高めのキーだったメロをそのまま歌いこなしたトム・ジョーンズが、録音中に卒倒したと云う逸話も。これは本人も認める有名な話だが、デジタル機器でのトランスポーズも自由自在な昨今のアマチュア音楽マニアには笑えない話なのかも。それにしても、このテーマ曲は超絶にカッコイイ。トム・ジョーンズの鬼気迫る熱唱も然る事ながら、ボンドのテーマ曲でもお馴染みのクリシェを用いるブリッジのアレンジなど正に完璧。ただ、本シリーズではお蔵入りとなった"Mr. Kiss Kiss Bang Bang"もかなりイイ。スローテンポのレガートに身を任せるだけで昇天出来る。 |
| 一方、女殺し屋フィオナとの決着をつける"Kiss Kiss Club"の場面などでは、"Mr. Kiss Kiss
Bang Bang"のインストスコアもフィーチャーされているが、フツー以上に笑えたのがあのパーカス奏者。パーカス奏者の乱れ打ちを背景に悠長なダンスをする観光客の姿が映し出されているが、あれこそ正に抱腹絶倒。と云うか、シンコペでも何でもないフリーの乱れ打ちだったので。 |
| location 舞台: |
フランス → 英南部 → ナッソー
フランスでの任務を描く冒頭と英南部の保養所のシークエンスを除けば、ナッソーでのワンロケ。風光明媚な自然と大海原のオンパレードだが、最もお気に入りのパフォーマンスだったと云うコネリーのコメントも、ロケーションそのものの素晴らしさがモチベーションを引き出していたと云う事なのかも。カジノやカフェのシーンでは、製作者のケヴィン・マクロリーや製作総指揮に回ったアルバート・R.ブロッコリ夫人のデイナ・ブロッコリもカメオで登場。 |
| enemy ボンドの敵: |
エミリオ・ラルゴ (アドルフォ・チェリ)
Emilio Largo aka SPECTRE #2 (Adolfo Celi)
スペクターのNo.2。犯罪カルテルとも呼べるスペクターには企業的な縦列関係は存在しないが、ブロフェルドの腹心とでも云うべきキャラがこの人。ついては、ブロフェルドのコード番号はNo.1だが、小説ではこの全く逆だった辺りが面白い。組織のボスがNo.2で、部下がNo.1と云うのもフツーではあり得ない話だが、これは病的に臆病なブロフェルドの人格を物語る重要な描写だったようにも思える所。何れにせよ、脚色版でのラルゴのコード番号はNo.2だが、小説との他の違いと云えば、小説のラルゴは眼帯をはめていない辺りだけ。
演じるアドルフォ・チェリは、後年の珍作「ドクター・コネリー/キッドブラザー作戦」にも登場。声の吹き替えを演じたロバート・リエッティは、後年のリメイク作品「ネバーセイ・ネバーアゲイン」では顔も見せているが、ちなみに別資本の両作品に関与する人物は、主演のコネリーとリエッティの2人だけ。 |
フィオナ・ヴォルペ (ルチアナ・パルッツィ)
Fiona Volpe (Luciana Paluzzi)
ボンドガール。冷血な女殺し屋。先の通り、小説の方ではドミノの人格に組み込まれる形で登場しないキャラだが、そもそもの生みの親も他ならぬフレミング。ちなみに、フレミングを中心にするオリジナル版のドラフトでは「ファティマ」と云う名前で登場していたキャラだが、83年のリメイク「ネバーセイ・ネバーアゲイン」では、バーバラ・カレラ演じる女殺し屋の名前として「ファティマ」と云う名前が復活。
英国BSAのA65ライトニングを転がすフィオナだが、カウルに搭載したミサイルでリッピ伯爵を殺害する描写は見せ場の一つ。ちなみに、フィオナそのものが登場しない小説の方では、リッピを殺害するのも別の殺し屋で、ボンドとワイルドなドライヴをするのもヒロインのドミノ。それにしても、ルチアナ・パルッツィはシリーズの並み居る女ヒールの中でも群を抜いてイイ。峰不二子を髣髴とさせるライダースーツ姿も格別だったが、何れにせよ、後年の日本の漫画や邦画が影響を受けていたのも明らかな所。 |
リッピ伯爵 (ガイ・ドールマン)
Count Lippe (Guy Doleman)
スペクターの息も掛かった中華系マフィアのメンバー。脚色では「ドクター・ノオ」にも登場する「トング結社」の一員と紹介されるが、小説では、中華系マフィア「赤雷党」の中でも珍しい非シナ人のメンバーと紹介される。小説ではボンドも舌を巻く超イケメンのヒールキャラとして登場するが、演じるガイ・ドールマンはどう見てもフツーの容姿。脚色の方ではその辺りは目をつむった模様。 |
フランソワ・ダーヴァル aka アンジェロ・パラッツィ操縦士 (ポール・スタッシーノ)
Francois Derval aka Angelo Palazzi (Paul Stassino)
ドミノの兄。核弾頭を搭載する戦闘機パイロットに成りすます人物。小説では、操縦士自らがスペクターの手先として暗躍するが、ブツを受け渡す段階でラルゴの手下ヴァーガスに殺害されてジ・エンド。 |
ヴァーガス (フィリップ・ロック)
Vargas (Philip Locke)
ラルゴ腹心的なキャラ。先の通り、小説ではドミノの兄を殺害する重要な悪役だが、そんなトーンを酌む形で脚色の方でも凶暴性と特異な人格が強調される。 |
ウラディスラフ・クーツ (ジョージ・プラヴダ)
Wladislav Kutze (George Pravda)
ラルゴに協力するポーランドの物理学者。小説では「コッツェ」と云う名の東ドイツの物理学者として登場。脚色では、ドミノを救出した上にその後ろ盾となる善玉キャラとして描かれているが、原作の方では、救いようのないオタクな物理学者として登場。それにしても気になったのが、脚色でのクライマックス。泳げないと云うクーツはボンドに浮き輪を手渡されるが、ボートの大爆発を回避すべくボンドとドミノが水中に潜る中、カナヅチのクーツはどうしたのかなと。ちなみに、核弾頭を積載したボートの爆発については、点火プラグにクーツが細工を施していたというダイアローグが登場する。 |
ヤンニ (マイケル・ブレナン)
Janni (Michael Brennan)
ラルゴの手下。ラルゴ邸に招待されたボンドが、ヴァーガスと釣るんで紹介される悪漢だが、他の数ヶ所でも出番はあるものの、取り分け印象に残る場面もなし。 |
クイスト (ビル・カミングス)
Quist (Bill Cummings)
ボンドの部屋に忍び込むも、返り討ちにされた挙句に「雑魚」呼ばわりされて温情を掛けられる情けない殺し屋。ついては、ドジを踏んだ為にサメの餌食になる訳だが、演じるビル・カミングスには、あのサメのプールに飛び込むスタントで特別ボーナスが支給されたと云う逸話も。ちなみに、ビル・カミングスは、「ムーンレイカー」を除くシリーズ12作目の「ユア・アイズ・オンリー」までスタントで参加する人物。名前付での登場は本作だけ。 |
ブヴァール大佐 aka スペクターNo.6 (ボブ・シモンズ)
Colonel Jacques Bouvar aka SPECTRE #6 (Bob Simmons)
フランスで暗躍していたスペクターの幹部。MI6の2人を血祭りに挙げた事からボンドの怒りを買うヒールキャラだが、巴投げも飛び出すボンドとの壮絶な一騎打ちの果てにジ・エンド。先の通り、演じるボブ・シモンズは、1発目のガンショットシークエンスでコネリーのダブルを演じていた人物。「女王陛下の007」と「黄金銃を持つ男」を除く「美しき獲物たち」までの全作品でスタントを中心に貢献。ちなみに、本作の冒頭でパンチを食らう直前の未亡人のカットは、「女の都
(1980)」のローズ・アルバによる扮装。 |
スペクターNo.5 (フィリップ・ストーン)
SPECTRE #5 (Philip Stone)
英国をテリトリーにするスペクターの幹部。「英列車強盗の顧問料として25万ポンドの売り上げ」と云う台詞のみでの登場。演じるフィリップ・ストーンは、後年のキューブリック作品群や「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」などにも顔を出す俳優。 |
スペクターNo.7 (セシル・チェン)
SPECTRE #7 (Cecil Cheng)
日本をテリトリーにするスペクターの幹部。「藤田と云う名の二重スパイの恐喝事件の売り上げが僅か4000万円だった」と報告するキャラだが、それにしても、この幹部連中の報告の内容はフツーに笑える。演じるセシル・チェンは、シリーズ次回作「007は二度死ぬ」にも出演。 |
スペクターNo.10 (アンドレ・マレンヌ)
SPECTRE #10 (André Maranne)
フランスをテリトリーにするスペクターの幹部。「ソ連に亡命した仏物理学者の暗殺で仏外務省から300万フランを入金」と云う台詞のみでの登場。演じるアンドレ・マレンヌは、「ピンク・パンサー」シリーズでもお馴染みの人物。 |
スペクターNo.11 (ガボール・バラカー)
SPECTRE #11 (Gábor Baraker)
米国をテリトリーにするスペクターの幹部。脚色では「米国での中国麻薬の売り上げ230万ドル」と報告する中、疑惑を抱くブロフェルドに威圧されるキャラだが、周知の通りその結末は、実際に売り上げをピンはねしていたNo.9が黒焦げにされるというもの。ちなみに、小説でも同様の描写が登場するが、疑われるのはNo.7で、殺害されるのはフランス「ユニオン・コルス」の一味のNo.12。 |
スペクターNo.9 (クライヴ・ケイジズ)
SPECTRE #9 (Clive Cazes)
No.11と同様に米国を活テリトリーにするスペクターの幹部。その末路は先の通りだが、No.11に疑いの目が向けられる中、余裕シャクシャクの態度に終始する辺りの描写は小説と同じ。 |
エルンスト・スタブロ・ブロフェルド (アンソニー・ドーソン)
Ernst Stavro Blofeld (Anthony Dawson)
云わずと知れたスペクターの首領。映像シリーズでの登場は2作目「ロシアより愛をこめて」以来2度目。顔を見せない演出も前回に同じだが、一方の小説に登場するのは本作が初。と云うより、スペクターのお披露目となった作品が本作「サンダーボール作戦」だが、ついては、ブロフェルドの経歴も小説では詳しく紹介されている。その主な内容は、国籍はフランスで、英国情報部はもとより、CIAや各国の情報部との取引で巨額の報酬も得ていた謎の人物というもの。と云うか、登場人物には謎でも、読者にはそのキャリアも詳しく説明されているが、ちなみに、本作のヤマをキャリア一番の大仕事としていたものの、失敗に終わったその後の狂気の顛末は、本作以降の原作でも描かれている通り。また、口グセの「満足だ」と云う台詞が、本作の小説では再三強調される。
演じるアンソニー・ドーソンは、「ドクター・ノオ」で悪役デント教授を演じていた人。ブロフェルドの配役では、2作目「ロシアより愛をこめて」に続く2度目の登場。ちなみに声の方は、両作品共にエリック・ポールマンによる吹き替え。「レッド・サン」や「バラキ」など後年もメジャー作品に名を連ねるアンソニー・ドーソンだが、他の面白い所では、シリーズきっての超絶パロディとも云える67年の「ドクター・コネリー/キッドブラザー作戦」(コネリーの実弟が主演。バーナード・リーやロイス・マクスウェルのシリーズ御馴染みの面々やダニエラ・ビアンキも出演)にも登場。 |
| company ボンドの仲間: |
M (バーナード・リー)
M (Bernard Lee)
MI6長官。演じるバーナード・リーは、11作目「ムーンレイカー」まで本家シリーズ全作品に登場。前作に引き続き今回も執務室を出るMだが、その役柄はいつもと同じ。一方、小説版でのMの貢献度は極めて高い。と云うのも、核弾頭の強奪と巨額の現金の要求に浮き足立つ中、誰もが予測し得なかったバハマを怪しいと睨んだのも、他ならぬこの人だったから。ちなみに脚色での筋立ては、操縦士の遺品から発見されたドミノの写真とその行方によってバハマに目星が付けられるというもの。 |
ミス・マネーペニー (ロイス・マクスウェル)
Miss Moneypenny (Lois Maxwell)
Mの秘書。と云うより、ボンドガールのお局的な重要キャラ。演じるロイス・マクスウェルは、14作目「美しき獲物たち」まで本家シリーズ全作品に登場。帽子掛けが入り口の手前に移動されている中、肩を落すボンドの場面はフツーに笑えるが、後に登場するMを老人呼ばわりするマネー・ペニーのセリフは、Mがナチュラル指向の保養所の信奉者と化している事を長々と皮肉る小説の台詞を寸鉄で踏襲したもの。ダイアローグに登場する「レモネード」と云う台詞も小説から引用。 |
Q (デスモンド・ルーウェリン)
Q (Desmond Llewelyn)
秘密兵器を製造調達するMI6「Q」課の責任者。演じるデスモンド・ルウェリンは、シリーズ処女作「ドクター・ノオ」と「死ぬのは奴らだ」を除く「ワールド・イズ・ノット・イナフ」までの映像全作品に登場。前作に続く2度目の登場となった本作では、現地でボンドと合流。シビアな台詞にも前作ほどのトゲがない。 |
マダム・ラポルテ (ミツーコ)
Madame LaPorte (Mitsouko)
ボンドガール。冒頭シークエンスに登場するフランスの現地協力員。フランスと云えば、あのマチスが所属する情報機関「参謀本部第二課」が度々登場する小説だが、このマダム・ラポルテも恐らくはその一人。ただ、脚色版には、仏参謀本部第二課は登場せず。演じるミツーコは、ミツコと発音したくなるような日本人女性にも見えるが、パリ出身で数作品の映像作品に出演した後、90年代に他界した情報以外の詳細は不明。 |
ドミニク・ダーヴァル aka ドミノ (クローディーヌ・オージェ)
Dominique Derval aka Domino (Claudine Auger)
ボンドガール。ラルゴの愛人。先の通り、小説では女殺し屋の人格も併せ持つ形で描かれるキャラだが、脚色では殺害される兄と同様に被害者モード100%の善良なトーンで描かれる。小説では「ドミネッタ・ヴィタリ」と云うイタリア人女性だった一方、フランス人女性に脚色されていたのは、ミス・フランスの肩書きを持つクローディーヌ・オージェが、イタリア人という設定ではシャレにもならなかったと云う事。ちなみに、ボンドとドミノの浜辺でのダイアローグは小説のツボを押さえた忠実な内容だが、脚色ではラルゴの拷問から逃れるドミノも、小説の方では拷問の餌食に。
イオンプロの推薦のラクエル・ウェルチがザナックに退けられる中、デビュー前のフェイ・ダナウェイやジュリー・クリスティなどを押し退ける形になったクローディーヌ・オージェだが、ラクエル・ウェルチはさて置き、先の2人のスレンダーすぎる容姿を考慮すれば、然程の難関でもなかったように思える所。と云うより、クローディーヌ・オージェがシリーズでも屈指の美女だった事は紛れもない事実。その顔立ちからスタイルまでどれを取ってもとにかく凄い。このレベルになれば、好みのタイプ云々といった話でもなくなると思うが、ついては、ルチアナ・パルッツィとの顔合わせもシリーズでは最強の美女タッグ。ちなみに、後年の「タランチュラ」では微妙な役を演じるクローディーヌ・オージェだが、やはり本作の撮影当時が彼女の全盛期。
クローディーヌ・オージェの声の吹き替えは、「ドクター・ノオ」ではウルスラ・アンドレスの吹き替えを演じていたニッキ・ファン・デル・ズィル。また、邦盤の宣材ではボンベを背負う姿もレイアウトされているが、実際の映像には登場せず。 |
フェリックス・ライター (リク・ファン・ヌッター)
Felix Leiter (Rik Van Nutter)
CIA情報員。義手である事が強調される原作のライターは、CIA局員にも復帰する中、クライマックスの大海中戦にも参加する活躍を見せるが、脚色の方ではボンドお抱えのヘリの操縦士といった控えめなトーン。演じるリク・ファン・ヌッターは、シリーズ2作目「ロシアより愛をこめて」の看板でもお馴染みのアニタ・エクバーグの撮影当時の夫だった人。3代目にして後のシリーズ作にも名前を連ねると思われていたファン・ヌッターだが、実際は本作だけで降板。 |
パトリシア・フィアリング (モリー・ピーターズ)
Patricia Fearing (Molly Peters)
ボンドガール。保養所の女性職員。演じるモリー・ピーターズは、何処となくジェニファー・ティリーにも似た迫力系美女。ボンドに迫られる中、シャワールームの前でためらう姿も実にわざとらしいが全く憎めず。ちなみに、別れを惜しむパトリシアに対してボンドが口にする"another
time, another place,"と云うダイアローグは、58年のコネリーの出演作"Another Time, Another
Place"へのオマージュ。 |
ポーラ・カプラン (マルティーヌ・ベズウィック)
Paula Caplan (Martine Beswick)
ボンドガール。ボンドの仲間の女性情報員。小説には登場しないキャラだが、83年の「ネバーセイ・ネバーアゲイン」では同様の末路を辿る女性情報員が登場。演じるマルティーヌ・ベズウィックは「ロシアより愛をこめて」以来2度目の出演。格闘するジプシー女性役だった前回だが、ダイアローグも登場カットも多い本作では、そのアピール度も前回を凌駕。 |
ピンダー (アール・キャメロン)
Pinder (Earl Cameron)
現地の協力員。前段のポーラと同様、小説には登場しないキャラだが、強いて云えば、地元警察のサントスという巡査がそのキャラ色にやや近い。ピンダーというキャラ名については、小説の方のフェリックス・ライターの「ピンカートン」と云う探偵時代の肩書きを踏襲していたようにも思える所。演じるアール・キャメロンは、51年から70年代終わりまで俳優業を続けるも長期休業状態に入るが、05年の「ザ・インタープリター」や06年の「クィーン」など立て続けのメジャー作品出演で復帰を果した謎の人。 |
キス・キス・クラブの女性客 (ダイアン・ハートフォード)
Girl in Kiss Kiss Club (Diane Hartford)
ボンドガール。女殺し屋フィオナらの一団に追われるボンドが、カモフラージュでダンスに誘う赤いドレスの美女。演じるダイアン・ハートフォードは、ロケ地となった「パラダイス島」の所有者ハンティングトン・ハートフォード夫人。ハートフォード氏の名前もエンディングでクレジットされる。セレブのダイアン・ハートフォードにとっては映画出演もシャレのようなものだったはずだが、何と06年の「カジノ・ロワイヤル」でシリーズに復帰。ちなみにその配役は、カジノのテーブルでカードに興じるマダムの役。 |
プルー (スージー・ケンドール)
Prue (Suzy Kendall)
ボンドガール。中盤のカードのシーンでボンドの右隣に座る美女。演じるスージー・ケンドールは、本作への出演当時は「殺しのエージェント」でデビューを果したばかりの新人女優だったが、後年のマカロニサスペンス/ホラー系の作品では圧倒的なファンを獲得する人気女優。「歓びの毒牙」や「影なき淫獣」などのジャーロ系作品での好演が最も著名。 |
| Various Note メモ: |
| 紆余曲折を経た脚本とフレミングの小説も然程変わらぬ印象だが、それもプロットそのものや大雑把な筋立てでの話。シリーズでも最高の美女2人を揃える中、エンタメ度も過去の3作品とはダンチで違う映像は、正に娯楽度100%。のっけから飛び出す空飛ぶ秘密兵器や戦闘機ジャック、美女が転がすミサイル装備の2輪アクション、怒涛の海中アクションなど陸海空を網羅するエンターテインメントは、後のシリーズを控えた製作スタッフの頭を悩ませたはず。そんな視覚要素の数々は、70年代以降のエンタメ路線のシリーズ原点とも云えるものだが、そもそもこれが60年代中番の映像だったと云う辺りが凄すぎる。パナヴィジョンのワイドスクリーンで撮影されたのも本作が最初。ちなみに、65年度の米アカデミーでは「特殊視覚効果賞」を受賞した特殊効果チームのジョン・スティアーズだが、これはシリーズ2度目のオスカー。 |
| 世紀の美女をベルトなしで抱きかかえたまま空に舞い上がるエンディングにはヒヤヒヤさせられたりもするが、この辺りはご愛嬌。と云うより、係争を経て形式上の映像権利をもぎ取られる中、一時的に中座させられるような形にもなったイオン側のアイロニーだったような気もする所。ついては、次回作の予告テロップも登場しなかった訳だが、何れにせよ、どのパートから何度観ても楽しめるこの作品、"Westrex
Recording System"でのモノ収録だったオリジナル音声をステレオ処理したリマスターDVDでの鑑賞もかなり楽しい。個人的には、シビア度も増す83年の「ネバーセイ・ネバーアゲイン」も大のお気に入り。 |