| Introduction 序盤アウトライン: |
| マイアミ。メキシコでの任務を終えたばかりのボンドが、休養先のホテルで高額掛金のカードゲーム詐欺の現場に遭遇する。その加害者の男ゴールドフィンガーの詐欺の手口を見破ったボンドは、詐欺の片棒を担がされていた若い女性ジルを口説き落とす中、ゴールドフィンガーに一泡吹かせる事に成功するが、やがて待ち受けていたのは、裏切り者とみなされたジルの命が奪われると云う最悪の結末だった。間もなくしてロンドンへ戻ったボンドは、奇しくも金の密輸に手を染めるゴールドフィンガーの身辺調査を命じられるが、やがて浮かび上がったのは「グランドスラム」と名付けられた史上最悪の鬼畜の如き犯罪計画だったーー |
| Various Note メモ: |
極悪人ゴールドフィンガーとボンドの対決を描くシリーズ第3弾。イアン・フレミングの原作は、小説リリースの順番では「ドクター・ノオ」に続く7番目。脚色は「007は二度死ぬ」と「007/ムーンレイカー」を除く「007/消されたライセンス」までの本家シリーズ全作品を手掛けるリチャード・メイボームと「戦慄の七日間」「オリエント急行殺人事件
(1974)」のポール・デーン。演出は「ダイヤモンドは永遠に (1971)」「死ぬのは奴らだ (1973)」「黄金銃を持つ男 (1974)」以上3本のシリーズ作も手掛けるガイ・ハミルトン。
以下、完全ネタバレ。未鑑賞の方はご留意下さい。 |
| various novels and movies 原作と映像化作品のリスト: |
| 原作 novels |
映像化作品 movies |
| year |
邦題
別文節の「007号」は省略 |
original title |
year |
title
邦題
|
| 1953 |
カジノ・ロワイヤル |
Casino Royale |
1953 |
US/CBS TV
Climax Mystery Theater
Casino Royale
* Barry Nelson as 007 |
| 1967 |
same |
| 2006 |
same |
| 1954 |
死ぬのは奴らだ |
Live and Let Die |
1973 |
same |
| 1955 |
ムーンレイカー |
Moonraker |
1979 |
same |
| 1956 |
ダイヤモンドは永遠に |
Diamonds Are Forever |
1971 |
same |
| 1957 |
ロシアから愛をこめて |
From Russia with Love |
1963 |
same
007 危機一発
007 ロシアより愛をこめて
|
| 1958 |
ドクター・ノオ |
Dr. No |
1962 |
same
007は殺しの番号
007 ドクター・ノオ
|
| 1959 |
ゴールドフィンガー |
Goldfinger |
1964 |
same |
| 1960 |
007号の冒険
以下5編収録の短編集。
#1: バラと拳銃
#2: 読後焼却すべし
#3: 危険
#4: 珍魚ヒルデブランド
#5: ナッソーの夜 |
For Your Eyes Only
* omnibus as 5 episodes
#1: From a View to a Kill
#2: For Your Eyes Only
#3: Risico
#4: The Hildebrand Rarity
#5: Quantum of Solace |
1981 |
same
007 ユア・アイズ・オンリー |
| 1985 |
A View to a Kill
007 美しき獲物たち
|
| 1961 |
サンダーボール作戦 |
Thunderball |
1965 |
same |
| 1962 |
わたしを愛したスパイ |
The Spy Who Loved Me |
1977 |
same
007 私を愛したスパイ
|
| 1963 |
女王陛下の007号 |
On Her Majesty's Secret Service |
1969 |
same
女王陛下の007
|
| 1964 |
007号は二度死ぬ |
You Only Live Twice |
1967 |
same
007は二度死ぬ
|
| 1965 |
黄金の銃を持つ男 |
The Man with the Golden Gun |
1974 |
same
007 黄金銃を持つ男
|
| 1966 |
ベルリン脱出
以下3編収録の短編集。
#1: オクトパシー
#2: 所有者はある女性
#3: ベルリン脱出 |
Octopussy
* omnibus as 3 episodes
#1: Octopussy
#2: The Property of a Lady
#3: The Living Daylights |
1983 |
same
007 オクトパシー
|
| 1987 |
same
007 リビング・デイライツ
|
|
| release dates 英/米/日本での封切り状況: |
| ロンドン・プレミア:1964年9月17日/NYC:1964年12月22日/ハリウッド:1964年12月25日/全米公開:1965年1月9日/日本公開:1965年4月24日。 |
| a novel and a movie 原作と脚色: |
| 金塊の貯蔵庫フォートノックスを「ターゲット」にするゴールドフィンガーとボンドの対決を描く辺りの大雑把な筋立ては原作に同じだが、共通するメインキャラの背後設定からその末路をはじめ、ゴールドフィンガーの犯行を描く辺りまでかなりのメスの跡が。具体的な大きな違いは、フォートノックスの金塊そのものをターゲットにしていた原作のゴールドフィンガーに対して、こちらの脚色では、金塊を核汚染する事で金の市場価値を操作しようとしていた辺り。 |
| 約6万人の住民のうち約2万人が何らかの形で警備に携わると云うフォートノックスの周辺事情だが、その6万人の市民を服毒させる形で殺害した後、検疫も済まされぬ地域には州兵や軍隊も出動できない状況下で計画を実行するという筋立てまでは両者同じ。端的に云えば、莫大な金塊を持ち逃げするかしないかの違いだった両者だが、よくよく考えてみれば、検疫も済まされぬ地域に赤十字を装って進入するという行為そのものが鬼門のはず。ましてやあの莫大な量の金塊を持ち逃げするとなれば、その後の展開はもとより、その最中ですら遠方からの監視の目に曝される事は必至。 |
| 騒じょうから間もなくしてタッチ&ゴーで犯行を行えるという話になれば事情もやや変わるはずだが、莫大な金塊を持ち出す手間が伴えばそれも無理な話。この辺りを「核による汚染」で一瞬の犯行手順に置き換えていた脚色はこの上なくスレンダーだったが、そのプロセスの描写についてはどちらもどちらという感じ。水道に毒を盛る事で市民の殺傷を図る原作の描写については、その惨状の過程で部外者が市街地に雪崩れ込む事も必至。一方、セスナ機から毒を散布する事でタッチ&ゴーでの犯行に及ぶ脚色の方もやや短絡的。と云うより、リアリズムにもやや乏しい。 |
| 結果的には、原作・脚色共に犯行を事前に察知した当局の芝居が展開されていた訳だが、それにしてもという話。致死性100%の速攻型化学兵器などの場合、僅かな目方でも惨劇に至らしめる事が可能な訳だが、要は、枯葉剤を散布するベトナムの情景のように見えてしまったと云うド素人の戯言と云う事で。ちなみに脚色の方では、速攻性のガス兵器を散布するセスナの女パイロットたちがガスマスクを装着していなかった辺りにも違和感が。 |
| ただ、フォートノックス襲撃というシュールな原作モチーフを大命題とする中、軽快なテンポとスリリングな演出で見せる脚色が面白かった事も事実。「核による汚染」と「市場操作」と云うアイディアに置き換えられる中、予想外の贈り物にビックリさせられるような脚色だが、何れにせよ、似ているようで似ていないという点では、最も楽しめたのが本作だった。それぞれに違う細かいモチーフについては以下の段落で。 |
| about James Bond ジェームズ・ボンド: |
| いわゆる特別装備のボンドカーが登場するのは、映像シリーズでは本作が初めて。前作「ロシアより愛をこめて」でも自動車電話を装備した夢のボンドカーが登場するが、煙幕やオイル、防弾壁に脱出シート(と云うより嫌なヤツを追い出すシート)、相手の車をパンクさせる装置、カーナビを思わせるような追跡装置などが装備されたアストン・マーティンDB5は、後年シリーズのスーパーボンドカーの正に原点。ちなみに、原作にも登場するAMだが、その装備は「ホーマー」と云うそのものズバリの名前のラジオ発信機だけ。 |
| "Bond, James Bond"と云うお馴染みの自己紹介のラインも、1度は遮られるものの2箇所で登場。オナー・ブラックマン相手に背負い投げも披露。原作でも描かれるゴールドフィンガーとのゴルフ勝負だが、そのオチは同じながらも、原作の描写はかなり長い。脚色の方でゴールドフィンガーのキャディを務めるのはオッド・ジョブだが、原作ではクラブの人間。ボンドのキャディも顔なじみという設定。 |
| ピンチの場面については、最初から最後まで殆どの描写が異なる。脚色では最先端の熱線ビームでピンチに陥るボンドだが、原作に登場するのは丸鋸。と云うか、丸鋸が股間に迫ってくる方がヒヤヒヤしたりするが、ゴールドフィンガーに解放される理由も原作と脚色では全く違う。計画漏れを示唆された事で已む無くボンドを解放する脚色版のゴールドフィンガーだが、何と原作のゴールドフィンガーが解放する理由は、ボンドを秘書にするため。ついては、ボンドがMI6のスパイだと云う事がバレるのもクライマックスでの事。 |
| グランドスラム計画についても、ゴールドフィンガー本人から耳にする原作のボンドだが、脚色版でのこの辺りの描写には強烈な違和感が。と云うのも、端から殺害するつもりだったマフィアの幹部連中にゴールドフィンガーがわざわざ計画を説明していたため。安心させておいて首を取ると云う見方も出来るが、如何せん施錠した部屋に毒ガスを流し込むだけで済んだ話。おまけに、賛同しなかったマフィアの一人を屋外で殺害するという手間までが発生した訳だが、仮にその殺害に失敗でもしていれば、計画が外部に漏れる危険もあったはず。何れにせよ、床下に潜り込んでいたボンドに計画を盗み聞きされる中、その計画の実態をボンドから聞かされたプッシーが寝返った事で大失敗に終わる計画だが、この辺りの筋立てはやはりスマートじゃない。原作のように、事の後でマフィアを殺害すると云う筋立てであれば良かったのだが。ただ、米国のギャングスターを殲滅するシーンの異様な殺気が作品を引き締めていた事も確か。実に微妙な所。 |
| Intro Sequence 冒頭シークエンス: |
| 歌モノのテーマ曲がフィーチャーされるのはシリーズ初。トラッドにもなりつつある超有名なナンバーだが、昨今のカラオケなどでも御馴染みでないと云うのも、あまりに凄いシャーリー・バッシーの歌唱力と真似出来るようにも思えないド迫力。ちなみに、シリーズ7作目の「ダイヤモンドは永遠に」でもテーマ曲を歌うシャーリー・バッシーだが、1人のアーティストが2作品のテーマ曲を歌うというのも実は彼女だけ。と云うより、毎度おなじみという形で毎回登場しても違和感ないほどのインパクトだと思うのだが。 |
| 金粉仕立ての美女をスクリーンにさまざなま名場面を映し出すタイトルデザインは、前作に引き続きロバート・ブラウンジョンが担当。ロバート・ブラウンジョンがタイトルデザインを手掛けるのもシリーズでは本作が最後(1作目はモーリス・ビンダー)だが、ここでのインパクトはかなりのもの。本作のショットのみならず、過去のシリーズ作も映し出す映像だが、ちなみに郵便集配車をフィーチャーするカットは本作の未発表映像だったとの事。 |
| 革命資金を断ち切る任務を描く冒頭シークエンスについては、脚色では具体的ロケーションは明らかにされていないが、原作を参照にすればあの冒頭の舞台はメキシコ。ただ、その内容は革命ではなく麻薬絡みの任務でエピソードの中身も長い。続いてマイアミに出向くという流れも、飛行機事故によるトラブルからマイアミに立ち寄る事を余儀なくされると云うもの。ついでに云えば、マイアミでゴールドフィンガーにカモられる人物も、ボンドの顔見知りという設定。ちなみにその人物とは、あの「カジノ・ロワイヤル」のカードの席でボンドの隣に座っていたと云う人物。 |
| location 舞台: |
メキシコ → マイアミ → 英国(ゴルフのシーン) → ジュネーヴ → ケンタッキー
フォートノックスを構える米ケンタッキーがメインの舞台だが、冒頭のメキシコ、ゴールドフィンガーとの因縁が勃発するマイアミ、その第2ラウンドをゴルフに置き換える英国、AMのカーアクションとボンドの窮地を描くジュネーヴと、欧米の情緒をそれなりに味わえるのも本作の特徴。ケンタッキーのワンシーンでフィーチャーされるC&Wのスコアもピンポイントで印象的。 |
| enemy ボンドの敵: |
オーリック・ゴールドフィンガー (ゲルト・フレーベ)
Auric Goldfinger (Gert Fröbe)
金の密輸で市場価格を破壊する犯罪者。脚色では英国人と述べるだけにとどまっているが、原作によれば、祖国がロシアに併合される事を察知する中、二十歳でリガから英国に亡命した元はラトビア人。英国各地で質屋を営む中、その際に細々と仕入れた貴金属が後のビジネスの原点。そんなバックグラウンドはさて置き、原作と脚色での大きな違いは、原作ではゴールドフィンガーの後押しをしていたのはあのソ連の公的殺人機関スメルシュだった一方、脚色では単独犯として描かれていた辺り。ちなみに、コネリー主演の作品でスペクターが登場しないのは本作だけ。
金塊を持ち逃げするかしないかが大きく違う原作と脚色だが、フォートノックス周辺の約6万人もの住民を殺害しようとする辺りの極悪人ぶりは双方一緒。ただ、最後の最後までボンドの正体に気付かぬばかりか、ボンドを秘書にしてしまう原作のトーンはやや微妙。序盤のカード詐欺の場面でも耳が遠いフリをするなど芸も細かい。ちなみに脚色では、気圧の落ちた飛行機から押し出されるゴールドフィンガーだが、原作の方で同様の末路を辿るのはオッド・ジョブ。ゴールドフィンガーはボンドとの一騎打ちの果てに息絶えるという展開。それにしても、油ギトギトの憎まれオヤジ型ヒールのゴールドフィンガーだが、演じるゲルト・フレーベは、十代の頃はヴァイオリニストとして活躍していた人物。マフィアの幹部相手に冗舌ぶりを披露する辺りでは、その芸人的なポテンシャルも発揮されていた。ゲルト・フレーベの声の吹き替えはマイケル・コリンズ。 |
オッド・ジョブ (ハロルド坂田)
Oddjob (Harold Sakata)
ゴールドフィンガーの用心棒。原作でもほぼ同様のキャラ色で登場する東洋人の殺し屋だが、その血統は朝鮮人との事。ゴールドフィンガーが英国での闇家業に乗り出した頃、朝鮮人を雇っていた理由は、英語には堪能でない事から秘密の漏洩もないだろうと踏んでの事。ついては、金の加工工場でも朝鮮人の手下が大挙登場。そんな中でもゴールドフィンガーの右腕として名前の通りのよろず役に奔走するオッド・ジョブだが、あのトレードマークの帽子や怪力ぶりはさて置き、脚色の方では、ボンドを唖然とさせる「空中とび蹴り」は描かれず。ゴルフクラブのスタチューの首を跳ね飛ばす帽子のシーンも原作には登場しない。
原作と脚色の大きな違いはその末路。脚色では、トレードマークの帽子が災いする形でフォートノックス内で感電死するオッド・ジョブだが、原作での最期は、気圧の下がったニセのチャーター機から押し出されるというもの。ついては、脚色版でのゴールドフィンガーの最期は、原作でのオッド・ジョブの最期を踏襲したオチだったと云う事。ちなみに、脚色版では台詞を一言も発しないオッド・ジョブだが、原作ではゴールドフィンガーにだけ伝わる独自のセンテンスが1行だけ登場。
演じるハロルド坂田は、ハワイ・オセアニア界隈では名の知れたプロレスラー出身の人物だが、そのオーディションや子供たちに取り囲まれる映像などは、DVD等に収録されたアーカイヴでもお馴染み。他に55年「力道山物語/怒涛の男」や74年「ザ・レスラー」などのドキュメントや、66年の劇場長編「海と女と泥棒と」やTVドラマにも出演。 |
キシュ (マイケル・メリンガー)
Kisch (Michael Mellinger)
ゴールドフィンガーの秘書。ゴールドフィンガーに見捨てられる状況下、とち狂ったオッド・ジョブに階下に突き落とされてジ・エンド。 |
マーティン・ソロ (マーティン・ベンソン)
Martin Solo (Martin Benson)
マフィアのボス(テリトリーは不明)。船舶関連にコネを持つマフィアだと云う事は脚色でも明らかに。脚色では、計画にはただ一人賛同しない中、ゴールドフィンガーに別口で殺害される人物だが、原作でこれに該当するキャラクターは、脚色には登場しないヘルムート・M.スプリンガーと云うデトロイトのボス。ちなみに、結局は全員消される事になる原作だが、その結末は、計画に失敗して逃げる途中で殺害されるというもの。 |
ミッドナイト (ビル・ネイギー)
Midnight (Bill Nagy)
マイアミのボス。原作にも登場するマフィアだが、一方の脚色の方で名前が明かされるのは、このミッドナイトと前段のマーティン・ソロだけ。後はその他と取り巻き十数名という扱い。逆に原作の方は、総勢6名のボスだけが登場。演じるビル・ネイギーは、後年の「007は二度死ぬ」にも出演。 |
ミスター・ストラップ (ハル・ガリーリ)
Mr. Strap (Hal Galili)
ヴェガスのボス。前段の通り、スクリプトには登場しない名前。ついては、誰がストラップだったのかという辺りについても、俳優ハル・ガリーリの顔を知らなければ永遠の謎。「ヴェガスのボス」と云う肩書きは、原作を参照にしたもの。 |
カプンゴ (アルフ・ジョイント)
Capungo (Alf Joint)
メキシコの悪党。「カプンゴ」と云う名前は、ナチュラルボーンナ悪党を指すメキシコの俗語。冒頭シークエンスでボニータの瞳に映った事でボンドの反撃を食らう中、感電してジ・エンドになるあの有名なキャラがこの人。ただ、脚色の方でも「カプンゴ」と名付けられこの人物、革命に身を投じていた人物なのだから「悪党」呼ばわりするのもかなり微妙な所。 |
ボニータ (ナージャ・レジン)
Bonita (Nadja Regin)
ボンドガール。カプンコに協力するバーのダンサー。背後から忍び寄るカプンゴを瞳に映し出していたのがこの人。演じるナージャ・レジンは、前作「ロシアより愛をこめて」に引き続いての登場。ボンドともダイアローグを交わす事もなかった端役のボンドガールだった前作だが、ボンドとのキスシーンもフィーチャーされる本作では、あの名場面の引き立て役に。シリーズ2作品に連続で顔を出す珍しいボンドガール。 |
ミスター・リン (バート・クウォーク)
Mr. Ling (Burt Kwouk)
核の専門家。核にまつわるモチーフが登場しない原作には云うまでもなく登場せず。脚色では、ボンドが熱線ビームの危機に曝されるシーンやクライマックスで登場。サバイバルに奔走するゴールドフィンガーに射殺されてジ・エンド。演じるバート・クウォークは、「ピンク・パンサー」シリーズでもおなじみの人。21世紀以降も「キス・オブ・ザ・ドラゴン」や「すべては愛のために」に出演。 |
メイ・リー (マイ・リン)
Mei-Lei (Mai Ling)
ボンドガール。ゴールドフィンガーの自家用機の添乗員。原作には登場せず。施錠された部屋でボンドを監視するシーンはフツーに笑える。演じるマイ・リンは、シリーズ5作目の「007は二度死ぬ」にも登場。 |
| company ボンドの仲間: |
M (バーナード・リー)
M (Bernard Lee)
MI6長官。演じるバーナード・リーは、11作目「ムーンレイカー」まで本家シリーズ全作品に登場。普段は執務室を出ないMだが、今回はボンドとスミザース大佐を交えての会合の場所にも登場。 |
ミス・マネーペニー (ロイス・マクスウェル)
Miss Moneypenny (Lois Maxwell)
Mの秘書。と云うより、ボンドガールのお局的な重要キャラ。演じるロイス・マクスウェルは、14作目「美しき獲物たち」まで本家シリーズ全作品に登場。本作では、帽子を投げるボンドのお株を奪うシーンも登場。 |
Q (デスモンド・ルーウェリン)
Q (Desmond Llewelyn)
秘密兵器を製造調達するMI6「Q」課の責任者。演じるデスモンド・ルウェリンは、シリーズ処女作「ドクター・ノオ」と「死ぬのは奴らだ」を除く「ワールド・イズ・ノット・イナフ」までの映像全作品に登場。シリーズデビューとなった本作では、オチなしでのシビアな台詞を連発する。シリーズ前2作でのキャラ名は「ブースロイド少佐」。 |
プッシー・ガロア (オナー・ブラックマン)
Pussy Galore (Honor Blackman)
ボンドガール。ゴールドフィンガーお抱えのパイロット。脚色では「フライング・サーカス」と云う航空アクロバットの一団を率いる人物だが、原作でのキャラは女強盗団の女ボス。原作にも「サーカス」と云うラインは登場するが、原作の方のサーカスは、サーカスはサーカスでも人間が中を舞う方のサーカス。その役柄は、空中サーカスのエキスパートだった女性が紆余曲折を経て女強盗団のボスになる中、ゴールドフィンガーに招聘されるというもの。「プッシー」と云うかなり微妙な名前については、強盗団の女ボスだから箔が付いていたというもので、ついては、航空パイロットがプッシーと名乗る脚色の方はかなり微妙。と云うか、「プッシー・ガロアのフライング・サーカス」と云う屋号だった訳なので、まぁ、フツーと云えばフツーなのだが。
敵か味方かという話になればかなり微妙なキャラだが、その辺りのトーンは原作も脚色も同じ。ただ、正義への貢献度という点では脚色に軍配が上がる。と云うのも、脚色の場合、プッシーが居なければ6万人が犠牲になっていたため。この辺りのくだり、考えれば考えるほど恐ろしいが、ついては、シリーズ中でも正義の為に最も貢献したのが他ならぬプッシーその人。ちなみに原作の場合、6万人の殺戮を未然に防ぐのはボンドがMに打電した電報。プッシーがボンドに寝返るのも最後の最後での話。と云うか、脚色では筆頭のボンドガールとして描かれるプッシーだが、原作の方でメインになるのは、姉を殺されたティリーの方。まぁ、レズビアンとして登場するプッシーが最後の最後で射止められる原作もインパクトは充分なのだが。何れにせよ、このプッシーの絡み方の違いも原作と脚色の大きな違いの一つ。
演じるオナー・ブラックマンは、後年の「シャラコ」や「おませなツインキー」、刑事コロンボがLAからロンドンに舞台を移す「ロンドンの傘」などでもおなじみのハスキー系美女。01年の「ブリジット・ジョーンズの日記」でも派手な衣装を突付かれるセレブ女性役でカメオ的に登場。英国産の傑作TVミステリー「バーナビー警部」の「黄昏の終末」にも登場する。 |
ジル・マスターソン (シャーリー・イートン)
Jill Masterson (Shirley Eaton)
ボンドガール。金粉を全身に塗られて殺害される悲劇の美女。ジルの遺体が横たわる光景は、脚色でも強烈なインパクトを残すシーンだが、一方の原作の場合、ジルの他界をボンドが知るのも終盤での事。ついては、金粉を全裸に塗りたくると云うラインも、ゴールドフィンガーの猟奇性を強調するティリーの台詞で明らかにされるだけに止まる。ちなみに「マスターソン」と云うラストネームは、原作では「マスタートン」と云う名前で登場。演じるシャーリー・イートンは、クリスティの"And then There were none"の65年度版リメイク「姿なき殺人者」や「海底世界一周」、あのフーマンチューのシリーズ作「女奴隷の復讐」にも出演。 |
ティリー・マスターソン (タニア・マレット)
Tilly Masterson (Tania Mallet)
ボンドガール。ジルの妹。奔放なジルに対して何気にストイックなキャラ。脚色ではジュネーヴで殺害されるキャラだが、原作の方ではフォートノックスの段落までボンドと行動を共にする重要な役柄で登場。結局は、ボンドにも心を閉ざしたまま他界する原作のティリーだが、その描写は、メインのボンドガールにも相応しく掘り下げて描かれる。ちなみに、ゴールドフィンガーの狙撃を試みる中、ボンドに勘違いされる脚色部分は原作には登場せず。 |
フェリックス・ライター (セク・リンダー)
Felix Leiter (Cec Linder)
CIAのエージェント。シリーズでもお馴染みのキャラ。演じるセク・リンダーは、映像シリーズ処女作「ドクター・ノオ」のジャック・ロードに続く二代目。80年の邦画「復活の日」にも登場する人物。原作にも登場するフェリックス・ライターだが、CIAを退職している原作の方では「ピンカートン探偵局員」と云う肩書きで登場。 |
スミザース中佐 (リチャード・ヴァーノン)
Colonel Smithers (Richard Vernon)
ボンドにゴールドフィンガーのバックグラウンドを語る人物。原作にも登場するキャラだが、原作での肩書きは「元」中佐。 |
ディンク (マーガレット・ノーラン)
Dink (Margaret Nolan)
ボンドガール。序盤のマイアミで登場するマッサージ美女。ボンドに尻を叩かれた後は登場しない端役のキャラだが、ボンドからジルの死亡を告げられたフェリックス・ライターが、ジルとディンクを混同する「ディンクか?」と云うダイアローグでは名前だけ登場。 |
ホテルのメイド (ジャネット・ロウゼル)
Chambermaid (Janette Rowsell)
ボンドガール。ゴールドフィンガーの部屋の鍵をボンドに失敬されるキャラ。さわらぬ神に~と云ったノリでその場を立ち去る後姿が唯一の見せ場。 |
「フライング・サーカス」のリーダー (マギー・ライト)
Air Squadron Leader (Maggie Wright)
ボンドガール。プッシーと同様、善玉と呼ぶには微妙なキャラだが、終わりよければ全て「善し」と云う事で。プッシー率いる「フライング・サーカス」の面々では、ただ一人ダイアローグ付きでの登場でそのカット数も一番多い。演じるマギー・ライトは、後年のハマー作品「ドラキュラ血のしたたり」でもお馴染みの顔。 |
シドニー (トリシア・ミュラー)
Sydney (Tricia Muller)
ボンドガール。「フライング・サーカス」の一員ではただ一人名前付きで登場するキャラ。ダイアローグを聞いた限りでは、中盤のカットでプッシーの助手席に座っていたのがこの人。 |
「フライング・サーカス」の面々 (キャロン・ガードナー、レスリー・ヒル、アレタ・モリソン、他2名)
Flying Circus Pilot (Caron Gardner, Lesley Hill, Aleta Morrison, etc)
ボンドガール。ガスを散布する「フライング・サーカス」の面々。マギー・ライトを除けば誰が誰だったのかは不明だが、「フランケンシュタイン」のハマー篇2作品にも出演するキャロン・ガードナーは、5名が立ち並ぶカットの右から4番目の女性。多分。 |
核化学の専門家 (ロバート・マクレオド)
Atomic Specialist (Robert MacLeod)
ボンドも手をあぐねる中、タイムアップ寸前の核爆弾を食い止める人物。さり気なくワンカットで顔を出すキャラだが、その貢献度は甚大。演じるロバート・マクレオドは、後年の「オーメン」や「合衆国最後の日」にも出演。 |
| Various Note メモ: |
| 6万人の殺害を想定するゴールドフィンガーは、シリーズでも屈指の大悪党。オッド・ジョブという肉弾派の用心棒は居たものの、ビジネスマンを装う人物の単独での犯行計画だったと云う辺りが何より凄い。フォートノックス襲撃という大風呂敷を広げたが故にディテールに難はあるが、とどのつまり真しやかに楽しまされる辺りはフレミングの知性と手腕に他ならない。映像版は見る事なく他界したフレミングだが、金塊を盗まずに核で汚染するという脚色部分には、果たしてどのような印象を覚えただろうか。畏敬とも侮蔑とも取れる朝鮮人に対する感情や小柄な人物に対する偏見など云いたい放題の原作だが、この辺りのストレートな段落も昨今のスパイ小説では味わえない強烈な個性だった。やはり、ストイックでシビアな原作と娯楽エンタメの脚色は、別チャネルでそれぞれに楽しみたい所。 |
| シリーズ11作目「ムーンレイカー」以降、製作業や脚色に携わるマイケル・G.ウィルソンもクライマックスで登場。シリーズ前2作では冒頭のガン・バレルのシーンでコネリーのダブルを演じていたボブ・シモンズも、本作ではクライマックスの兵士役で登場。音響編集のノーマン・ウォンストールが64年度のアカデミーで「音響効果賞」を獲得。ちなみにこれは、シリーズ初のオスカーとなった。 |