| Introduction 序盤アウトライン: |
| ジャマイカ。米国のミサイル実験が何者かに妨害される中、そのリサーチに当っていた当地の英国情報部支局が襲撃される。2名が行方不明になる異常事態を受けた英国情報部は、殺しの番号「007」を持つ諜報員ジェームズ・ボンドを現地に派遣するが、数々の罠に曝される中、やがて浮かび上がったのは、謎の中国人実業家の存在だったーー |
| Various Note メモ: |
殺しの番号「00(ダブル・オー)」を持つ英国諜報員ジェームズ・ボンドの活躍を描く記念すべきシリーズ第1弾。原作は、英国情報部に在籍していた当時の自身の体験をベースにするイアン・フレミング。脚色は「007は二度死ぬ」と「007/ムーンレイカー」を除く「007/消されたライセンス」までの本家シリーズ全作品を手掛けるリチャード・メイボーム、シリーズ第2弾「007/ロシアより愛をこめて」のジョアンナ・ハーウッド、64年「長い船団」65年「ジンギス・カン」のバークレイ・マーサー。演出は、シリーズ第2弾「007/ロシアより愛をこめて」と第4弾「007/サンダーボール作戦」も手掛けるテレンス・ヤング。ノークレジットで脚色にも参加。
以下、完全ネタバレ。未鑑賞の方はご留意下さい。 |
| various novels and movies 原作と映像化作品のリスト: |
| 原作 novels |
映像化作品 movies |
| year |
邦題
別文節の「007号」は省略 |
original title |
year |
title
邦題
|
| 1953 |
カジノ・ロワイヤル |
Casino Royale |
1953 |
US/CBS TV
Climax Mystery Theater
Casino Royale
* Barry Nelson as 007 |
| 1967 |
same |
| 2006 |
same |
| 1954 |
死ぬのは奴らだ |
Live and Let Die |
1973 |
same |
| 1955 |
ムーンレイカー |
Moonraker |
1979 |
same |
| 1956 |
ダイヤモンドは永遠に |
Diamonds Are Forever |
1971 |
same |
| 1957 |
ロシアから愛をこめて |
From Russia with Love |
1963 |
same
007 危機一発
007 ロシアより愛をこめて
|
| 1958 |
ドクター・ノオ |
Dr. No |
1962 |
same
007は殺しの番号
007 ドクター・ノオ
|
| 1959 |
ゴールドフィンガー |
Goldfinger |
1964 |
same |
| 1960 |
007号の冒険
以下5編収録の短編集。
#1: バラと拳銃
#2: 読後焼却すべし
#3: 危険
#4: 珍魚ヒルデブランド
#5: ナッソーの夜 |
For Your Eyes Only
* omnibus as 5 episodes
#1: From a View to a Kill
#2: For Your Eyes Only
#3: Risico
#4: The Hildebrand Rarity
#5: Quantum of Solace |
1981 |
same
007 ユア・アイズ・オンリー |
| 1985 |
A View to a Kill
007 美しき獲物たち
|
| 1961 |
サンダーボール作戦 |
Thunderball |
1965 |
same |
| 1962 |
わたしを愛したスパイ |
The Spy Who Loved Me |
1977 |
same
007 私を愛したスパイ
|
| 1963 |
女王陛下の007号 |
On Her Majesty's Secret Service |
1969 |
same
女王陛下の007
|
| 1964 |
007号は二度死ぬ |
You Only Live Twice |
1967 |
same
007は二度死ぬ
|
| 1965 |
黄金の銃を持つ男 |
The Man with the Golden Gun |
1974 |
same
007 黄金銃を持つ男
|
| 1966 |
ベルリン脱出
以下3編収録の短編集。
#1: オクトパシー
#2: 所有者はある女性
#3: ベルリン脱出 |
Octopussy
* omnibus as 3 episodes
#1: Octopussy
#2: The Property of a Lady
#3: The Living Daylights |
1983 |
same
007 オクトパシー
|
| 1987 |
same
007 リビング・デイライツ
|
|
| release dates 英/米/日本での封切り状況: |
| ロンドン・プレミア:1962年10月5日/全米公開:1963年5月8日/日本公開:1963年6月8日。 |
| a novel and a movie 原作と脚色: |
| MI6ジャマイカ支局2名の消息を追うボンドが、ドクター・ノオと対決すると云う骨子部分は概ね同じ。大きな違いは、ドクター・ノオの後ろ盾になるのがソ連だった原作に対し、脚色の方では早々に「スペクター」が登場する辺り。ちなみに、原作で「スペクター」が登場するのは、9冊目の「サンダーボール作戦」からの事。 |
| 誘導ミサイル制御の妨害工作を描く辺りは、脚色の方でも「トップランド」と云う固有名詞で登場するが、ノオの最新テロ計画として紹介されるだけにとどまる原作に対して、こちらの脚色では原子力までを用いるノオのメイン事業のように描かれている辺りも双方の大きな違い。ついては、妨害工作の阻止を怒涛のクライマックスにする脚色と、危機一髪のボンドの描写にその大方を費やす原作は、その終盤の印象も全く違う。囚われの身のボンドが脱出を図る中、トンネル内でのピンチを描く辺りは脚色でも踏襲されているが、タランチュラの群れや大イカ「クラーケン」との死闘を描く原作の方は、スパイアクションとは一味違う冒険ヒーロー路線のようなダイナミズムで幕を下ろす。崖っぷちでの心理描写も繊細でかなり巧い。ちなみに、脚色ではホテルの部屋でタランチュラの脅威に曝されているが、原作に登場するのは猛毒を持つ大ムカデ。 |
| カニ軍団の脅威に曝される中、実はその性質も熟知する野生派ヒロインのハニーは全く平気だったと云う原作のくだりについては、スクリプトに織り込まれながらも、用意したカニの大群が思い通りの動きをしなかった為に撮影の段階で頓挫したと云う逸話も。その結果、ハニーが迎えるクライマックスもやや淡白になってしまった脚色だが、そのハニーについての原作と脚色の大きな違いと云えば、原作のハニーは鼻が折られて変形していると云う容姿の描写。生い立ちなどのバックボーンも双方全く違うが、いわゆる野生派美女と云った凡庸な描写を避ける原作は、他の全てのキャラクター描写についても裾野の広さが全く違う。ただ、スレンダーさも必至となる脚色とは基本的に違うのも当たり前。他の細かな違いについては、以下の段落で。 |
| about James Bond ジェームズ・ボンド: |
| マティーニの嗜好性は原作でも既にお馴染みだった訳だが、映像作品ならではのあの自己紹介ラインについては映像シリーズ処女作の本作が原点。衣装は、サヴィール・ローのオーダーメイド・スーツやチャイナジャケットなど。装備は、長年愛用していたと云うベレッタから鞍替えしたワルサーPPKのみ。サンビーム・コンヴァーチブルにも特殊装備はなく、怒涛のカーチェイスが「ボンド・カー」としての唯一の見せ場。ちなみに、ワルサーPPKとS&Wを併用する原作でもサンビームは登場するが、あまりに目立つという理由から機転を利かせたボンドは実際には運転しない。 |
| 一方、扉に付着させた髪の毛や残された指紋で侵入者の有無を確認、出しっぱなしのボトルには口を付けず引き出しの中の1本を取り出すなど、スパイのイロハ的な描写も満載のスクリプトだが、この辺りの描写は原作から引用されたごく一部。ボンドのバックグラウンドについては、破壊力の弱いベレッタを携帯していた事で重傷を負ったと云う「M」の台詞も登場するスクリプトだが、これは、原作の方ではシリーズ前作の「ロシアから愛をこめて(映像篇の邦題は「ロシアより愛をこめて」)」での任務を示唆する原作ラインのアレンジ。 |
| Intro Sequence 冒頭シークエンス: |
| のっけから魅せるイントロと云えば、シリーズでも一つのお約束。そんなお約束的な「事件」に続くオープニングタイトルと云うパターンが2作目以降では定着するが、ここではのっけからのオープニングタイトル。タイトルアニメーションに登場する殺し屋グループ「3匹の盲目ネズミ」が、アニメ映像を飛び出して事件を引き起こすという流れも、2作目以降のシリーズ冒頭とは全く逆。周知の通り、デザイン担当は「太陽がいっぱい」のモーリス・ビンダー。「007/ロシアより愛をこめて」「007/ゴールドフィンガー」を除く「007/消されたライセンス」までの本家シリーズ全作品を担当する人物。 |
| オープニング・ロゴでボンドを演じるのは、「007/美しき獲物たち」まで数多くのシリーズ作品でスタント演出に携わるボブ・シモンズ。オープニング・ロゴに登場するのも3作目の「007/ゴールドフィンガー」まで。ついては、コネリー自身がオープニングを飾るのは4作目の「007/サンダーボール作戦」から。ちなみに、「007/サンダーボール作戦」でのボブ・シモンズの配役は、スペクター#6。 |
| 誰もが知るモンティ・ノーマン作曲の"James Bond Theme"が1発目で聴けるのもシリーズ処女作ならでは。"Kingston
Calypso"との2曲で織り成す「メドレー」でのオープニングも本作ならではだが、その収録時間もシリーズでは最短。2作目以降のシリーズ作でもお馴染みの名匠ジョン・バリーがノークレジットで参加している辺りもなかんずく重要なファクター。 |
| location 舞台: |
ジャマイカ → ロンドン(MI6本部とアンバサダークラブ) → ジャマイカ
歴史的なボンドの登場シーン(ロンドンのアンバサダークラブ)やMI6本部内のシークエンスも登場するが、その活動エリアは中米「ジャマイカ」のみ。風光明媚なさまざまなスポットを疑似体験出来る後年の作品だが、フレミングの原作を踏襲する作品の場合、その大方のロケーションは1箇所。ちなみにジャマイカと云えば、ボンドの生みの親イアン・フレミングが、52年から64年までシリーズ小説を書き上げた所縁の土地。後のシリーズタイトルにもなる「ゴールデン・アイ」と云う高級別荘に滞在しての執筆だった話はもとより、ありふれた名前が良かったという"James
Bond"と云うキャラ名を「西インド諸島の鳥たち」を書き下ろした鳥類学者から拝借した話、その代わりに鳥類学者が命名する新種の鳥にフレミングの名前が貸し出された話、"007"と云うコードナンバーがフレミングの別荘前を毎日横切る路線バスの番号だったと云う話などさまざまなエピソードも。 |
| enemy ボンドの敵: |
ドクター・ノオ (ジョセフ・ワイズマン)
Dr. No (Joseph Wiseman)
云わずと知れたメインのヒール。ちなみに、ヒールキャラの名前がタイトルになるのもシリーズ3作目の「ゴールドフィンガー」と本作だけ。両手首の先を放射能で失う中、強力なアイアンクローを装備している辺りは、後年の「燃えよドラゴン」に登場する悪役ハン(シー・キエン)にソックリ。ハンの場合は片手だけだが、本作にインスパイアされた事も明らか。また、中国の犯罪組織トング結社から金を持ち逃げしたノオが、東西の国家から危険人物として見切られる中、あの「スペクター」の後ろ盾を得ると云うくだりではシリーズ化の意図が明らかに。と云うか、悪の温床「スペクター」との決着については一切言及されずに終わる辺りでも明らか。後の映像シリーズ第4作となる「サンダーボール作戦」が映像シリーズの処女作として準備されていた中、諸々の問題から一時的に棚上げになった事を考慮すれば、原作には登場しない「スペクター」を本作で登場させたのも自然な流れ。ちなみに、原作でノオの後ろ盾になるのは、本作以前の原作シリーズでもお馴染みの冷戦時代のロシア。また、原作でも描かれていた中国の犯罪組織とノオの関係だが、原作ではその犯罪組織の拷問で両手を切断されたと描かれる中、ここでは脚色ならではのモチーフとなる放射能で失った事にされている。ちなみに、その義手が仇となる脚色でのノオの最期だが、原作での最期は、鳥の糞の下敷きになって絶命するという何気に微妙なもの。
英国の劇作家/俳優のノエル・カワードが辞退した事でオファーを受けたジョセフ・ワイズマンだが、何れにせよ、ワイズマンのインパクトはかなり強烈。デント教授を詰問する中盤シーンでは声を披露するが、実質、顔を見せるのも終盤の20分だけ。ルナティックな頭脳派キャラを装いながらも、ボンド相手に我先にケンカを挑む肉弾派キャラにも転じるノオだが、この辺りのインパクトはシリーズでも最強。頭と体のどちらも「キレる」メイン級のヒールキャラと云うのも結構珍しい。あのピーター・セラーズ的なポーカーフェイスがとにかくイイ。 |
デント教授 (アンソニー・ドーソン)
Professor Dent (Anthony Dawson)
筆頭のサブ悪役キャラ。原作には登場せず。ボンドの同僚ストラングウェイズ中佐(ティム・モクソン)の殺害に関与する中、ボンドの寝床にタランチュラをしのばせる人物。S&Wの弾切れを読まれる中、ベレッタから鞍替えしたばかりのワルサーPPKでボンドに射殺されるシーンは、映像版ボンドシリーズでもなかんずく歴史的なシーン。ちなみに、デントが使用するS&Wも、原作ではボンドがワルサーPPKと併用する拳銃。要は、原作では長々と描かれるモチーフを、脚色ならではアレンジでサクッと振り分けていたと云う事。デント役のアンソニー・ドーソンと云えば、本作に続く「007/ロシアより愛をこめて」と4作目の「007/サンダーボール作戦」ではあのブロフェルドを演じる人物だが、ここでの脚色ではスペクターが後ろ盾だった辺りを考慮すれば、ノオに形無しにされる詰問のシーンも微妙に笑える。 |
殺し屋グループ「3匹の盲目ネズミ」 (エリック・カヴァーレイ&ヘンリー・ロペス他)
Three Blind Mice Assassin (Eric Coverley, Henry Lopez and an other)
冒頭のインパクトを担う重要キャラ。"Three Blind Mice"と云うのはいわゆる通称。オーディエンスにイメージさせる為の都合の良い名前に過ぎず、その実態は、劇中の数箇所で挿入される"Kingston Calypso"の歌詞に因んだもの。カーチェイスを経て全滅する一味だが、その様相は、ボンドが言い残す洒落た台詞のオカズさながら。ちなみに、登場シーンは原作にもほぼ同じだが、原作の方ではその末路は不明。 |
ミス・タロー (ジーナ・マーシャル)
Miss Taro (Zena Marshall)
ボンドガール。タローと云う名前がかなり微妙だが、その実、疑いようもない美形キャラ。総督官邸の秘書を装うスパイ。ボンドにツバを吐くシーンは、シリーズでも屈指のインパクト。スクリプトでは逮捕されてジ・エンド。ちなみに、原作でも同じキャラ色で描かれるキャラクターだが、原作の方ではボンドとの絡みも殆どなく、その末路も不明のまま。演じるジーナ・マーシャルは、東洋系にもアーリア系にも見えるいわゆる国籍不明の色白美女だが、何と実際は、ナイロビ出身のアフリカン美女。 |
写真を撮る悪女 (マルゲリート・ルワルズ)
Photographer (Marguerite LeWars)
ボンドガール。中米系の美女。ボンドの写真1枚撮るにも手を焼く役立たずのキャラ。フツーにしていれば美女にも見えるが、ここでは勝気モロ出しのキャラが災いする事に。その末路は不明。原作では「アナベル・チャン」と云う名前が明らかにされる。 |
ジョーンズ (レジー・カーター)
Jones (Reggie Carter)
総督官邸の運転手を装う雑魚系ヒールキャラ。ボンドとの格闘の果てに服毒自殺するシーンはインパクト大。と云うより、未知数だった敵組織の不気味度を格段にアップさせていたのは他ならぬこのキャラ。原作には登場しないが、ボンドを尾行する怪しいタクシー運転手に匹敵していたのが、恐らくはこのキャラクター。 |
秘密基地の警備員たち (ミルトン・リードなど)
Dr. No's Guard (Milton Reid and many others)
囚われの身のボンドを「鍛える」キャラ。「ゴールドフィンガー」のハロルド酒田似のキャラも登場するが、個人的なアピールも基本的には殆どない。ちなみに、原作にも中国+ジャマイカのハーフ血筋の屈強な警備兵が登場。 |
シスター・リリーとシスターローズ (イヴォンヌ・シマとミシェル・モク)
Sister Lily & Sister Rose (Yvonne Shima & Michel Mok)
ボンドガール。見た目はかつての「看護婦」さんのようだが、その実態は、ボンドを寝返らせようと目論むノオに遣わされた秘密基地の接待嬢。四十路だと云う解説も入る原作だが、その末路は不明。キャスト名も原作のまま。ちなみに、ダイアローグの多い方がイヴォンヌ・シマ。カナダと日本のハーフのイヴォンヌ・シマだが、見た目の方は完全に日本系。 |
デント教授の秘書 (ベッティーナ・ル・ボウ)
Professor Dent's Secretary (Bettina Le Beau)
ボンドガール。デントのオフィスを訪れたボンドとのダイアローグも登場するキャラだが、恐らくは犯罪には関与していない民間人女性。云うまでもなく、脚色のオリジナルキャラたるデントと同様に原作にも登場せず。 |
| company ボンドの仲間: |
M (バーナード・リー)
M (Bernard Lee)
後のシリーズでもお馴染みのMI6長官。演じるバーナード・リーは、11作目「ムーンレイカー」まで本家シリーズ全作品に登場。ちなみにバーナード・リーは、あのアンジェリーナ・ジョリーの元夫ジョニー・リー・ミラーの祖父。原作にもほぼ同じキャラ色で描かれる脚色だが、運転手を気遣う描写など、その人格面なども原作では描かれる。 |
ミス・マネーペニー (ロイス・マクスウェル)
Miss Moneypenny (Lois Maxwell)
お馴染みのMの秘書。と云うより、ボンドガールのお局的な重要キャラ。演じるロイス・マクスウェルは、14作目「美しき獲物たち」まで本家シリーズ全作品に登場。ミスを演じながら、現実には当時既にミセスだったロイス・マクスウェルだが、ここでの三十路半ばでの一皮向けたお色気はある意味、他のボンドガールを圧倒。原作での描写はいたって淡白。 |
ブースロイド少佐 (ピーター・バートン)
Major Boothroyd (Peter Burton)
ベレッタからワルサーPPKに鞍替えするボンドの説明役を担う人物。後年は「Q」と呼ばれるMI6の兵器調達キャラ。ちなみに、ブースロイドと云うラストネームと「Q」が同一とみなされるのも、後年の「Q」を演じるデズモンド・ルーウェリンが、次回作の「ロシアより愛をこめて」で「ブースロイド」名義で登場するため。ついては、本作に登場するピーター・バートンが、初代の「Q」として認知される事に。ちなみに、圧倒的に長い原作の台詞ラインだが、ここではそのポイントを描くようなスレンダーな脚色に。 |
ハニー・ライダー (ウルスラ・アンドレス)
Honey Ryder (Ursula Andress)
ボンドガール。開始1時間過ぎにしてようやく登場するメインのボンドガールだが、そもそものプロットとも何ら関係のないような形でひょっこり登場しながら、メインを張るというのも何気に凄い。メインのボンドガールが1時間以上登場しないのもシリーズ唯一だが、ヴィヴィッドな身の上話でプレイボーイのボンドを絶句させると云うのもシリーズでは彼女だけのはず。ボンドの「唄」を引き出したのもシリーズでは彼女だけ。シリーズでも上位人気の1人。ちなみに、原作の方では「唄」ではなく、ハニーとボンドの口笛での輪唱になる。原作との決定的なキャラ描写の違いについては、先述の通り。アンドレスの吹き替えを担当するのは、「007/サンダーボール作戦」ではクローディーヌ・オージェ(ドミノ)の吹き替えを担当するニッキ・ファン・デル・ズィル。 |
シルヴィア・トレンチ (ユーニス・ゲイソン)
Sylvia Trench (Eunice Gayson)
ボンドガール。原作には登場せず。あのゴルフのシーンはあまりに有名。コネリー版ボンドの登場シーン(ロンドンのアンバサダークラブ)に立ち会う歴史的な登場人物。ついては、シリーズ2作目の「ロシアより愛をこめて」にも同名キャラで登場するユーニス・ゲイソンだが、いわゆる「ボンドガール」で2作品「連続」で出演するのはシリーズでも彼女だけ。別名キャラでの飛び石出演と云う事では「黄金銃を持つ男」「オクトパシー」のモード・アダムスの例もある。また、ボンドには絡まない端役のボンドガールでは、「ロシアより愛をこめて」「ゴールドフィンガー」に連続で出演するナージャ・レジンのような例もあり。 |
フェリクス・ライター (ジャック・ロード)
Felix Leiter (Jack Lord)
後の映像シリーズでもお馴染みのCIA局員。ただ、ここでの原作には登場せず。演じるジャック・ロードは、云わずと知れたシリーズ初代のライター。敵の車に乗り込んだボンドに違和感を抱く中、その正体を明らかにさせない序盤の脚色はなかなかの面白さ。ただ、肝心の場面をボンドに譲る役人的なカラーは、米国人には不人気だったのかも。と云うか、序盤の脚色を彩るべくやや強引に挿入された事を考慮すれば、出しゃばらせる訳にも行かなかったと云う事なのかも。 |
クォーレル (ジョン・キッツミュラー)
Quarrel (John Kitzmiller)
レイターお抱えの現地スタッフ。CIAも関与しない原作では、ボンドとは「死ぬのは奴らだ」以来の旧知の仲と云う設定。ボンドとの格闘シーンは見せ場の一つだが、それにしても、火炎放射器搭載の戦車を「火を吐く竜」と言い張る辺りは微妙。キャタピラの跡を見ても気付かぬ辺りでは絶句させられる。やがては、その火炎放射器で焼死すると云う悲惨な末路に。ちなみに、原作での「火を吐く竜」の描写は、トラクター型の車を改良した特殊改造車と云うもので、ボンドまでもが驚かされていたりする。 |
パス・フェラー (レスター・プレンダーギャスト)
Puss Feller (Lester Prendergast)
レイターお抱えの現地スタッフ。クォレル曰く、ワニをも押さえ込むという割には小柄な体格の地元クラブのオーナー。原作では「タコ切り」と云う異名を持つ怪力キャラとして登場。ちなみに、ダイアローグでの発音は「プス・フェラー」。 |
ジャマイカ総督府総監 (ウィリアム・フォスター=デイヴィス)
Superintendent (William Foster-Davis)
ボンドをジャマイカに迎え入れる窓口的な人物。MI6のジャマイカ支局の現場捜査を手配するのもこの人。ミス・タローが敵側のスパイだと云う事にも全く気付かずにいた典型的な役人キャラ。原作では総督府の司政部長として登場するキャラだが、嫌味な別キャラの総監とボンドの確執を割愛する形でサクッと纏めたのがここでの脚色。 |
ジョン・ストラングウェイズ (ティム・モクソン)
John Strangways (Tim Moxon)
MI6のジャマイカ支局員。ノオの秘密を握った為に殺害される事に。この人物の殺人事件が、物語のそもそもの発端。原作では人物像も事細かに描かれるが、ここでの脚色版キャラは、原作のイメージともかなり違う。 |
メアリー (ドロレス・キーター)
Mary (Dolores Keator)
ボンドガール。ストラングウェイズの秘書だったばかりに殺害される哀れな女性キャラ。その殺害シーンの異様なまでの殺気はなかんずく出色。ここでの脚色では、支局に着任したばかりのか弱い新人局員として描かれているが、原作では筋金入りの軍人キャリアを持つ美人キャラとして登場。ちなみに原作では"Mary
Trueblood"と云うフルネームで登場。 |
客室添乗員 (マーガレット・エラリー)
Stewardess (Margaret Ellery)
ボンドガール。16分50秒のワンカットで顔を出す2人の客室添乗員のうちの1人。 |
ボンドが泊まるホテルの受付嬢 (マルー・パンテラ)
Hotel Receptionist (Malou Pantera)
ボンドガール。タランチュラをしのばされた事など露知らぬボンドがホテルに帰り着く中、意味深な視線を送る辺りを考慮すれば、悪役にリストアップされるべき人物なのかも。僅かなダイアローグにも好印象を残す美人キャラ。 |
| Various Note メモ: |
| 周知の通り、ボンドが所属するセクションは、海外での諜報活動に従事するMI6。国内で活動するMI5のメンバーならまだしも、諸外国を舞台にするエージェントに「殺し」を認可するというのもかなり無軌道だが、原発事故にも等しいようなクライマックスにも何気にヒヤヒヤさせられる。と云うより、炉心もムキ出しの原子力基地が大爆発を起こしても大丈夫だったのかという感じ。その辺りはさて置き、上質なサスペンス感覚が全編を貫く出色の1本である事は確か。エンドタイトル直前のロマンス度全開のウィットも本作が原点だが、怒涛のスリルとアクションを経て大満足の中、デザート感覚でのあの粋な演出には誰もが魅了されたはず。 |
| それにしても、こんな粋なスパイ映画を「総天然色」時代に年1本のペースで楽しめた方々はホントにラッキー。個人的には、小学生当時に公開された「ダイヤモンドは永遠に」以来のタイムリーなシリーズ鑑賞だが、以降の作品リリースも結構マチマチのペースだったので。「007は殺しの番号」「ドクター・ノオ」と云うタイトルだけでさまざまな映像イメージを駆け巡らせていた当時、初めて観たオンエア時の感動は忘れられない。ただ、原作も読破していた中、大イカが登場しない脚色は微妙にショックだったけど(笑) |