| Introduction 序盤アウトライン: |
| 米ソ英仏の諜報員が次々に消される中、デタントに至った各国情報部のトップが、英国MI6の元情報部員ジェームズ・ボンド卿に白羽の矢を立てる。優雅な引退生活から嫌々でのカムバックを果す中、未知の敵組織の力をまざまざと思い知らされたボンドは、優秀な若手エージェントを発掘すべく「ボンド養成所」を設立、後継者の称号を与えた数名のスパイを最前線に送り込むが、そんな中、敵組織に通じる謎の人物ル・シッフルを丸裸にする計画が実行されるのだがーー |
| Various Note メモ: |
現役復帰を余儀なくされたジェームズ・ボンドと謎多き組織の闘いをコミカルに描くアバンギャルドな1本。本家イオンプロとは無関係の番外編。イアン・フレミングの原作を基に「スパイがいっぱい」のウォルフ・マンキウィッツ、ジョン・ロウ、マイケル・セイヤーズが共同脚色。また、「白い恐」「武器よさらば」のベン・ヘクト、「求婚専科」「キャッチ22
(1970)」のジョセフ・ヘラー、「博士の異常な愛情」「イージー・ライダー」のテリー・サザーン、「情婦」「アパートの鍵貸します」のビリー・ワイルダー、出演も兼任するウディ・アレンとピーター・セラーズもノークレジットで執筆に寄与。演出は、「スパイがいっぱい」のヴァル・ゲスト、「人間の絆」のケン・ヒューズ、「マルタの鷹」「武器よさらば」のジョン・ヒューストン、「マジック・クリスチャン」のジョセフ・マクグラス、「渚のたたかい」のロバート・パリッシュ、リチャード・タルマッジと云う6名がそれぞれのシークエンスを適宜担当。追加撮影にはニコラス・ローグもクレジット付きで参加。
以下、完全ネタバレ。未鑑賞の方はご留意下さい。 |
| various novels and movies 原作と映像化作品のリスト: |
| 原作 novels |
映像化作品 movies |
| year |
邦題
別文節の「007号」は省略 |
original title |
year |
title
邦題
|
| 1953 |
カジノ・ロワイヤル |
Casino Royale |
1953 |
US/CBS TV
Climax Mystery Theater
Casino Royale
* Barry Nelson as 007 |
| 1967 |
same |
| 2006 |
same |
| 1954 |
死ぬのは奴らだ |
Live and Let Die |
1973 |
same |
| 1955 |
ムーンレイカー |
Moonraker |
1979 |
same |
| 1956 |
ダイヤモンドは永遠に |
Diamonds Are Forever |
1971 |
same |
| 1957 |
ロシアから愛をこめて |
From Russia with Love |
1963 |
same
007 危機一発
007 ロシアより愛をこめて
|
| 1958 |
ドクター・ノオ |
Dr. No |
1962 |
same
007は殺しの番号
007 ドクター・ノオ
|
| 1959 |
ゴールドフィンガー |
Goldfinger |
1964 |
same |
| 1960 |
007号の冒険
以下5編収録の短編集。
#1: バラと拳銃
#2: 読後焼却すべし
#3: 危険
#4: 珍魚ヒルデブランド
#5: ナッソーの夜 |
For Your Eyes Only
* omnibus as 5 episodes
#1: From a View to a Kill
#2: For Your Eyes Only
#3: Risico
#4: The Hildebrand Rarity
#5: Quantum of Solace |
1981 |
same
007 ユア・アイズ・オンリー |
| 1985 |
A View to a Kill
007 美しき獲物たち
|
| 1961 |
サンダーボール作戦 |
Thunderball |
1965 |
same |
| 1962 |
わたしを愛したスパイ |
The Spy Who Loved Me |
1977 |
same
007 私を愛したスパイ
|
| 1963 |
女王陛下の007号 |
On Her Majesty's Secret Service |
1969 |
same
女王陛下の007
|
| 1964 |
007号は二度死ぬ |
You Only Live Twice |
1967 |
same
007は二度死ぬ
|
| 1965 |
黄金の銃を持つ男 |
The Man with the Golden Gun |
1974 |
same
007 黄金銃を持つ男
|
| 1966 |
ベルリン脱出
以下3編収録の短編集。
#1: オクトパシー
#2: 所有者はある女性
#3: ベルリン脱出 |
Octopussy
* omnibus as 3 episodes
#1: Octopussy
#2: The Property of a Lady
#3: The Living Daylights |
1983 |
same
007 オクトパシー
|
| 1987 |
same
007 リビング・デイライツ
|
|
| release dates 英/米/日本での封切り状況: |
| ロンドン・プレミア:1967年4月13日/全米プレミア:1967年4月19日/全米公開:1967年4月28日/日本公開:1967年12月。 |
| a novel and a movie 原作と脚色: |
| 原作のアウトラインは、ソ連の公式殺人機関スメルシュの金庫番たるル・シッフルをバカラで丸裸にする中、全てを失ったル・シッフルの拷問を間一髪で切り抜けたボンドが、実は敵側のスパイだった女性パートナー・ヴェスパー・リンドの自白と自殺に遭遇すると云うメロウかつシリアスな筋書き。ついてはこちらの脚色の場合、アバンギャルドな映像がのべつ幕なしに続く中、ややもすれば、プロット自体すらも見失いそうになるスクリプトに終始しているが、その実、文無しとなったル・シッフルがボンドの拷問の最中に処刑される辺りや、ヒロインのヴェスパーも形はどうであれ他界するなど核心部分のモチーフはしっかり網羅されていたりもする。 |
| 要は、セラーズの登場パートが原作を踏襲する主なシークエンスだったワケだが、ただやはり、門外漢なキャラがパロディ部分に大挙登場する事や、ボンドの名を語るキャラが計7名も登場していた事、そして何より、ボンドの名を語る1名だったヴェスパーと共にボンド全員もあの世行きという脚色は、原作と比較する事もナンセンスな破天荒な内容。ベン・ヘクト、ジョセフ・ヘラー、テリー・サザーン、ビリー・ワイルダー、ウディ・アレン(出演も兼任)、ピーター・セラーズ(出演も兼任)と云う面々もノークレジットで寄与する中、一説によれば、ウェルズ(出演も兼任)やジョン・ヒューストン(演出と出演も兼任)も寄与する脚色だったと云う話に至れば黙るしかない。 |
| ただ、製作のフェルドマンが全てを背負い込む現場では、そんな無軌道な舞台裏もある種の必然だったという話にも。他の監督も演出に当っている事に気付いたヴァル・ゲストが、"Co-ordinating Director"と云うクレジットを拒絶したと云うエピソードを考慮すれば、プロダクションの裏舞台はガラス張りではなかったと云う事にもなるが、恐らくは、大枚積まれて契約を交わした演出や脚色の面々には自身の作品という自負もなかったと云う事で、フェルドマンが仕切る大それたパロディ企画の仕掛け人の一人に過ぎないような感覚だったと云う事。ただ何れにせよ、パロディ路線とは知らずにサインさせられた豪華絢爛キャストはもとより、先の面々を総動員したフェルドマンが払った代価は、予算600万ドルの2倍にまで膨れ上がる1200万ドルと云う物凄い金額。900万ドルの「サンダーボール作戦」、1100万ドルの「007は二度死ぬ」と云う同時期製作の2本を引き合いに出せば、本家シリーズをも凌ぐ事に。 |
| ミニ「クレオパトラ」とも皮肉られたプロダクションは、後の映画製作の現場でも教訓にされているらしいが、その実、本作が迎えた結末は、67年度の公開作品の中でも「ジャングル・ブック」と「007は二度死ぬ」に次ぐ3番目の興行収益を記録する中、コロムビアにも500万ドルの収益をもたらすと云うハッピーなエンディング。約2ヶ月遅れで公開された「007は二度死ぬ」には及ばなかった事から興行には失敗したと云う論調も真しやかに囁かれていたらしいが、そんな見方も大きな誤りだったと云う事。スーパーヒロイズムを売りにする本家シリーズを尻目に、信じ難いような顔ぶれがドタバタパロディに身を投じる本作は、本家シリーズのファンにも適度な息抜きだったのかもしれないが、そんなヒットの背景で挙げられる他の要因は、66年の年末に予定されていた公開が度重なるトラブルで67年春にディレイしたと云う事実。アヴァンギャルドな内容を考慮すれば、アットホームな年末と誰もが浮かれる春先ではどちらの公開が良かった事も明らかなので。 |
| 本家のイオンもアンタッチャブルだった原作の映像化権利だが、ついては、製作者のフェルドマンがその権利を収めて製作に至るまでの経緯は次の通り。1954年、グレゴリー・ラトフと云う製作者が、小説家デビューしたばかりのフレミングから半年のオプション付での映像化権利を600ドルで購入する中、やがて米CBSに1000ドルで売却、テレビドラマの放映を経て6000ドルで永久の権利を買い戻したラトフが60年に他界する中、ラトフの未亡人から7万5千ドルで権利を購入したフェルドマンが製作に着手乗り出す訳だが、その当初は、本家シリーズの製作者サルツマンとブロッコリに共同製作の話を持ちかけながらも、ケヴィン・マクロリー製作の「サンダーボール作戦」で同様の経緯の渦中にあった2人に拒絶される中、逆に50万ドルでの権利の売却を持ちかけられると云う経緯も。 |
| やがて、コネリーを主役に迎えようとしたフェルドマンは、100万ドルのギャラがネックでコネリーの獲得を諦める中、ボンド=コネリーと云う世論に対抗出来る唯一の手段としてパロディ路線への転換を余儀なくされるが、最終的には度重なる問題と膨れ上がる費用で火の車に。そんな製作当時にハリウッドでコネリーと再会する中、100万ドル支払っていればとコネリーを前に悔やんだというフェルドマンだが、一方、出演者のウッディ・アレンが残した逸話も結構笑える。度重なる撮影日の遅延で撮影までの数週間、高級ホテルで何もする事がなかったというアレンは、"The film will probably make a mint. Not money, but a single peppermint."と云う皮肉なコメントを残す中、撮影を終えると同時にあの「ドクター・ノア」の衣装のままヒースローに向ったらしいが、何れにせよ、フェルドマンがやがて迎える結末も、黒字を弾き出す中での結果オーライのエンディング。06年に本家シリーズがリメイクに着手するまでは、フレミング原作の唯一の劇場長編を手掛けた人物として本家シリーズと肩を並べる事に。 |
| そのリメイクを巡る微妙な経緯については、各種メディアでも報じられていた通り。99年、ソニーが本作のリメイク製作に乗り出す中、ソニー相手に4千万ドルの訴訟を起こしたMGMが500万ドルの示談金と代価1千万ドルでの映画化権利を獲得する中、やがて迎えた06年、結果的には前年05年にMGMを買収したソニーがリメイクを製作すると云う皮肉な経緯を辿る訳だが、そんな報道を耳にしていた当時、個人的には、本家が手掛けるリメイクにも然程の期待を抱けず。しかもそのネタは、ボンドのデビューにまで遡るシリーズ最古の原作。ただ、何事も蓋を開けてみなければ分からないもの。本家シリーズでも屈指の超傑作だったリメイク版は、リニューアル指向を打ち出す新たなシリーズを端から軌道に乗せてしまう超傑作だったと云う話。とにかく歓喜させられた。 |
| about James Bond ジェームズ・ボンド: |
| スクリプトを真に受ければ、総勢7人を数えるボンド軍団だが、実はデイヴィッド・ニーヴン演じる「ジェームズ・ボンド卿」だけがいわゆるモノホン。と云うより、ヒロインのヴェスパー・リンドはもとより、マネーペニーまでをボンド呼ばわりするスクリプトでは、ここでのボンドの定義を論議するのもナンセンス。ただ、強いて云えば、原作モチーフのパートに登場するセラーズ版ボンドは、ニーヴン版ボンドより実質モノホンにも近い。大爆笑させられたのも、そんなセラーズ版ボンドがお馴染みの自己紹介ラインを並べ立てる辺り。お馴染みの自己紹介ラインに照れるセラーズ版ボンドが、カジノの受付の男に何度も聞き返されるシーンには思わず吹き出せる。 |
| ベントレー、ジャガー、メルセデス、ベッドフォード(ミルク集配車)、シトロエン(警察車)、ロータスなどバラエティー豊かなボンドカーは、本家シリーズを凌駕していたのかも。本家シリーズと云えば、ボンドの所属先をMI6ではなくMI5(国内の諜報活動セクション)と描いていた辺りは何気に大胆。と云うより、駆け出し当時のボンドを描く原作に対して、既に引退していたボンドを登場させる脚色はのっけからふてぶてしい。 |
| 混迷極める中、フレミングの原作を基にしていた事を思い出させるカジノ~拷問のシーンだが、この辺りのアヴァンギャルドセンスは出色。と云うより、原作を知る方であれば、あの急所責めの拷問椅子の早送りカットには大爆笑させられたはず。ちなみに、パイパーたちが大挙登場する続きのシークエンスには、当初は「ボンド卿」の候補だったと云うピーター・オトゥールがカメオで登場。 |
| Intro Sequence 冒頭シークエンス: |
| "Les Beatles"と云う当代ならではの落書きから特別警察のマチスとセラーズ版ボンドが登場するイントロだが、これは空港からカジノに向う途中の情景を捉えたスクリプト中盤のシーン。マチスとボンドの間の抜けた間合いのダイアローグが何とも笑える。ちなみに原作でもお馴染みのマチスの本来の肩書きは「フランス参謀本部第二課」のエージェント。ボンドとマチスが初めて顔を合わせるシチュエーションは原作を髣髴とさせる設定だった訳だが、後の本編では唖然の展開に。と云うか、のっけから米ソ英仏の諜報トップの面々が「野生のエルザ」に遭遇する訳なので。 |
| 続くテーマ曲は、ハーブ・アルパートのソロと金管アンサンブル+コンボ編成によるインスト版。そのテーマのメロを奏でるラッパ、銃口、イニシャルと云ったキーワードを連想するアニメーションと映像を織り交ぜるタイトルデザインも抜群のセンス。本家シリーズのイメージに程遠いのも当たり前の話だが、作品の路線などはさて置き、それだけで楽しめてしまう辺りはやはりさすが。このテーマ曲、金管系ポップインストのファンには堪らなかったはず。ちなみに、デボラ・カーの独壇場となるスコットランドのシークエンスなども、アルパートのファンには大ウケしたはず。 |
| location 舞台: |
イングランド某所 → スコットランド某所 → ロンドン → ベルリン → パリ → ロンドン
ロワイヤルレゾーが大半の舞台になる原作だが、ここでのフィーチャーはごく僅か。と云うより、カジノでの勝負とその前後のシークエンスだけ。残りの全てが奇々怪々な脚色で占められる中、カリガリ博士を髣髴とさせるベルリンのシークエンスは取り分け笑える。あの映写室に戦争モノ映写専用のでかいスイッチがある辺りにも爆笑させられるが、ちなみに戦争フィルムで一同がパニックになるシーンは、「博士の異常な愛情」「イージー・ライダー」のテリー・サザーンによる脚色。街頭のセットでは、製作者フェルドマンの名前をなぞらえた"Feldmanstrasse"と云う通りも登場。「ロシアより愛をこめて」のスペクターNo.5「クロスティーン」ことヴラデク・シェイバルも壮絶に散る。 |
| enemy ボンドの敵: |
ル・シッフル (オーソン・ウェルズ)
Le Chiffre (Orson Welles)
国際犯罪組織スメルシュの金庫番。「ル・シッフル」と云う名前は、フランス語での「数」という意。云うまでもなく、その背景も原作とは全く違うスメルシュと云う犯罪組織だが、眉間を撃たれる最期は原作に同じ。セラーズとの確執が露になる中、カジノでの撮影は困窮したと云うエピソードも。ちなみにあの奇術パフォーマンスは、セラーズの反対を押し切ったウェルズのたっての希望で実現したシーンだったとの事。何れにせよ、赤外線グラスを奇抜なファッショングラスに差し替えられるカットには大爆笑。 |
ジミー・ボンド aka ドクター・ノア (ウディ・アレン)
Jimmy Bond aka Dr. Noah (Woody Allen)
ジェームズ・ボンド卿の甥。またの顔は、国際犯罪組織スメルシュの首領。原作ではソ連の公式殺人機関として描かれる「スメルシュ」だが、ここでは「国際家政婦協会」を隠れ蓑にする国際犯罪組織として登場。ジミー・ボンドでの登場シーンは、中盤に差し掛かる辺りでのバハマの処刑場。ドクター・ノアの登場シーンはクライマックスだが、それにしても、アレン演じるボンドの甥を黒幕にする辺りにはフツーにビックリ。本家シリーズ「ドクター・ノオ」の衣装もそのままで登場する中、人質のダリア・ラヴィ版007の前でおどけるパフォーマンスには大爆笑。ちなみに、扉の向うでのマスキング状態での声の吹き替えは「悪いことしましョ!」「恐怖の吸血美女」のヴァレンタイン・ディオール。 |
工作員ミミ aka 貴婦人フィオナ・マクタリー (デボラ・カー)
Agent Mimi aka Lady Fiona McTarry (Deborah Kerr)
ボンドガール。MI6ではなくMI5の長官「M」の女房。実は、スメルシュの女スパイだったと云う大胆な設定が笑える。ボンドに恋をして組織を離脱、修道女に。誘拐されたマタ・ボンドの行方をボンド卿に教える展開を考慮すれば、悪役にリストアップするのも微妙だが、ボンド全員が死亡する結末を考慮すればさらに微妙。ちなみに「フィオナ」という名前は、映像版「サンダーボール作戦」へのオマージュだったのかも。それにしても、怪気炎上げるデボラ・カーにはフツーに絶句。アイリッシュのタップダンスも凄かったが、あのラッパのアフレコパフォーマンスを真顔でこなせる辺りはさすが。辺りを取り巻くボンドガールの刺すような視線もお構いなしという感じで。
ちなみに、デボラ・カーのシークエンスでは、演出と出演を兼任するジョン・ヒューストン令嬢でデビュー前だったアンジェリカ・ヒューストンもノークレジットで参加。IMDbでは"Agent Mimi's Hands"とクレジットされているが、恐らくこれは、監禁された部屋を抜け出すデボラ・カーが排水管を伝い降りる際にアップで映し出される両腕の事。となれば、背中から地面に倒れるショットも、アンジェリカ・ヒューストンによるスタントダブルだったのかも。 |
キンポウゲ (アンジェラ・スコーラー)
Buttercup (Angela Scoular)
ボンドガール。マクタリー城のスメルシュ女工作員。泡風呂でボンドを惑わすイケイケタイプの女スパイ。演じるアンジェラ・スコーラーは、後年の「女王陛下の007」でもお馴染みのボンドガール。 |
イライザ (ガブリエラ・リクーディ)
Eliza (Gabriella Licudi)
ボンドガール。マクタリー城のスメルシュ女工作員。マクタリー家の慣習をボンドに説明するボンドガール。ダイアローグも長い。鳥形誘導ミサイルでボンド卿を攻撃する野外のシーンでは、ミサイル発射装置の傍にいた一人。多分。 |
へザー&メグ (トレイシー・クリスプ&アレクサンドラ・バステード)
Heather & Meg (Tracey Crisp and Alexandra Bastedo)
ボンドガール。マクタリー城のスメルシュ女工作員。ボンドを部屋で迎える2人。ズボンを脱がせるシーンは、後年の「ポリスアカデミー」を髣髴とさせる。フランス語でのダイアローグも登場。 |
ミス・グッドタイズ (ジャクリーン・ビセット)
Miss Goodthighs (Jacqueline Bisset as Jacky Bisset)
ボンドガール。セラーズ版ボンドを惑わせるスメルシュの手先だが、睡眠薬でボンドを眠らせたまでは良かったものの、実質何のダメージも与えられなかった辺りを考慮すれば、要は、スクリプトを彩るお色気要員の一人。ちなみにグッドタイズ(色っぽい太もも)と云う名前は、原作に登場するボンドの元秘書メアリー・グッドナイトのパロディ。演じるジャクリーン・ビセットは、あの「ナック」で端役デビューしたばかりだった訳だが、それにしてもこの人は、60-90年代の印象が全く同じ。 |
フラウ・ホフナー (アンナ・クエイル)
Frau Hoffner (Anna Quayle)
ボンドガール。スメルシュのベルリンのアジト「マタ・ハリ舞踊学校」でマタ・ボンドを窮地に陥れるスメルシュの女幹部。灰汁の強いパフォーマンスは、スメルシュ側の並み居る美女を端にも追いやるインパクト。演じるアンナ・クエイルは、「ビートルズがやって来る/ヤァ!ヤァ!ヤァ!」にも登場していた英国の女優。 |
ポロ (ロニー・コーベット)
Polo (Ronnie Corbett)
前段のホフナーと同様にベルリンのアジトで登場するスメルシュの手先。マタ・ボンドにさり気なく迫る辺りは笑えるが、あのゼンマイ仕掛けのオチは不明。マタ・ボンドを迎え入れる際、「ベラ・ルゴシやピーター・ローレも学校のOB」と語るシーンが登場するが、そのピーター・ローレは、54年に米CBSが放送したTVドラマ版「カジノ・ロワイヤル」でル・シッフルを演じていた俳優。ちなみにその"Climax
Mystery Theater"版のTV映像はソフト入手も容易に可能。 |
ル・シッフルの代理人 (ヴラデク・シェイバル)
Le Chiffre's Representative (Vladek Sheybal)
ベルリンのアジトでオークショナーを務めるル・シッフルの代理人。マタ・ボンドの暗躍でオークションに失敗する中、電話ボックスごと壮絶な爆死を遂げてジ・エンド。演じるヴラデク・シェイバルは、本家シリーズ「ロシアより愛をこめて」ではスペクターNo.5こと「クロスティーン」を演じていた人。TVシリーズ「謎の円盤UFO」でもおなじみ。「国際殺人局K/ナンバーのない男」「スコルピオ」「暗殺者を撃て」「レディ・バニッシュ/暗号を歌う女」「アバランチエクスプレス」など、国際諜報モノへの出演が圧倒的に多い。 |
ル・シッフルのアシスタント (ジェニファー&スーザン・ベイカー)
Le Chiffre's assistant (Jennifer Baker and Susan Baker)
ボンドガール。ル・シッフルの両脇に陣取る女性アシスタント。あの奇術のシーンでの大げさなパフォーマンスにはフツーに吹き出せる。演じる2人は、後年の「Tommy/トミー」にも出演するベイカー姉妹。 |
中国軍の将軍 (バート・クウォーク)
Chinese General (Burt Kwouk)
ベルリンのスメルシュのアジトでオークションに参加する一人。中国軍の一番前に陣取っているキャラがこの人。演じるバート・クウォークは、本家シリーズ「ゴールドフィンガー」では核の専門家として何気に目立つヒールを演じていた人。 |
バグパイプ吹き (ピーター・オトゥール)
Piper (Peter O'Toole)
セラーズ版ボンドの拷問のシーンで登場するパイプ吹き。あの濃い化粧が何気にキモイ。カメオ出演のピーター・オトゥールは、そもそもボンド卿の候補に挙げられていた一人。と云うか、このオトゥールのカメオの出演、よく実現したなと。 |
フランケンシュタインの怪物 (デイヴィッド・プラウズ)
Frankenstein's Creature (David Prowse)
ドクター・ノアの秘密基地に登場するフランケンシュタイン衣装の怪物。逃げ道を探すボンド卿らに体当たりでドアを教えるキャラ。演じるデイヴィッド・プラウズは、あのダース・ヴェイダーの着ぐるみを被る(あのハスキー声はジェームズ・アール・ジョーンズ)役者として富に有名な人。ここでもフランケンシュタインのメイクで殆ど判らない素顔だが、実は結構イケメン。と云うか、「時計じかけのオレンジ」や「吸血鬼サーカス団」を観た限りでの話。「時計じかけのオレンジ」の撮影の際には、あのキューブリックを向こうに回して1歩も譲らなかったという逸話も。ちなみに本作が銀幕デビュー。後の70年と74年には、モノホンの「フランケンシュタイン」シリーズで怪物の役を好演。 |
司令室の女性スタッフ (ペニー・ライリー、キャロライン・マンロー、その他)
Control Girl (Penny Riley, Caroline Munro, etc)
ボンドガール。ロンドンでのカーチェイスのシーンでスメルシュの本部から指令を送る女性スタッフ。主に4人が映し出される映像だが、正直、誰が誰なのかは全く判らず。顔が映し出される中にはマンローの姿も確認出来ず。マンローと云えば、記念すべき本家シリーズの第10弾「私を愛したスパイ」で女殺し屋を演じるダイナマイト美女。70年代序盤は「ドラキュラ'72」や「吸血鬼ハンター」などホラー系でブレーク。 |
ジョージ・ラフト (ジョージ・ラフト)
Himself (George Raft)
ボンドの敵でも何でもないが、取り敢えずクライマックスに登場する一人。あのコイン投げのパフォーマンスは、32年の「暗黒街の顔役」(83年にデパルマがリメイク)のパロディ。ビリー・ワイルダーの「お熱いのがお好き」でも同様のパロディが登場するが、そもそも、あの修羅場のクライマックスに何故ギャング・スターがいたのかと云う辺りは不問と云う事で。インディアンや騎兵隊も登場する訳なので。 |
| company ボンドの仲間: |
イヴリン・トランブル aka ジェームズ・ボンド aka 007 (ピーター・セラーズ)
Evelyn Tremble aka James Bond aka 007 (Peter Sellers)
ボンドの仲間というより、ボンドになりすます人。と云うか、元々は、バカラの専門書を執筆した人物。要は、バカラの腕を見込まれてヴェスパーにスカウトされるという設定。7人の「007」の中では元祖ボンド卿にも並ぶアピール度だが、それもそのはず。原作を踏襲するシークエンスは、殆どがこのセラーズ版ボンドの出番。おなじみ「ピンク・パンサー」シリーズのネタも数箇所で飛び出す。
そのハイライトとなるカジノシーンではウェルズとの掛け合いも笑えるが、撮影当時、実はセラーズとウェルズは犬猿の仲。マーガレット王女がセットを訪れる中、顔見知りだったはずのセラーズを無視した王女が、ウェルズとの面談に声を弾ませたという経緯がそもそもの不仲の原因とも云われているが、その真相は謎のまま。さまざまな記録によれば、カジノのシーンは、セラーズとウェルズも顔を合わせる事なく別時間帯で撮影されたとも言われているが、実際には同一ショットに何度も登場。合成でなかった事も明らか。恐らくは、撮り直しでの競演には応じなかったと云う事ではないだろうか。 |
ヴェスパー・リンド aka 007 (ウルスラ・アンドレス)
Vesper Lynd aka 007 (Ursula Andress)
ボンドガール。スメルシュの女スパイ。ついては、ボンドの仲間でも何でもないが、取り敢えずは「007」の一人だったと云う事で。と云うか、ヒロインのヴェスパーも007と描く中、何のオチもない辺りがかなり凄い。カジノでの勝負の後、悪漢一味にさらわれる展開は原作にも同じだが、大混戦のクライマックスでボンド側に寝返る原作もどきの展開は、後から取って付けたシャレのようなノリ。最終的には息絶えるという展開は原作にも同じ。その経緯とオチは180度違うけど。
セラーズとのメロウなシークエンスでは、大ヒット挿入曲"The Look Of Love"のインスト&ヴォーカル両ヴァージョンが映像を彩る。クーパー版ボンドの女断ち訓練のシーンでは、「ドクター・ノオ」でのアンドレスの衣装を纏った別のボンドガールが登場。 |
ジェームズ・ボンド卿 (デイヴィッド・ニーヴン)
Sir James Bond (David Niven)
元祖ジェームズ・ボンド。と云うか、本家イオン版ボンドを二代目呼ばわりする中、随所で繰り出されるアイロニーの数々はかなり笑える。演じるデイヴィッド・ニーヴンは、原作者のフレミングが本家シリーズのボンド役に推した最初の人。この辺りを踏まえれば、終盤でのアクションも何気にシャープに見えたりもするが、何れにせよ、ウィットだらけのダイアローグがフィットしまくり。米ソ英仏の諜報トップの面々を見下す序盤から怒涛のクライマックスまで、全キャストの中でも一番のアピール度。 |
マタ・ボンド (ジョアンナ・ペッティト)
Mata Bond (Joanna Pettet)
ボンドガール。ボンド卿があのマタ・ハリとの間に儲けた一粒種。その名の通りこの人も007の一人。と云うか、既に免疫が出来ていた為か、マタ・ハリが登場するスクリプトにも然程は驚かず。父親のボンド卿が迎えに出向くシークエンスでは、ゴージャスなダンスも披露。ベルリンのシークエンスではこの人がヒロイン。ついては、並み居る曲者キャストの中でもインパクト大。UFO(笑)に拉致される終盤ではヘアスタイルが大きく変化。 |
ディテイナー aka 007 (ダリア・ラヴィ)
The Detainer aka 007 (Daliah Lavi)
ボンドガール。007の一人。「ディテイナー」と云う名前の由来は不明だが、恐らくは、クーパー版ボンドの訓練に割って入る登場シーンに因んだもの。終盤では「ドクター・ノア」に言い寄られるシーンが登場するが、そもそもいつの間に囚われたのかは謎のまま。演じるダリア・ラヴィは、クリスティの"And then there were none"の2度目の劇場長編リメイク「姿なき殺人者」でもお馴染みの女性。 |
ジェームズ・ボンド aka 007 (テレンス・クーパー)
Cooper aka James Bond aka 007 (Terence Cooper)
7人のボンドの一人。AFSD計画(Anti-Female Spy Device)がぶち上げられる中、マネーペニーに見初められるキャラ。空手と柔道に加えてカーマスートラの黒帯を持つレディキラーと云う設定だが、演じるテレンス・クーパーは何気に米中西部の地味なタイプ。若い頃のレーガンのような感じだが、あの対女スパイ訓練のシーンではややシャキっと見えたりも。登場シーンも結構少な目。と云うより、実戦で戦うのもクライマックスだけ。 |
マネーペニー (バーバラ・ブーシェ)
Moneypenny (Barbara Bouchet)
ボンドガール。本家シリーズでもお馴染みのキャラだが、ここではその娘という設定。さらには「007」の一人というおバカな肩書きも。熟女のロイス・マクスウェルとは打って変わりバリバリのお色気でアピール。と云うか、バーバラ・ブーシェが最も綺麗だった頃の出演。ボンド卿に絡むメインキャラだった事を差し引いても、そのアピール度はかなり高い。 |
ハドリー (デレク・ニモ)
Hadley (Derek Nimmo)
MI5の職員。マネーペニーと同様、親の代からの二世の職員と云う設定。世界各地で消されたスパイの情報をボンドに説明するダイアローグは、本家シリーズへのやっかみにも似たアイロニー。「東京ではゲイシャハウスで…」と云うセリフは、同時期製作の「007は二度死ぬ」を指していたのかも。 |
マクタリー aka M (ジョン・ヒューストン)
McTarry aka M (John Huston)
本家シリーズでもお馴染みのキャラ。ただし、ここでは「MI6」ではなくMI5の長官。と云うか、マクタリーと云う苗字を明かすタブーについては、その根拠や真相も謎。ボンド卿の屋敷にミサイルを放った後、マクタリー家にボンドが弔いに訪れる展開には驚かされるが、要は、アッサリと殉職したと云う本家シリーズをおちょくる筋書き。云うまでもなく、自身が登場するスコットランドのシークエンスでは監督も兼任。 |
ランサム (ウィリアム・ホールデン)
Ransome (William Holden)
CIAの高官。と云うか、恐らくは長官。「下級暗号係からSCCT、SICのJCCを経てCIAに入局」と云うダイアローグと、青酸仕込みのバラのカーネーションをボンドに言い当てられるシーンが最初の見せ場。それにしても、あのウィリアム・ホールデンの登場も何処となく地味な感じ。4者横並びでの登場にも驚かされたが、かなりナチュラルに見えていたのもジョン・ヒューストンのご威光だったのかも。 |
ル・グラン (シャルル・ボワイエ)
Le Grand (Charles Boyer)
仏軍情報部のトップ官僚。米ソ英仏諜報トップの4者の中では最後列のキャラ。ボンド卿との挨拶も最後で、スーツのボタンに毒を仕込ませていた事をボンドに見破られるのも最後の順番。演じるシャルル・ボワイエは、「ガス燈」「おしゃれ泥棒」「失われた地平線」などでもお馴染みの人。 |
スメルノフ (クルト・カツナー)
Smernov (Kurt Kasznar)
KGBの高官。ボンド卿の台詞によれば、かつてはシベリアの労働監視官だった人物。「レーニンは指導者としては一流でも頭は二流。」と云うボンドの痛烈な台詞も飛び出す。演じるクルト・カツナーは、「北京の55日」にも出演していた人。ここでのダイアローグは、諜報トップ4人衆の中でも何気に多め。 |
Q (ジェフリー・ベイルドン)
Q (Geoffrey Bayldon)
本家シリーズでもお馴染みQ課のチーフ。このスクリプトでのボンドの所属先がMI6ではなくMI5だと云う事を明らかにするのはQのダイアローグ。Qがボンドに紹介する数々の珍兵器も笑えるが、「サンダーボール作戦」のアイロニーと思われる潜水スーツ姿で弓を射るキャラには爆笑。演じるジェフリー・ベイルドンは、「フランケンシュタイン恐怖の生体実験」「魔界からの招待状」「アサイラム・狂人病棟」など70年前後のホラー作品でもお馴染みの人。最近では04年の「ラヴェンダーの咲く庭で」にも登場。 |
Qの助手 (ジョン・ウェルズ)
Q's Assistant (John Wells)
Qの助手を務めるオカマ系のキャラ。ダイアローグではフォーダイスという名前も明らかにされる。演じるジョン・ウェルズは、後年の本家シリーズ作「ユア・アイズ・オンリー」にも登場。 |
マチス警視 (ダンカン・マクレー)
Inspector Mathis (Duncan Macrae)
フランス特別警察の警視。原作でもお馴染みのキャラだが、原作での肩書きは「仏参謀本部第二課」のエージェント。現地でボンドと合流する筋書きは原作の通り。このフィルムでは誰より早く画面に登場するキャラ。ちなみに、原作ではお馴染みでもイオン製作の本家シリーズには長年登場しなかったマチスだが、06年の本家シリーズ「カジノ・ロワイヤル」で遂にお目見え。 |
タクシー運転手 (バーナード・クリビンズ)
Taxi Driver (Bernard Cribbins)
タクシー運転手。その正体は、外務省の役人カールトン・タワーズ。ベルリン任務に赴くマタ・ボンドを送迎する人物。 |
ボンド卿の執事 (エリック・チッティ)
Sir James Bond's Butler (Erik Chitty)
序盤のシークエンスに登場する端役のキャラだが、何より気になったのは、ミサイルを打ち込まれたボンド卿の屋敷に残されたままだったと云う事。最終的にはメインキャラもほぼ全滅する訳だが、そんな中でも最初に殉職したのは他でもなくこの人。 |
FORMULA3の運転手 (スターリング・モス)
Driver (Stirling Moss)
ヴェスパーが誘拐される中、レーサースーツのセラーズに「あの車を追え!」と云われて走って追いかけるマヌケなFORMULA3の運転手。と云うか、これもかなり豪華なカメオ演出。演じるスターリング・モスは、英国では最も活躍したF1ドライバーながらも、無タイトルに終わった為に「無冠の帝王」と呼ばれた人物。 |
フランス外人部隊の一人 (ジャン=ポール・ベルモンド)
French Legionnaire (Jean-Paul Belmondo)
大混戦のクライマックスでいきなり登場するキャラ。只でさえ大勢が入り乱れる中、あの分厚いメイクは、ベルモンドと云うより「悪魔のいけにえ」のレザーフェイスのようにも見える。ベルモンドは「タヒチの男」「パリの大泥棒」「オー!」の前後でのカメオ出演。 |
| Various Note メモ: |
| スコットランド、ロンドン、ベルリン、パリと主人公の顔ぶれも様変わりする映像は、さながら傑作パロディの総集編。しかも誰もがボンドを名乗る中、実は一つのプロットだった事を思い出した頃にいきなりの大混戦で幕切れに。そもそも、米ソ英仏の諜報員が世界各地で消される中、その当事各国が疑心暗鬼に陥る事もなくスッポリとデタントに至るイントロから物凄い筋書きだが、何れにせよ、本家シリーズを尻目に年度3位の興行収益を叩き出した大ヒット作品だったと云う事。これも要は、超豪華な監督や執筆の面々も投げっぱなしでの仕事をする中、玉砕覚悟の製作者フェルドマンが、監修の過程をファンの目線で管理できた事が功を奏していたのではないだろうか。現にこの作品、妙な気負いも全くない。例えて云えば、超一流シェフが競演するフルコースの料理を大衆食堂のテーブルで食べているような印象にも近い。 |
| 公開当時の1967年と云えば、英国ではあの「サンダーバード」の余韻も覚めやらなかった時代。UFOがトラファルガー広場を離着陸する中、模型の秘密基地に格納されるシーンには誰もがニンマリさせられたはず。ウエスタンのショットから飛び出す騎兵隊やパラシュート降下するインディアン、ギャングスターや動物キャラまでもが入り乱れる常識破りのクライマックスに至れば、英国人が十八番とするアイロニーの入る余地すらなかったはず。しかも、アレン演じる大爆笑キャラ「ドクター・ノア」を軸にカウントダウンでケリを付ける結末も実に潔い。と云うより、メインキャラ全員を葬り去りながらも、大団円の情景にも見えていた辺りが何より凄い。 |
| スコアのクオリティも特筆すべき所。仄々としたトーンにも終始するスコアだが、その実これは、ショービズ本場の超一流による本気の仕事。ピーター・セラーズ+ウルスラ・アンドレスのメロウなシークエンスも、オスカーにもノミネートされたボサの名曲"The
Look Of Love"なくしてはあり得なかった。ボンド卿の屋敷に向うMら4人組の車の屋根に雌ライオンが乗るカットでは、本家シリーズではお馴染みのジョン・バリー作曲の「野生のエルザ」のテーマリフをフィーチャーするなど芸も細かい。 |
| ちなみに、マット・モンローやシャーリー・バッシー、トム・ジョーンズのヒット曲を飛ばしていたここまでの本家シリーズだが、ビルボードの「トップ40」チャートに2曲を送り込んだボンド映画も、実は番外編の本作だけ。後年のシリーズ作を引き合いに出しても例外はない。そんなテーマ曲や"The
Look of Love"も収録されたサントラ盤は、ボンドファンならずともモノホン指向の音楽ファンならゲットは必須。かなりイイ。 |