| Introduction 序盤アウトライン: |
| 英国秘密情報部の「殺しのライセンス」を持つエージェントに昇格したジェームズ・ボンドは、着任早々の大捕り物で重要情報を得る中、マイアミでの航空機爆破テロを阻止する。一方、国際テロ組織の資金運用人ル・シッフルは、ボンドに計画を邪魔された事で莫大な損失補填を余儀なくされる中、モンテネグロのカジノで行われる超高額レートのポーカー勝負で再起を図ろうとしていた。そんな中、国際テロ組織に精通するル・シッフルの生け捕りを目論むMI6長官のMは、局内でも最高の勝負師として知られるボンドをその刺客として送り込むのだがーー |
| Various Note メモ: |
イアン・フレミングの同名原作を基に「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ」「007/ダイ・アナザー・デイ」でもコンビを組んだニール・パーヴィスとロバート・ウェイド、そして「クラッシュ」「ミリオンダラー・ベイビー」「父親たちの星条旗」のポール・ハギスが共同脚色。フレミングの原作は、53年のTV版を除けば、67年の番外編に続く2度目の映像化。演出は「007/ゴールデンアイ」以来、こちらもシリーズ2度目となるマーティン・キャンベル。
以下、完全ネタバレ。未鑑賞の方はご留意下さい。 |
| various novels and movies 原作と映像化作品のリスト: |
| 原作 novels |
映像化作品 movies |
| year |
邦題
別文節の「007号」は省略 |
original title |
year |
title
邦題
|
| 1953 |
カジノ・ロワイヤル |
Casino Royale |
1953 |
US/CBS TV
Climax Mystery Theater
Casino Royale
* Barry Nelson as 007 |
| 1967 |
same |
| 2006 |
same |
| 1954 |
死ぬのは奴らだ |
Live and Let Die |
1973 |
same |
| 1955 |
ムーンレイカー |
Moonraker |
1979 |
same |
| 1956 |
ダイヤモンドは永遠に |
Diamonds Are Forever |
1971 |
same |
| 1957 |
ロシアから愛をこめて |
From Russia with Love |
1963 |
same
007 危機一発
007 ロシアより愛をこめて
|
| 1958 |
ドクター・ノオ |
Dr. No |
1962 |
same
007は殺しの番号
007 ドクター・ノオ
|
| 1959 |
ゴールドフィンガー |
Goldfinger |
1964 |
same |
| 1960 |
007号の冒険
以下5編収録の短編集。
#1: バラと拳銃
#2: 読後焼却すべし
#3: 危険
#4: 珍魚ヒルデブランド
#5: ナッソーの夜 |
For Your Eyes Only
* omnibus as 5 episodes
#1: From a View to a Kill
#2: For Your Eyes Only
#3: Risico
#4: The Hildebrand Rarity
#5: Quantum of Solace |
1981 |
same
007 ユア・アイズ・オンリー |
| 1985 |
A View to a Kill
007 美しき獲物たち
|
| 1961 |
サンダーボール作戦 |
Thunderball |
1965 |
same |
| 1962 |
わたしを愛したスパイ |
The Spy Who Loved Me |
1977 |
same
007 私を愛したスパイ
|
| 1963 |
女王陛下の007号 |
On Her Majesty's Secret Service |
1969 |
same
女王陛下の007
|
| 1964 |
007号は二度死ぬ |
You Only Live Twice |
1967 |
same
007は二度死ぬ
|
| 1965 |
黄金の銃を持つ男 |
The Man with the Golden Gun |
1974 |
same
007 黄金銃を持つ男
|
| 1966 |
ベルリン脱出
以下3編収録の短編集。
#1: オクトパシー
#2: 所有者はある女性
#3: ベルリン脱出 |
Octopussy
* omnibus as 3 episodes
#1: Octopussy
#2: The Property of a Lady
#3: The Living Daylights |
1983 |
same
007 オクトパシー
|
| 1987 |
same
007 リビング・デイライツ
|
|
| release dates 英/米/日本での封切り状況: |
| ロンドン・プレミア:2006年11月14日/全英公開:2006年11月16日/全米公開:2006年11月17日/日本公開:2006年12月1日。(中東のクウェートでは、ロンドン・プレミアと同日に公開。) |
| a novel and a movie 原作と脚色: |
| 敵の資金源を握る男を丸裸にすべくカード勝負に挑む中、女スパイとの悲哀の結末をオチにする筋立ては原作にもほぼ同じ。ボンドやM(原作は男性)、CIAのフェリックス・ライターはもとより、筆頭ボンドガールたるヒロインのヴェスパー・リンド、敵役のル・シッフル、現地協力者のマチス(原作では仏参謀本部第二課のエージェント)など主要キャラの顔ぶれも原作の通りだが、ここでの大きな違いは、ソ連から国際テロに変化した敵対勢力の構図。ついては、舞台設定も仏ロワイヤル・レゾーから独立したばかりのモンテネグロに移動。ちなみに「スプレンディド」と云うホテルの名前は原作のまま登場。 |
| それにしても、コンテンポラリーな通信機器を最前線での必須アイテムとして登場させる中、フレミングのボンド処女作を再現する予想外の内容にはフツーにビックリ。と云うより、過去のシリーズ作を亡き物にする製作サイドの並々ならぬ意気込みには只々仰天させられたが、要は、独立したばかりのモンテネグロに舞台を設定する事で日進月歩の世界情勢にもリンク、シリーズの刷新を強調していたと云う事ではないだろうか。「カジノ・ロワイヤル」と云う処女作たる原作がそのネタだった辺りも製作側にとっては絶好の機会だったはず。 |
| 原作ではソ連との諜報合戦が描かれていた中、現代社会では最大の脅威たる国際テロに置き換えるダイナミックな脚色も見事。ついては、ル・シッフル周辺の脚色も面白い。原作でのボンドの任務は、フランス国内での共産勢力の金庫番たるル・シッフルを丸裸にする事で親元のソ連を国際世論の槍玉に挙げると云うものだが、ここでは、テロ行為による株価の操作で国際テロ組織の懐を潤すル・シッフルを丸裸にする事で有益な情報を手に入れようとする筋書き。要は、景気の良い状態のル・シッフルを逮捕しても何ら効果がなかったもので、テロ組織から追われる立場のル・シッフルの身元を引き受ける事でようやく有益な情報が引き出せるという算段だったワケだが、ついては、最初の大勝負で大負けしたボンドがル・シッフルへの武力行使に踏み切ろうとしていたのも、英国にしてみれば大ピンチだった局面。莫大な現ナマがテロ組織の資金になる挙句、有益な情報を引き出す目論みも泡と消えていたはずなので。 |
| ちなみに、ル・シッフルとの勝負の最中、毒を盛られらたボンドが窮地に陥る場面も脚色によるアレンジ。原作では、ボンドがCIAのバックアップを得る中、ボンドの座席背後に陣取った殺し屋が勝負の棄権を強要しようとする筋書き。ちなみにその結末は、瞬時のスキを突いたボンドが椅子ごと後ろに跳ね返る事で、サイレンサー銃を構えた殺し屋を撃退するという肉弾アクション。 |
| ヒロインのヴェスパーについては、黒髪の美女という容姿は原作と一致するものの、序盤でのアイロニカルなダイアローグは脚色ならではのアレンジ。原作では、お荷物になる事も明らかな女性エージェントとの仕事に抵抗を覚えていた中、出合った瞬間に胸キュンされるボンドだが、何よりこちらの脚色で凄かったのは、ヴェスパーがスパイだった事を明らかにする終盤での怒涛の展開。原作では、拷問の傷を癒したボンドとヴェスパーのランデヴーの最中、結婚を考えるボンドの情熱に耐え切れずに自ら命を絶つヴェスパーだが、何とここでの脚色は、古都ヴェニスの建物1個を破壊する超弩級の特撮映像もフィーチャーするダイナミックな展開。正にシリーズ屈指の迫力だったクライマックスだが、そもそもアクションをフィーチャーする脚色のパートは、のっけから凄かった。と云うより、どの段落も物凄い。ジャッキーも真っ青の序盤のマダガスカルでのスタントは、シリーズ屈指と云うより、恐らくは英国人が投資する映画史上でもダントツのスリル。続くマイアミでの空港テロ、モンテネグロでの紆余曲折、ヴェニスでのクライマックスと何れの描写も掛け値なしでの超一級品。 |
| about James Bond ジェームズ・ボンド: |
| 2名の殺害を経て00ナンバーを得る中、ヴェスパーと出会う任務の最中に早々と引退まで決め込むというアウトラインは原作にもほぼ同じだが、違っていたのはその動機の部分。原作では、全裸での拷問に曝される中、情報部のスパイ活動を「インディアンごっこ」と形容するル・シッフルの台詞に「ハマって」引退を決意するボンドだが、こちらの脚色で引き金となったのは、ヴェスパーとの出会い。それにしても凄かったのは、その拷問を描く辺りの脚色。と云うより、原作にもほぼ忠実な拷問の描写だが、まずフルモンティのボンドが急所を攻撃されると云うのも、過去の映像シリーズでは掟破りの描写。そんな映像シリーズではタブーな描写も、原作の方では処女作にして描かれていたと云うのもかなり微妙だが、何れにせよ、この辺りのシビアな演出が脚色全体を引き締めていた事は確か。 |
| ちなみに、「ゴールデンアイ」の頃から監督候補に挙げられていたタランティーノであれば、この辺りもさらに過激になっていたはずだが、そもそもこの辺りの境界線で折り合いがつかなかったという裏事情を思い巡らせば、このフルモンティのボンド責めと云うモンドなシーンは、門外漢のレッテルを貼られたタランティーノの目にはどう映るものなのかと。ちなみに過激と云えば、マイアミ空港での爆破テロを未然に防ぐ中、そのボンドの顔を傷だらけにする辺りも、過去シリーズではご法度だったシビアな描写。 |
| それにしても驚かされたのは過激さを増したボンドの描写。と云うより、そもそものボンドのキャラ像と云うのも、ワイルドさとタフネスなくしては務まらぬ殺し屋のそれ。00課に配属される為の試金石となった一人目の殺しを回想するイントロや、ウガンダのテロリストとの一騎打ちなど掛け値なしでのシビアさなど、そんな本来あるべきキャラ像を体現する演出と演技にはとにかく魅せられた。キャスティングの際には物議を醸していたダニエル・クレイグだが、ここでのパフォーマンスには誰もが口を噤んだはず。まさしく適材適所の好演。ウィットにも決別する超シリアスな脚色にはあの野獣のような表情も良く似合う。目元に下手な下心をチラつかせない辺りが何よりイイ。 |
| ボンドのトレードマークとも云えるお馴染みのモチーフについてはそのトーンもさまざま。マイアミの敵から失敬するあの64年型DB5や新型DBSなど新旧アストンマーチンや、駐車整理を装い派手にぶつけるレンジローバー、新型モンデオ、ジャガーXJなど統一ブランドのボンドカーはいつもの如く映像に華を添えているが、新しいカクテルが登場する一方、ブレンドには「こだわらん」と一蹴されるマティーニや、お馴染みの自己紹介ラインも最後でクローズアップされるなど、シリーズ刷新の意図も随所に垣間見れる。そんな製作側の意図を露にしていたのは、マネーペニーを引退に追いやっていた事。あのMがジュディ・デンチに変わった「ゴールデンアイ」も大事件だったが、ここでのマネーペニーの引退は全くの別次元での話。恐らくはその代役として挿入されたのが、トビアス・メンジーズ演じるMI6の男性職員ヴィリアーズだが、これらも要は、ウィットとは決別する路線転換の証。その辺りは、圧倒的行数に増えたボンドとMのシリアスなダイアローグでも顕著。 |
| ヴェスパーの亡き後、"The bitch is dead."という衝撃の台詞を言い放つボンドだが、この辺りは、ヴェスパーの遺書(脚色ではメール)を目の当たりにする中、台詞を放った後にシビアな余韻のまま幕を下ろす原作とここでの脚色の印象は当然異なる。ただ、ヴェニスでの劇的な展開を踏まえれば、台詞を放った後にヴェスパーの真意に気付かされる脚色も甲乙付けがたい出来映え。ちなみにその直後に処刑されるミスター・ホワイトは原作には登場せず。 |
| Intro Sequence 冒頭シークエンス: |
| モノクロで描くクールなイントロは正にシリーズ屈指。意表を突くギミックやスーパースタントで魅せるイントロは、ボンド作品ではお約束の最初の見せ場だが、本作の場合、恐らくはボンドが登場するシリーズのイントロ(「殺しの番号」と「危機一髪」を除く)でも最短のシークエンス。と云うより、研ぎ澄まされた内容は瞬く間の印象にも思えたと云う話。 |
| 敵に寝返ったプラハのMI6局長とその取り巻きを処刑する脚色は、00課に配属される試金石として原作でも描かれているが、その内容はやや違う。ちなみに、原作で描かれる2件の試金石は、日本人の暗号解読の専門家を暗殺するNYでの殺しと、東ドイツに寝返ったノルウェーの2重スパイをストックホルムで暗殺するという微妙にややこしいロケーションでの2件だが、脚色でのプラハの殺しは、原作での2件目の殺しを何気にスマートにしたものだったようにも思える所。 |
| クリス・コーネルが歌う"You Know My Name"も、本編スクリプトの硬派なトーンにメチャクチャフィット。何より絶品だったのは、原作では処女作のレトロなネタにもリンクする往年の曲調。強いて言えば、"a-ha"がプレイする"The
Living Daylights"のイメージにも近いが、何れにせよ、ここでは女性シンガーはありえなかった。デイヴィッド・アーノルド編曲(作曲も)のブラスなくしては語れないド迫力のイントロだが、ちなみに、他に目に付いたのは、あの「JBのテーマ」での編曲。モンティ・ノーマン作曲の本家アレンジの場合、あの爆発的に盛り上がるサビの3小節目頭は、2小節目の4拍目の半拍裏からタイになるのが定石だったが(要は、食っていたと云う事)、アーノルド版の編曲では、3小節目頭から素直に入るアレンジに変化。取るにも足らぬような事かもしれないが、その実、これは結構な事件だった。 |
| 歌詞の内容にもリンクするCG処理のタイトルデザインも絶品。デザイン担当は、モーリス・ビンダー引退後の「ゴールデンアイ」以降、シリーズ全作を手掛けるダニエル・クラインマンだが、そのインパクトはまさしくダントツ。お約束のガンバレルアクションをテーマシークエンスにつなげるアイディアも絶品だった。力強いダニエル・クレイグのガンショットも申し分ない。 |
| location 舞台: |
チェコ(プラハ) → ウガンダ → マダガスカル → バハマ → マイアミ → モンテネグロ → ヴェニス
先の通り、原作では仏ロワイヤル・レゾーだった舞台を独立したばかりのモンテネグロに移動する脚色は、日進月歩の世界情勢にもリンクするリニューアル宣言に他ならない。そんなメイン舞台のモンテネグロは、世紀のカード勝負とボンドの危機を描く重要なロケーションだが、原作には登場しないマダガスカル、マイアミ、ヴェニスなど他のロケーションも、ここでの脚色では何れも重要。と云うより、最大の見せ場があちこちにあったような感じ。 |
| 脚色のみでの舞台となるバハマについては、原作では指揮命令系統の中継点がジャマイカだった事から中米つながりでの脚色だったようにも思える所。ちなみにそのバハマの舞台となるパラダイス島は、ハートフォード氏所有の個人の島で、あの「サンダーボール作戦」でもお馴染みのロケーション。そのボンドガールの1人として「サンダーボール作戦」に顔を出していたハートフォード夫人だが、何と本作でもオーシャンクラブのカードプレーヤーとして劇中に登場。 |
| enemy ボンドの敵: |
ル・シッフル (マッツ・ミケルセン)
Le Chiffre (Mads Mikkelsen)
テロ行為で株価を操作する中、テロ組織の資金運用をビジネスにする極悪人。左目付近に負った傷跡から血の涙を流す描写は、脚色ならではのアレンジ。原作での肩書きは「アルザス労働者連合組合」地下会計責任者でソ連の工作員。スメルシュと国際テロ組織という違いはあるものの、カードでボンドに丸裸にされる中、後ろ盾だった組織に消される結末は原作/脚色共に同じ。ヴェスパーから秘密裏にもたらされた情報で1度はボンドに勝ちながらも、CIAの資金を得たボンドとのリベンジマッチで丸裸にされるゲームの経緯も同じだが、原作ではバカラ(手っ取り早く云えば「おいちょカブ」)だったのが、こちらではポーカーに脚色。エースがトリプルのフルハウスだったル・シッフルをボンドのストレートフラッシュが打ち負かす勝負のシーンは、やはり一桁数字勝負の原作よりインパクトも大きい。 |
アレックス・ディミトリオス (サイモン・アブカリアン)
Alex Dimitrios (Simon Abkarian)
マイアミ空港での爆破テロの段取りを付けるバハマの武器商人。テロの阻止に奔走するボンドとの一騎打ちでジ・エンド。原作には登場せず。 |
ソランジェ (カテリーナ・ムリーノ)
Solange (Caterina Murino)
ボンドガール。ディミトリオスの女房。ディミトリオスの後を追うボンドと接触した為にル・シッフル一味に惨殺される美人妻。悪事には一切関与せず。惨殺されるシーンは一切登場しないが、遺体の顔をどアップにするだけでも充分な効果を得ていた演出はなかなかのもの。劇中では、ヒロインのヴェスパーに次ぐアピール度。云うまでもなく原作には登場せず。 |
スティーヴン・オバンノ (イザック・ド・バンコレ)
Steven Obanno (Isaach De Bankole)
ウガンダのテロリスト。ボンドとの壮絶な一騎打ちは見せ場の一つ。ボンドのスリーパーで息絶えるキャラだが、あの情け容赦ない描写はシリーズでも本作ならではの泥臭さ。かなりのインパクト。演じるスティーヴン・オバンノは「マンダレイ」でもお馴染みの人。原作には登場せず。 |
ミスター・ホワイト (イェスパー・クリステンセン)
Mr. White (Jesper Christensen)
ル・シッフル一味の黒幕。と云うより、組織形態も謎の組織の中核メンバーとでも云うべきヒールキャラ。あのヴェニスの運河からどうやってアタッシュケースを回収したのかという疑問も残るが、何れにせよ、ヴェスパーが残した遺言的なメールによってボンドのターゲットに。原作には登場せず。 |
ヴァレンカ (イワナ・ミルセヴィッチ)
Valenka (Ivana Milicevic)
ボンドガール。ボンドのカクテルに毒を入れる悪女。スクリプトの中ではアピール度もそこそこの唯一の悪女キャラだが、何とセリフは1行もなし。ル・シッフルが葬られた後の末路も謎のまま。以降のシリーズ作にも顔を出すと云う事なのかも。ちなみに原作には登場せず。演じるイワナ・ミルセヴィッチは「ザ・エージェント」や「バニラ・スカイ」などクルーズ作品で売り出した人。「ラブ・アクチュアリー」ではモテない男がゲットするヤンキー娘役(2人のうちの1人)で登場していた美女。 |
カルロス (クラウディオ・サンタマリア)
Carlos (Claudio Santamaria)
ル・シッフルの手下。未遂に終わるマイアミ空港テロの実行犯。タンクローリーに仕掛けたはずの起爆装置で返り討ちになる最期は強烈なインパクト。それにしても、あの一連のシークエンスの迫力は半端じゃない。例えて云えば、下手なドライバーの運転車の助手席に座るようなリアルな緊張感だった。演じるクラウディオ・サンタマリアは、ダリオ・アルジェントの「デス・サイト」で刑事の仮面を被った猟奇殺人鬼を演じていた人。あのアブナい視線が特徴的ですね。原作には登場せず。 |
モーラカ (セバスチャン・フォーカン)
Mollaka (Sebastien Foucan)
マダガスカルでボンドに追われる爆弾犯。原作には登場せず。CGなども当然のように駆使していたと思われるあの序盤のシークエンスだが、それにしてもあのアクションは只事じゃない。高所での撮影も物凄かったが、鉄筋に飛び付いて駆け上るシーンや、あのビルの吹き抜けをジグザグジャンプで駆け下りるシーンなどは全て自身でのスタント。とにかく絶句。演じるセバスチャン・フォーカンは、あの軽業の分野では著名な人との事。 |
ドライデン (マルコム・シンクレア)
Dryden (Malcolm Sinclair)
プラハのMI6局長。00課に配属されたボンドがその最後の試金石として暗殺した2重スパイ。原作には登場しないキャラだが、先の通り、恐らくは原作で描かれるボンド2人目のターゲットにちなんだキャラ。カートリッジなしの銃を構えて余裕をフカす辺りはかなりのドジ。 |
ゲットラー (リシャール・サムエル)
Gettler (Richard Sammel)
ル・シッフル界隈の中核的なヒール。ネイルガンで左目を打ち抜かれてジ・エンド。原作には登場しないキャラだが、一方が黒いレンズの眼鏡をしていた辺りから察すれば、恐らくは原作に登場する黒い眼帯のスメルシュの監視役に被るキャラ。ちなみにその登場箇所は、原作・脚色何れの場合もクライマックスで、どちらのキャラもヴェスパーに付き纏うという設定。 |
クラット (クレメンス・シック)
Kratt (Clemens Schick)
ル・シッフルの手下。ル・シッフルのアジトからカジノ、ボンドを拉致するシークエンスまで満遍なく顔を出すヒールキャラ。原作にもル・シッフルの手下は3人登場するが、特徴的な類似点は見当たらず。脚色での末路は不明のまま。 |
トメリ (ウルバノ・バルベリーニ)
Tomelli (Urbano Barberini)
イタリア人の富豪。カジノでのボンドの対戦相手。と云うよりカモの1人。原作にも同名のキャラが登場。演じるウルバノ・バルベリーニは、アルジェントの「オペラ座/血の喝采」では猟奇的なイケメンヒールとして根強い人気を得た人。ランベルト・バーヴァの「デモンズ」では最後まで生き残る唯一のメインキャラですね。ここでのスクリプトでは、ボンドのカクテル注文に便乗する1人として、どアップのカット1箇所と台詞も登場するが、云われなくても気付けた人は相当のイタゴア系マニア。 |
マダム・ウー (ツァイ・チン)
Madame Wu (Tsai Chin)
ボンドガール。ル・シッフルのカード仲間。カジノではボンドとも対戦する。と云うよりカモられる。スクリプトでは、ル・シッフルのアジトのクルーザーとモンテネグロの2箇所で登場。演じるツァイ・チンは、シリーズでは何と「007は二度死ぬ」に続く約40年ぶりでのお目見え。北京ダックに例えられるあの仕掛けベッドの美女役は、ファンの間では富に有名。それにしても、40年という凄まじい歳月を感じさせない辺りはさすが。そう言えば、「北京のふたり」や「SAYURI」にも顔を出してましたね。 |
グラーフィン・フォン・ヴァレンシュタイン (ヴェルーシュカ・フォン・レーンドルフ)
Gräfin von Wallenstein (Veruschka von Lehndorff)
ボンドガール。ル・シッフルの左隣に座るカジノのプレイヤー。演じるヴェルーシュカは、あの「欲望」でも知られる元スーパーモデル。セリフは1行もないが存在感は充分。 |
モンテネグロの警察署長 (マイケル・G.ウィルソン)
Chief of Police (Michael G. Wilson)
ル・シッフルの息のかかった悪徳署長。マチスのお膳立てで悪事に加担する間もなく連行されるキャラ。"Chief of Police"と云うクレジットや遠目の映像で確認した限りでは、マイケル・G.ウィルソンのカメオ的な演技だったと思うが、僅かな登場カットの為に確信は持てず。 |
警察署長の連れ合い (マルチナ・ズラヴォラ&マルセラ・マルチンキャコヴァ)
Police Chief's Girlfriend (Martina Duravolá and Marcela Martincáková)
ボンドガール。モンテネグロ当局に連行される警察署長の連れ合いとしてそれなりにアピールする美女たち。どの辺りまでがボンドガールという話になればやや微妙だが、実はボンドガールの定義というのも非常に明快。要は、ボンドが視線を送るか送らないかという話。となれば、こちらの2人も一端のボンドガールと云う事に。 |
| company ボンドの仲間: |
M (ジュディ・デンチ)
M (Judi Dench)
MI6の女性長官。ボンドガールと呼ぶにはかなり微妙なキャラだが、演じるジュディ・デンチは、バーナード・リー、ロバート・ブラウンに続く本家シリーズでは「ゴールデンアイ」以降の全作品に名を連ねる3代目のキャスト。シリーズ刷新となった本作では、まず桁違いのスクリプトの多さに仰天。ボンドとのダイアローグも悉く強烈。厳格なお袋と無軌道な息子が抱えるような緊張感も、決して意図されたものではなかったはず。ちなみにダンナ同伴でのベッドルームが映し出されるのもシリーズでは唯一。と云うか、これが最初で最後なのかも。 |
ヴェスパー・リンド (エヴァ・グリーン)
Vesper Lynd (Eva Green)
ボンドガール。MI6の経理嬢。恋人が敵側に囚われる中、否応なしでの状況を描く辺りや、容姿の特徴なども原作にほぼ同じだが、先の通り、ボンドに噛み付く鋭角な性格については脚色ならではのアレンジ。また、孤児だった事を仄めかす辺りも原作では描かれず。演じるエヴァ・グリーンは、「キングダム・オブ・ヘブン」でブレイクした新進気鋭の美人女優。目元は違うが、若い頃のシャーロット・ランプリングのようなクールビューティーと云った印象。 |
フェリックス・ライター (ジェフリー・ライト)
Felix Leiter (Jeffrey Wright)
CIAのエージェント。ボンドの懐を助ける辺りは原作に同じだが、暴走しかかったボンドをなだめる辺りは原作では描かれず。映像シリーズでのフェリックス・ライターと云えば、5代目のデイヴィッド・ヘディソン(89年の「消されたライセンス」でシリーズ復帰)を除けば毎度役者が代わる事でもお馴染みのキャラだが、その7代目を演じるジェフリー・ライトは、本家シリーズでは初となる黒人キャスト。ちなみに番外編を含めれば、「ネバーセイ・ネバーアゲイン」のバーニー・ケイシーに続く2人目。次回以降の作品にジェフリー・ライトの名が連なれば、シリーズ初の快挙と云う事に。 |
マチス (ジャンカルロ・ジャンニーニ)
Mathis' (Giancarlo Giannini)
原作では「仏参謀本部第二課」の協力員としてお馴染みのキャラだが、映像シリーズでは何と本作が初登場。しかも、グレー扱いされる微妙な配役。と云うか、ヴァルカン方面の「現地協力員」として登場する以上、原作でのキャラ色とは端から違っていたと云う事なのかも。キャスティングの変更は充分にあり得るが、次回作以降での登場も可能性大。 |
ヴィリアーズ (トビアス・メンジーズ)
Villiers (Tobias Menzies)
MI6の男性職員。と云うより、マネーペニーの代わりに登場するMの秘書。登場カットも何気に多い。飄々としたトビアス・メンジーズの演技も好印象だが、何より、男性キャストへの代替によってMの存在感とリアリズムに拍車をかける事に。と云うか、ジュディ・デンチをシリーズ起用する段階で男性キャストに変更する選択肢もあったはず。それにしても、あのマネーペニーを引退に追いやるとは大胆な刷新だったが、長い目で見れば、恐らくはポジティヴな効果をもたらす事も間違いないはず。 |
メンデル (ルトガー・ピストール)
Mendel (Ludger Pistor)
カジノでのゲームをバックアップする銀行家。別にボンドの味方というキャラではないが、ヴェニスでの悪党退治に繋がる情報をボンドにもたらしたと云う事で。演じるルトガー・ピストールは、「シンドラーのリスト」や「ラン・ローラ・ラン」などメジャー作品にも出演した人。 |
カーター (ジョセフ・ミルソン)
Carter (Joseph Millson)
MI6のメンバー。マダガスカルでモーラカ(セバスチャン・フォーカン)を取り逃がしたドジな人物だが、ついてはこのキャラなくしてあの名場面もなかったと云う事で。 |
オーシャン・クラブの受付嬢 (クリスティナ・コール)
Ocean Club Receptionist (Christina Cole)
ボンドガール。バハマの会員制クラブの受付嬢。バハマの武器商人ディミトリオス(サイモン・アブカリアン)の情報を聞きだそうとするボンドに、トラブルになる駐車場事故は黙っていた方がとアドバイスする現実派の美女キャラ。 |
シュルツ (ユルゲン・タラック)
Schultz (Jürgen Tarrach)
レンジローバーのオーナー。ボンドを駐車場整理スタッフと勘違いするドジなキャラだが、ボンドの任務にも一役買ったと云う事で善玉キャラにリストアップ。 |
カードプレイヤー (ダイアン・ハートフォード)
Card Player #3 (Diane Hartford)
ボンドと・ル・シッフル以外では3番目に画面に登場するカードプレイヤー。ディミトリオスの左隣に座る緑色のドレスの女性。演じるダイアン・ハートフォードは、ロケ地となったパラダイス島のオーナー夫人。ボンドガールと呼ぶにはかなり微妙な年齢になってしまったが、「サンダーボール作戦」に出演した当時は、バリバリのボンドガールとしてその美貌をアピールしていた女性。コネリーとのダイアローグもフィーチャされていた。ちなみにここでも、年相応などというのも失礼な健康的な美貌を披露。 |
司令室の医師 (ポール・バッタチャージー&クリスピン・ボーナム=カーター)
Hot Room Doctor (Paul Bhattacharjee and Crispin Bonham-Carter)
MI6専属のドクター。ジギタリスを盛られたボンドに無線でアドバイスを送る重要なキャスト。ちなみに、画面向って左側の人物が「ブリジット・ジョーンズの日記」でもお馴染みのクリスピン・ボーナム=カーター。 |
司令室の技術スタッフ (サイモン・コックス&レベッカ・ゲジングス)
Hot Room Technician (Simon Cox and Rebecca Gethings)
MI6司令室の技術スタッフ。演じるサイモン・コックスの方は台詞なしでの登場。ボンドと視線を合わせる事もないレベッカ・ゲジングスはボンドガールと呼ぶのも微妙だが、「ボンドからです」と云うダイアローグを考慮すれば、これも立派なボンドガールと云う事に。 |
MI6の技術スタッフ (ピーター・ノートリー)
MI6 Technician (Peter Notley)
ボンドに装備を支給する技術屋キャラ。あの「Q」に代わるキャラには違いないが、シリアスな刷新路線ではその出番も瞬く間。演じるピーター・ノートリーは、「ゴールデンアイ」以降のシリーズ全作品で特殊効果に携わるスタッフ。 |
テニスの女性 (アレッサンドラ・アンブロージオ&ヴェロニカ・フラデイコヴァ)
Tennis Girl (Alessandra Ambrosio and Veronika Hladikova)
ボンドガール。バハマのオーシャンズクラブ駐車場でボンドとすれ違う美女。色黒の女性がヴェロニカ・フラデイコヴァで、製作現場ではダニエル・クレイグのアシスタントだった女性。 |
ホテル・スプレンディドの受付嬢 (レジーナ・ガバジョーヴァ)
Hotel Splendide Clerk (Regina Gabajová)
ボンドガール。ル・シッフルとの決戦の舞台となるモンテネグロのホテルの受付嬢。2箇所のシーンで顔を出すクールビューティ。ちなみに、原作に登場するロワイヤル・レゾーのホテルも同じ名前。演じるレジーナ・ガバジョーヴァは、チェコ出身のボンドガール。 |
カジノのウェイトレス (ヴラスタ・スヴァトコヴァ)
Waitress (Vlasta Svátková)
ボンドガール。ル・シッフルとの決戦会場のバーでボンドにカクテルを支給する女性スタッフ。悪女ヴァレンカ(イワナ・ミルセヴィッチ)がカクテルに毒を盛った直後にアップのカットも登場。演じるヴラスタ・スヴァトコヴァは、前段のレジーナ・ガバジョーヴァと同様にチェコ出身のボンドガール。 |
空港セキュリティーにいる男 (リチャード・ブランソン)
Man at Airport Security (Richard Branson)
空港のシークエンスでは、「80デイズ」や「スーパーマン リターンズ」にも顔を出していた「ヴァージン」グループの創始者/総裁リチャード・ブランソンも登場。オールドフィールドの「チューブラー・ベルズ」(「エクソシスト」のテーマ挿入曲)が初のリリースタイトルだった辺りでは映画ファンにも所縁のある人物。ちなみに、マイアミ空港の金属探知機を潜るボンドの右脇の探知機で両手を挙げている男性がブランソン氏。 |
マイアミ国際空港の作業スタッフ (マーティン・キャンベル)
Airport Worker (Martin Campbell)
云わずと知れたキャンベル監督のカメオ出演。テロ実行犯のカルロス(クラウディオ・サンタマリア)の一撃で首をへし折られる作業スタッフ。渾身の死に顔も画面狭しと映し出される。 |
| Various Note メモ: |
| ジェームズ・ボンドの誕生を描くフレミングの原作はシリーズ最古の処女作だが、新世代ファンの獲得も必至の昨今、過去シリーズとの決別を図る製作サイドは大胆なリニューアルを断行。舞台設定を現代に移す中でのボンドの「誕生」は、新時代の幕開けに他ならない。舞台や背景の設定を除けば、原作のプロットもほぼ忠実に踏襲されているが、ポイントでの脚色もその全てが劇的。演出と演技も文句ナシ。シリーズ屈指の要素もてんこ盛り。生前のフレミングにもお墨付きをもらえる傑出した一遍ではないだろうか。 |
| それにしても気になるのは、既にプレゼンされている以降のシリーズ作。スパイが背負うシビアな現実を等身大で描く中、リアルなペーソスと劇的な脚色、怒涛のアクションが相乗効果をもたらしていた本作だが、ヒロインとの悲恋を描くモチーフがここでのペーソスに厚みを加えていた事も動かし難い事実。ボンドがマジで結婚を考えた事を考慮すれば、ヴェスパーというヒロインも「女王陛下の007」のトレーシーに匹敵するシリーズきってのヒロインキャラだが、ここでのあまりに劇的過ぎる脚色は、後のシリーズにも少なかれ影響を及ぼす事も必至。と云うのも、ボンドと女性のマジな恋愛模様も半ばご法度になってしまった為。原作での順番を踏まえれば、「女王陛下の007」でのメロウなモチーフもボンドにとっては2度目の「本気」だった訳だが、要は、もし3度目の本気を描くのであれば、並大抵の脚本では納得も出来ないだろうという話。逆に、ボンドと女性の悲恋を毎度お馴染みのテーマにすると云う手もある訳だが。何れにせよ、ネタも尽きた中での次回以降の知恵にも期待したい所。と云うか、今回はポール・ハギスの脚色参加が効いていたのかなと。 |
| ヒロインを演じるエヴァ・グリーンはもとより、スタンガン攻撃でくたびれジャガーのような退場劇となるジャンカルロ・ジャンニーニ、本家シリーズでは唯一の黒人版フェリックス・レイターを演じるジェフリー・ライト、クリストファー・ウォーケン的な不気味さのマッツ・ミケルセンなど、それぞれに充分な存在感をアピールする面々だが、やはりここでの立役者は、名実共にメインの座に君臨するダニエル・クレイグその人。物議を醸したキャスティングもウソだったかのよう。とにかくフィットしていた。個人的には、前年に公開されていた「ミュンヘン」でクレイグの声を聞いた時点で一押しの印象だったが、ここでのコテコテのシリアス路線を以降の作品でも貫くのであれば、本人が降板しない限り、歴代でも最長のキャリアを飾れるのではないだろうか。 |