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À l'intérieur
屋敷女 (2007) France 83 min.
Introduction 序盤アウトライン
クリスマス・イブの夜、郊外の屋敷で暮らす臨月の未亡人サラのもとに一人の怪しい女が訪れる。見ず知らずの女に名前を呼ばれる中、4ヶ月前に事故死した夫の事などを語りだす女に恐怖を覚えたサラは、やがてパトロール警官を呼び出すが、時すでに遅く謎の女は姿を消し去ってしまう。警官になだめられたサラは、施錠された邸内で不安をかき消すように就寝するが、その傍らには既に黒い影が息を潜めていたのだったーー
Various Note メモ
身重の未亡人に降りかかる狂気の一夜を超ヴィヴィッドかつスリリングに描く1本。13金やハロウィンなど80年代を風靡したスラッシュ作品から荒唐無稽なネタを差し引いたような印象の純正サスペンスだが、映像に於けるダイナミズムは往年の名作も余裕で凌駕。というか、ジェイソンでもブギーマンでもなく一人の中年女が巻き起こす一つの事件をここまでの惨劇に発展させるアイディアと演出には恐れ入る。一部の筋書きには違和感もあるが、これもある種は大成功と呼べる出来栄え。近年のユーロスラッシュの中でも際立つ1本ではないだろうか。「屋敷女」と言う内容度外視のドン引きするような邦題も、さまざまな新作が乱発する昨今ではなかなかのPR戦略だったのかも。オリジナル脚本と監督は、フランスの専門誌"Mad Movies"のジャーナリストとして知られていた新鋭アレクサンドル・バスティロ(Alexandre Bustillo)。共同監督として名を連ねるジュリアン・モーリー(Julien Maury)も本タイトルが銀幕デビューの新鋭。
主演は「ベティ・ブルー 愛と激情の日々 (1986)」「女の復讐 (1989)」「パリ、18区、夜。 (1994)」「ガーゴイル (2001)」のベアトリス・ダル(Béatrice Dalle)と「THE LAST DAY (2004)(未)」のアリソン・パラディ(Alysson Paradis)。主な共演は「しゃべる○○○ プッシー・トーク (1975)」「プロヴァンス物語 マルセルのお城 (1990)」「プロヴァンス物語 マルセルの夏 (1990)」のナタリー・ルーセル(Nathalie Roussel)、「浴室 (1989)」「ダニエルばあちゃん (1990)」「ギャングスター (2002)(未)」フランソワーズ=レジス・マルシャソン(François-Régis Marchasson)、「WASABI (2001)」「ブラッディ・マロリー (2002)」「ルビー&カンタン (2003)」のリュドヴィック・ベルティロ(Ludovic Berthillot)、「ミッション・クレオパトラ (2002)」「SAMURAI (2002)(未)」「ダニー・ザ・ドッグ (2005)」のエマニュエル・ランジ(Emmanuel Lanzi)、「さよならS (1998)」「情痴 アヴァンチュール (2005)」「アヴリルの恋 (2006)」のニコラ・デュヴォシェル(Nicolas Duvauchelle)など。

以下、完全ネタバレ。未鑑賞の方はご留意下さい。
アウトラインは、出産を明日にも控えようかと云う未亡人で身重のヒロインの自宅に1人の謎の女が侵入する中、ハサミの刃で突如襲い掛かる謎の女とヒロインの攻防を描くもの。ヒロインをヘルプするジョーカー的な男性キャラも皆殺しになる中、謎の女がヒロインの胎児を帝王切開で取り上げるクライマックスまで阿鼻叫喚の地獄絵図にも終始する内容だが、ちなみに本タイトルはIMDbでも7ポイント超の高評価で、日本国内でも公式サイト付きで劇場公開された1本。個人的には、違いの分かる友人の紹介で作品の存在を知る中、当初は「屋敷女」というタイトルから和製ホラーと勘違いしながらレンタル鑑賞した1本だが、鑑賞前に下調べした公式サイトの監督インタヴューがなかなか面白かった。
ちなみにそのインタヴューでは「ハイテンション (2003)」や「変態村 (2004)」の名前も登場しているが、開いた口も塞がらなくなる「ハイテンション」やひたすらイライラする「変態村」に比べれば、シンプルなプロットながらもツボを押さえた演出とダイナミズムを貫くこちらの方が格段に面白い。ちなみに60-70年代の伊ジャーロのテイストも加味したと語る監督だが、突如家に押し入る謎の女の正体を最後の最後まで気にかけさせられる辺りは、まぁ一連のジャーロにも匹敵するような面白味だったのも確か。その正体についても、ヒロインの亡き夫の不義の相手でほぼ確定なのかと思いきや、実は序盤での交通事故直前のカットに映る身重の女性もヒロインではなく、あの謎の女がもう一方の事故当事者で子供を流産した事が全ての動機だったとする筋書きだが、そんなイントロからオチにかけて大またで仕掛けるフェイントも巧い。シンプルなネタながらも、これは強烈なインパクトで拍子抜けするような事もない。
ただ、ヒロインと謎の女が事故の当事者として繋がるくだりにはやや違和感が。と云うのも、ヒロインが事故の相手だった謎の女の顔を知らなかったため。ヒロインにしてみれば、死亡したと聞かされていた相手当事者とは面識がなかったとの事だが、ちなみにこれはいわゆる過失相殺の案件。相手が死亡したと云う事になれば、いくら過失相殺の案件とは言え、刑事に於ける量刑も傷害とは全く異なるもので、ましてや民事の方で決着を付ける過程では遺族に対する心証をケアする意味でも、加害当事者は相手の葬儀にはほぼ確実に参列する。まぁ、こちらは亭主を失って被害者意識も強かったと云う事なのかもしれないが、さまざまなプロセスを踏まえても相手の顔を全く知らないと云うのも実に不自然。ましてやここでの場合、相手の謎の女も実は死亡していなかったもので、となれば、示談なり訴訟なりのプロセスで弁護士などの代理人から相手の素性や写真くらいは見せられる機会もあるはず。
何れにせよこれは、一度は「死亡」と断定された謎の女のその後、約4ヶ月の足取りが実に理解し難い。一度は心停止だったものの、その後に失踪したような場合でも、刑事・民事の両サイドからヒロインには情報も確実に伝わるはず。となれば、一度は土葬に付された謎の女が墓場から人知れず甦ったと云う筋書きも思い浮かぶが、これもかなり微妙だろう。と云うか、フランスに於ける自賠責のような強制保険の付保義務などについては全く知らないが、死亡者も出た交通事故で、当事者の請求権を移転する保険会社等の第三者が介入しないのもあり得ない話で、ましてやここでは謎の女と対峙するヒロインが「死んだと聞いていた」と語っているが、これも要は、「死んだ」のではなく、「失踪したと聞いていた」と云う筋書きであれば、全ても丸く収まっていたのだ。まぁ、あの怒涛のスラッシュ描写を立て続けに見せられれば、その辺りはどーでも良い気がするが、ベースのネタや演出の巧さも光っていただけに、この辺りはどうしても気になってしまう。
何れにせよ、スラッシュ愛にも満ちたここでのヴィジュアルのヴァリエーションはマジでスゴイ。謎の女を仕留めようと横殴りに振りかざした鋭利な棒が母親の首を貫くカットや、刑事の頭がガンショットで吹っ飛ぶカットなどは、スラッシュ嫌いな方々などもあまりにいきなりで観てしまうしかなかった訳だが、一方、刑事に連行される暴動の犯人が謎の女にハサミを突き立てられるシーンなどは、あの「ローズマリー」のようなネチネチ&残虐度。また、終盤に至れば、虫の息の刑事がゾンビのように暴れ回る中、生き残ったキャラ全員で火炎放射もありでのモンスター合戦のような様相を呈するが、そんな引き出しの多さもウケた理由の一つに違いない。あとは、あの胎児の様子を映し出す一連のCGカット。まぁ、意見もさまざまだと思うが、受難の対象となるキャラの年齢を胎児にまで引き下げるスラシュと云うのも前代未聞で、ハサミや火かき棒、銃弾などに身重のヒロインが晒される中、胎児の様子までもが随所で映し出されるここではかなり辛い。ちなみに、ジュリアン・モーリーとアレクサンドル・バスティロの名を連ねる演出のクレジットだが、仮に女性団体などから非難を浴びたような場合、その矛先なども2人に分散するから何気に楽なのかも。何れにせよ、カルトなファン層を超えるためには次回作が試金石と云う事で。



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