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Calvaire
変態村 (2004) Belgium / France / Luxembourg 88min.
Introduction 序盤アウトライン
ワゴン車で地方を巡業するシンガーのマルクが、南フランスを目指す田舎道で車のエンジントラブルに見舞われる。そんな中、道端で出くわした奇妙な青年ボリスの案内でペンションに案内されたマルクは、修理工場の手配で足止めを余儀なくされる中、宿の主人バルテルの手厚いもてなしを受けるのだがーー
Various Note メモ
人里離れた村に燻る狂気とその餌食になる主人公の恐怖を描く四面楚歌ホラー。オリジナル脚本は、99年の短篇作品「ワンダフル・ラヴ」でもコンビを組んだロマン・プロタと監督のファブリス・ドゥ・ヴェルツ。過去さまざまなホラー/サスペンス作品への踏襲を公言する監督のヴェルツだが、そんな「ホラー愛」も貫徹する出色の演出などはさて置き、囚われの身になる必然性にも極めて乏しい状況下、どこまでもナイーヴな主人公を描くシナリオには腹立たしさを覚える事も必至。そんな主人公を演じるローラン・リュカのパフォーマンスはなかんずく出色。もどかしさも爆発しそうになるほどの迫真性だったので。

以下、完全ネタバレ。未鑑賞の方はご留意下さい。
自らの作品を「究極のサバイバル・ホラー」と形容する監督のヴェルツだが、まず、四面楚歌を真しやかに謳い上げる為の状況設定がマズイ。偶然迷い込んだ村でエンコによる足止めを食う中、クレージーなバルテルに車のバッテリーで殴り倒される主人公マルクだが、この場面、その直前に車の窓をカチ割られた時点でバルテルへの反撃に打って出るのがごく普通。百歩譲って、その場では一時的に囚われの身になっていたとしても、ベッドや重機に移動させられる局面はもとより、あのイカレオヤジのバルテルをぶちのめす機会など幾らでもあったはず。まぁ、確かに、10人に1~2人くらいは暴力的な反撃に打って出る事も出来なかったりもするのだろうが、要は、そんな少数派の非暴力キャラを主人公にしていたのでは、ヴェルツがインスパイアされた事も明らかな「悪魔のいけにえ」のような絶対的四面楚歌の状況には程遠かったと云う事。アメリカンプロレスにそのまま転職出来そうなレザーフェイスのようなキャラであれば話は別だったが、あのバルテルと云うキャラは、どこからどう見てもただのひ弱なイカレオヤジだったので。
食事で服毒させた上で有無を言わせぬ拘束下に置くような完璧な四面楚歌の状況設定であれば、すすり泣くだけのマルクの姿にも説得力はあったはずだが、女装させられた上にベッドで添い寝させられた時点でも何も出来なかったと来れば絶句させられるしかない。冒頭の老人ホームのシーンなどを見れば、いくらお年寄りとは言え、異性からのアプローチ(しかも、そのお相手の一人はポルノ界では知られたブリジット・ラーエ)を体よくあしらう事も出来ずに嫌悪感を露にするマルクだが、そんな主人公の姿を見れば、実は同性愛者だったと云う見方も出来る所。ただ、マルクが逃げようとしていた事は極めて明らかで、となれば、同性愛の傾向と逃走する為の暴力には関連性なども全くない。一方、僅かながらに「わらの犬」を髣髴とさせる終盤については、主人公がどうしようもなかった事にも肯ける。相手は銃器を構える複数犯だったので。やはり、序盤から中盤に掛けての主人公とバルテルの説得力なきやり取りには悔いを残す。
監督のヴェルツがアンドレ・デルヴォーの「イヴ・モンタンの深夜列車」にインスパイアされたと云うダンスシーンだが、個人的には「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」を連想。何れにせよ、音楽監督のヴァンサン・カエイが自らプレイするあのクロマチックのモチーフ曲はなかなか面白かった。70年代のプログレ的で。監督のヴェルツはベルギー人だが、ベルギーのプログレと云えば、"Machavel"が著名な所。名曲"Rope Dancer"が収録されている"Moonbeams"の見開きジャケはエロス満載のファンタスティックなデザインだったりするが、閉鎖的なお国柄のベルギーでは海外へ輸出するアイテムのエログロ度にはやや無関心と云う傾向も。以前、知人のベルギー人と幾度かCDの交換をした際、スモールパッケージの添付シート記載の僅かな不都合で郵便物を何週間も局留めにされた事があったが、数十カ国の知人と数百の物品交換をした中でもあんな理不尽な経験はベルギーでの一度だけ。いい加減な品物価値の表示にはウルサイ国も少なくはないが、宛先の主にも連絡を取らずに放置されたと云うのもあのベルギーでの一度だけだった。
DVDにボーナス収録された「ワンダフル・ラヴ」と云うヴェルツ監督の未公開短篇の方もかなりエグイ。本編の「変態村」は、主人公のマルクをある女性に見立てる変態男が大挙登場する作品だが、99年の未公開短篇「ワンダフル・ラヴ」の主人公はいわゆる変態女。究極の孤独が生み出した刹那的な情景と云った主題を当てはめれば体よく聞こえるのかもしれないが、要は、何れの作品も社会に強大な悪影響を及ぼすバリバリの変質者が描かれていたと云う事。宣材の解説には「愛の渇望」や「ラヴストーリー」と云った文言も飛び交っているが、その実、気の利いたコピーを当てはめようとする宣伝行為になど虫唾が走るばかり。例えば、ドラマのように自分の身内が陵辱されズタズタにされたような場合、その犯人たる変態男や変態女の行為を同じような論調で美化出来るのかと云う事。レザーフェイスの断末魔を期待するようなフツーのスタンスで楽しめなければ、それこそが正に異常。ホラーオタクが撮ったフツーの猟奇ホラー以外の何ものでもない映像なんだから。



製作スタッフ
Staff
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
監督
Directed by
ファブリス・ドゥ・ヴェルツ
Fabrice Du Welz
ワンダフル・ラヴ(未)
 Quand on est amoureux c'est merveilleux
製作
Produced by
ミカエル・ジェンティル
Michael Gentile
 
エディ・ジェラドン=リュイックス
Eddy Géradon-Luyckx
 
ヴァンサン・タヴィエ
Vincent Tavier
ありふれた事件 (脚本/出演)
 C'est arrivé près de chez vous
エイリアンVSヴァネッサ・パラディ (脚本/出演)
 Atomik Circus - Le retour de James Bataille
脚本
Written by
ファブリス・ドゥ・ヴェルツ
Fabrice Du Welz
* 監督も兼任
ロマン・プロタ
Romain Protat
* 出演も兼任
ジャンヌ・ダルク (出演)
 The Messenger: The Story of Joan of Arc
ワンダフル・ラヴ(未)
 Quand on est amoureux c'est merveilleux
撮影
Cinematography by
ブノワ・デビエ
Benoît Debie
アレックス Irréversible
デス・サイト(未) Il Cartaio
エコール Innocence
編集
Edited by
サビーヌ・ユボー
Sabine Hubeaux
ノー・マンズ・ランド
 No Man's Land (beta editor: Belgium)
美術
Production Design by
マヌ・ド・モールミースター
Manu de Meulemeester
Pâques au tison (2001)
25 degrés en hiver (2004)
衣装
Costume Design by
ジェラルディーヌ・ピクロン
Geraldine Picron
Entre deux mers (1994)
音楽
Music by
ヴァンサン・カエイ
Vincent Cahay
* 出演も兼任
Folie privée (2004)
キャスト
Cast
配役
Plays
関連作品 (抜粋)
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ワンダフル・ラヴ(未)
 Quand on est amoureux c'est merveilleux
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フィリップ・ナオン
Philippe Nahon
Robert Orton 頭の中の指 Les doigts dans la tête
カルネ Carne
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ビジター Les couloirs du temps: Les visiteurs 2
カノン Seul contre tous
クリムゾン・リバー Les rivières pourpres
ザ・コード(未) La Mentale
アレックス Irréversible
ハイテンション Haute tension
ジャン=リュック・クシャール
Jean-Luc Couchard
Boris 銀幕のメモワール Lisa
ブリジット・ラーエ
Brigitte Lahaie
Mademoiselle Vicky 変態夫婦SEX Parties fines
カクテル・セックス 乱れた肌 Cathy, fille soumise
ディーバ Diva
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 Les rivières pourpres II - Les anges de l'apocalypse
ヴァンサン・カエイ
Vincent Cahay
Stan
Le Pianiste
* 音楽も兼任
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