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Die Blechtrommel
ブリキの太鼓 (1979) West Germany / France / Poland / Yugoslavia 142min.
Introduction 序盤アウトライン
1899年、ダンツィヒ。世間知らずの年頃だったアンナが逃走中の放火犯コリャイチェクとの間に女児アグネスを儲ける。第一次大戦を経た1924年、ヴェルサイユ条約によって国際連盟の管理下に置かれる自由都市と化していたダンツィヒで成長したアグネスは、ドイツ人の夫アルフレートとの結婚生活の傍らでポーランド人の従兄ヤンとの不倫関係を謳歌していたが、そんな最中に産声を上げたのが特異な能力を持つ男児オスカルだった。出生の瞬間から成人並みの洞察力を備えていたオスカルは、やがて3歳を迎えたある日、分別のない大人の行動に辟易した事から自らの成長を止めてしまう。以来、歳月を経ても一向に成長しないばかりか、奇声によってガラスを砕いてしまうと云う能力を発揮するオスカルだったが、そんな純真な彼の視線に飛び込んで来たのは、激動の時代を奔走する人々の赤裸々な喜怒哀楽の情景だったーー
Various Note メモ
ヴェルサイユ条約によってドイツから切り離される形となるダンツィヒ(現在はポーランドのグダニスク)を舞台に、激動の時代の情景を克明に描き出すシナリオだが、実はその主軸として描き出されるモチーフは、時代性なども問わぬ大人たちによる普遍的で赤裸々な情景だったりする。主人公オスカルの両親とその従兄によって織り成される三角関係はもとより、終盤でソ連兵のレイプ被害者となる女性が性生活のない寂しさをオスカルに訴えるスポット的な描写、男やもめとなったオスカルの父親と若い継母のモチーフなど、これらは全てその時代背景を置き換えても何らその印象に変化はもたらさぬ痴情的なモチーフばかりだが、激動の時代を背景にする唐突な悲劇的末路で帰結されている為に、否応なしでの説得力と独自のコントラストを生み出しているのである。
無論、そのメインのモチーフのベースとなる激動の時代背景を燻り出す描写でも非凡な輝きが垣間見れる。その筆頭として上げられるのは、ナチ党員らの集会の会場で奏でられるブラスバンドの演奏がオスカルの太鼓に翻弄されるシークエンス。2/4拍子のマーチを奏でるブラスバンドが、そのマーチの拍子割での2拍3連符のリズムを叩き出すオスカルの太鼓に誘導される形で、その2拍3連符を3/4拍子にそのまま置き換える形でワルツを演奏、集会への参加者たちもワルツを踊りだすと云う傑作シークエンスだが、これは、時代の潮流に翻弄される形で個人レベルでのエゴイズムが盲目的なファシズムに転じていたと云う愚かしさに対する痛烈なアイロニーだったと云える。
余談だが、70年代終盤の公開から約20年が経過しようとしていた97年、米オクラホマ州では、キリスト教原理主義者グループの作品に対するクレームを発端に大論争が引き起こされている。それは、97年6月、児童ポルノに該当する問題描写を含むとするクレームを受けたオクラホマ郡地方裁判所裁判官が、レンタル店や図書館はもとより、作品のコピーを所有する個人にまでテープの没収を通達、間もなくしてその声明も取り消されたものの、その押収したテープの返還には同年12月までの期間が費やされていたというもの。しかも、米連邦高裁まで行き着いた後、作品の内容がオクラホマ州法を犯していないと云う最終判決が下されたのは、世紀を跨いでの01年5月の事だった。オスカルと後に継母となる女性のベッドインの描写、そして、その女性の子供が自分の子供だと断言するオスカルのモノローグを記述するスクリプトなどが問題視されたものと推測されるが、その体型は子供ながらも、オスカルの実年齢が超常的な現象によって成人に達していたと説明するシナリオでは、ここでの論争も実に微妙と云った所。
モーリス・ジャールによる特異なスコアも強烈な印象を残す作品だが、91年にリリースされた「ボイジャー/ブリキの太鼓」と云うシュレンドルフ監督の2作品カップリング形式でのオムニバスサントラは、現在ではその入手も不可能に近い。「ブリキの太鼓の組曲」が収録された「モーリス・ジャール作品集(VICP-62460)」と云うCDであれば、06年5月現在、一部の大手ショップでは入手も可能。
2006年8月13日追加:

99年にノーベル文学賞を受賞、左派的思想の著名人として平和運動にも関わっていた原作者のギュンター・グラス氏(78歳)だが、何と欧州大戦の終結から61年、同氏がSSに所属していた事を告白。これは、06年8月12日付のドイツ紙「フランクフルター・アルゲマイネ」での告白だが、9月発売予定の自伝では、その経緯を詳しく書き記しているとの事。ドイツ航空防衛隊に徴兵されていた事を明らかにしていたこれまでのグラス氏の軍歴だが、SSへの入隊は、15歳と云う若年令だった為に潜水艦部隊への志願が叶わなかったその翌年に徴兵されたと云うものらしい。自ら望んだものではなく徴兵されたものだったと云うグラス氏は、同紙に「私は再度、当時何が起きたのか、そして、とりわけ私自身に関して明らかにしたいと思った。この本は出さなければならなかった」と語っている。また同氏は、「入隊していた当時は、ナチスの武装親衛隊に全く嫌悪を感じることはなかったが、後になって、罪と恥ずかしさを感じた」と述べている。



製作スタッフ
Staff
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
監督
Directed by
フォルカー・シュレンドルフ
Volker Schlondorff
つかの間の情熱 Strohfeuer
カタリーナ・ブルームの失われた名誉
 Die Verlorene Ehre der Katharina Blum
とどめの一発 Der Fangschuß
秋のドイツ Deutschland im Herbst
製作
Produced by
フランツ・ザイツ
Franz Seitz
* 脚本も兼任
激戦モンテカシノ
 Die Grünen Teufel von Monte Cassino
テルレスの青春 Der Junge Törless
アナトール・ドーマン
Anatole Dauman
彼女について私が知っている二三の事柄
 2 ou 3 choses que je sais d'elle
愛のコリーダ L'empire des sens
原作と追加台詞
Based on the novel &
additional dialogue by
ギュンター・グラス
Gunter Grass
ギュンター・グラス 女ねずみ Die Rättin (tv)
脚色
Screenplay by
ジャン=クロード・カリエール
Jean-Claude Carriere
昼顔 Belle de jour
ボルサリーノ Borsalino
欲望のあいまいな対象 Cet obscur objet du désir
存在の耐えられない軽さ
 The Unbearable Lightness of Being
チャイニーズ・ボックス Chinese Box
フォルカー・シュレンドルフ
Volker Schlondorff
* 監督も兼任
フランツ・ザイツ
Franz Seitz
* 製作も兼任
青い波紋 Das Schwarz-weiß-rote Himmelbett
撮影
Cinematography by
イゴール・ルター
Igor Luther
とどめの一発 Der Fangschuß
パルジファル Parsifal
ダントン Danton
ドイツの恋 Eine Liebe in Deutschland
編集
Edited by
シュザンヌ・バロン
Suzanne Baron
好奇心 Le souffle au coeur
ルシアンの青春 Lacombe Lucien
アトランティック・シティ Atlantic City
美術
Production Design by
ピエトロ・ドゥジンスキ
Piotr Dudzinski
約束の土地 Ziemia obiecana
ジェリコ・セネシッチ
Zeljko Senecic
突撃バンパイア・レポーター
 トランシルバニア6-5000 Transylvania 6-5000
フェイタル・スカイ(未) Fatal Sky
衣装デザイン
Costume Design by
インゲ・ヒーア
Inge Heer
SFデス・ブロードキャスト(未) La mort en direct
ダグマー・ニーファイント
Dagmar Niefind
O侯爵夫人 Die Marquise von O...
音楽
Music by
モーリス・ジャール
Maurice Jarre
史上最大の作戦 The Longest Day
アラビアのロレンス Lawrence of Arabia
ドクトル・ジバゴ Doctor Zhivago
裸足のイサドラ Isadora
挿入曲
Various Music
Lothar Brühne - song "Kann Denn Liebe Sünde Sein?"
キャスト
Cast
配役
Plays
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