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Brassed Off
ブラス! (1996) UK / USA 108min.
Introduction 序盤アウトライン
1994年、英国ヨークシャー地方。インフレ政策が英国全土を席捲する中、利益を生み出す炭鉱として長らえて来たグリムリー炭鉱も閉鎖に追い込まれようとしていた。そんな中、炭鉱夫を中心に地元の有志で結成するブラスバンドは全英吹奏楽コンペの地区準決勝大会に臨もうとしていたが、バンド運営に要するカンパの捻出にも不自由を余儀なくされていた面々のモチベーションは低下の一途を辿るばかりだった。そんな中、卓越したスキルを持つ女性フリューゲルホーン奏者グロリアの入団によって俄かに持ち直したバンドは、夢にまで見たロイヤルアルバートホールでの決勝大会の切符も手にするが、炭鉱の閉鎖も秒読み状態で迎えた社会の現実はあまりに過酷なものだったーー
Various Note メモ
政府が経済的介入も試みる新自由主義政策の下、閉鎖に追い込まれた140もの炭鉱で延べ25万人の労働者が失業に喘いだ80-90年代の英史をモチーフに、その最後の砦となった田舎町の憂鬱を綴る物語。オリジナル脚本と監督は「ベルボーイ狂騒曲/ベニスで死にそ~」98年「リトル・ヴォイス」のマーク・ハーマン。瀬戸際を迎えた町の情景を投影する吹奏楽団の紆余曲折は、そのペーソスも限りなくリアルなもの。結果的には好景気をもたらす政策ながらも、その資本主義経済における歪の大きさを実感させられる。脚本と監督のマーク・ハーマンは、97年度の仏セザールで「外国映画賞」を受賞。

以下、ネタバレ含みます。未鑑賞の方はご留意下さい。
経済面と健康面でそれぞれの窮地に立たされる指揮者ダニーとその息子フィルのエピソードを中心に描かれるシナリオだが、それぞれを演じるピート・ポスルスウェイトとスティーヴン・トンプキンソンの存在感は正に傑出したもの。四面楚歌の状況を体現するトンプキンソンの演技もピークレベルを超えたものだったが、クライマックスでのピート・ポスルスウェイトのパフォーマンスは、正にベスト中のベスト。脇役を中心とする彼のキャリアも実に信じ難い。そんな彼が演じるダニーと云うキャラクターは、音楽一筋の余生を送る年金暮らしの老人指揮者。窮地に瀕する現役労働者の苦悩も分かち合わず、孤高のスタンスを貫く偏屈な老人にも描かれるダニーと云うキャラクターだが、そんな人物が町の憂鬱を唐突な形で代弁するクライマックスのスクリプトには言葉すら失う所。マーク・ハーマンのポテンシャルの高さが伺える。
以下は、そんな珠玉の名場面で披露されるダニーのスピーチからの抜粋。
「この10年来、政府は産業を破壊してきた。産業だけには止まらず、共同体や家庭生活を、発展の名に借りたまやかしの為に。大勢が職を奪われたばかりか、大会に勝つ意欲や闘う意志までが失われた。しかし、生きる意志すら失ってしまえば、それは最も悲惨です。皆さんは、アシカや鯨の為には立ち上がる。でも、彼らはごく普通に正直で立派な人間です。彼らは大変素晴らしい演奏をします。でも、(そんな素晴らしい演奏にも)一体、何の意味が?」
シリアスなテーマの傍らでは寸鉄でのウィットなども。世界巡業などの経験もないバンドメンバーだが、「巡業先は、ニューヨーク、ロンドン、パリ、そして、グリムリー。でも主要先はグリムリー」と記された自家用バスの広告には爆笑。ユーフォをペットと混同されるハリー(ジム・カーター)の憂鬱を描くダイアローグも傑作だった。
アランフェスのシーンなどではかなり無理のある演奏カットも挿入される映像だが、視覚的に気になるような場合は、卓越したプレーヤー(ポール・ヒューズ)が吹き替えする極上のプレイに耳を傾ければOK。社会性にも富む極上のシナリオでは前代未聞とも云えるアマの吹奏楽がモチーフにされていたと云う事だけでも充分に凄い作品だが、映像にも登場する「グライムソープ・コリアリー・バンド」のパフォーマンスは、そんなシナリオの資質にも遜色のない一級品。吹奏楽ながらも英国内だけで5万部のコピーを売り上げたと云うサントラのヒットにも頷ける秀逸なパフォーマンス。

以下は、俄かな吹奏楽ブームも巻き起こしたと云うサントラのセットリスト。
青字タイトルは、トレヴァー・ジョーンズのオリジナルスコア。
(曲順/邦題/原題/作曲者/〔改行〕メモ)

01. デス・オア・グローリー Death or Glory - R. B. Hall

* 炭鉱労働を映し出す冒頭シークエンスのBGM
02. 悲しきあの日 A Sad Old Day - Trevor Jones
* ペーソスを露出する数箇所のシーンで使用されるトレヴァー・ジョーンズのオリジナル。
03. フローラル・ダンス Floral Dance - K. Moss
* グロリアが登場する練習のシーンでプレイされていた曲。練習に集う面々の様子を捉えるシーンのBGMにも。
04. 必要なもの Aforementioned Essential Items - Trevor Jones
* トレヴァー・ジョーンズのオリジナル。2曲目の「悲しきあの日」がモチーフ。
05. アランフェス「アランフェス協奏曲 第2楽章の主題による」 En Aranjuez Con Tu Amor
(based on the theme from the 2nd movement of "Concerto de Aranjuez") - Joaquin Rodrigo
* グロリアとバンドの手合わせとなる曲。タラ・フィッツジェラルドの吹き替えでフリューゲルホーンのソロを披露するのは、ポール・ヒューズ。
06. 石炭の年 Years of Coal - Trevor Jones
* トレヴァー・ジョーンズのオリジナル。2曲目の「悲しきあの日」がモチーフ。
07. コブラー・マーチ March of The Cobblers - R. Barrett and E. Siebert
* 賞金付きのローカルコンペに参加した面々が披露する曲。云うまでもなく、劇中で描かれる失笑を買うミストーンは未収録。
08. もっと大切なことが… There's More Important Things in Life - Trevor Jones
* トレヴァー・ジョーンズのオリジナル。2曲目の「悲しきあの日」をモチーフにする一連のナンバーでは、13曲目と同様にスローなテンポが特徴。ダニー親子の会話のシーンで使用される曲。
09. クロス・オブ・オーナー Cross of Honour - W. Rimmer
* 投票を皮切りにするシークエンスで使用されるナンバー。
10. エルサレム Jerusalem - Parry and Blake (arr. Herbert)
* ヴェラとアイダがグリムリーカラーにヘアカラーをコーディネートする滑稽なシーンで挿入される著名な賛美歌(ELPもカヴァー)だが、神への不信感を露にするダニーの台詞と同様にキリスト教社会への根強い不信感を露にするシナリオのスタンスが浮き彫りに。
11. フロレンティナ・マーチ Florentiner March - Fucik (arr. Barsotti)
* ロンドン行きの切符を手にする準決勝での披露曲。
12. ダニー・ボーイ Danny Boy - Percy Grainger
* ダニーの入院する病院の中庭でプレイする曲。照明代わりの炭鉱ヘルメットが笑える。
13. きっと… We'll Find A Way - Trevor Jones
* トレヴァー・ジョーンズのオリジナル。2曲目の「悲しきあの日」をモチーフにする一連のナンバーでは、11曲目と同様にスローなテンポが特徴だが、ストリングスが強調される中盤以降の展開が非常に劇的なアレンジ。フィルの葛藤を描くシークエンスのBGM。
14. クロッグ・ダンス Clog Dance - Marcangelo
* ロンドン行きの一行を映し出すシークエンスでのマーチナンバー。個人的にはかなり好き。と云うか、この1曲の為にサントラを買いました。
15. ボギー大佐 Colonel Bogey - Alford
* 誰もが知る著名な曲。グリムリーバンドの2個手前のバンドが披露。
16. オール・シングス・ブライト・アンド・ビューティフル
 All Things Bright and Beautiful - Monk and Alexander (arr. D. Rimmer)

* グリムリーバンドの1個手前のバンドが披露する曲。
17. ウィリアム・テル序曲 William Tell Overture - Rossini (arr. G. J. Grant)
* 優勝を勝ち取るグリムリーバンドが披露するお馴染みのナンバー。コルネットのソロは、ショーン・ランドール。
18. 潔い決断 Honest Decent Human Beings - Trevor Jones
* トレヴァー・ジョーンズのオリジナル。モチーフとなる2曲目の「悲しきあの日」と同様にハープのリフが特徴。
19. 威風堂々 Pomp and Circumstance - E. Elgar (arr. Ord Hume)
* 英国人が"God Save The Queen"に次ぐ第二の国歌とも捉えるお馴染みのエルガー筆。2曲目の「悲しきあの日」で幕を閉じるクロージングの手前に挿入される。




製作スタッフ
Staff
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
脚本と監督
Written & Directed by
マーク・ハーマン
Mark Herman
水の話 プチ・シネマ・バザール 「奇妙な隣人」
 Unusual Ground Floor Conversion
ベルボーイ狂騒曲 ベニスで死にそ~(未)
 Blame It on the Bellboy
リトル・ヴォイス Little Voice
シーズンチケット Purely Belter
スプリング・ガーデンの恋人(未) Hope Springs
製作
Produced by
スティーヴ・アボット
Steve Abbott
ワンダとダイヤと優しい奴ら A Fish Called Wanda
 Blame It on the Bellboy
オックスフォードの恋 American Friends
撮影
Cinematography by
アンディ・コリンズ
Andy Collins
水の話 プチ・シネマ・バザール 「奇妙な隣人」
 Unusual Ground Floor Conversion
リトル・ヴォイス Little Voice
デビッド・コパーフィールド David Copperfield (tv)
シーズンチケット Purely Belter
レジェンド・オブ・アロー Princess of Thieves (tv)
サンダーパンツ! Thunderpants
編集
Edited by
マイケル・エリス
Michael Ellis
戦争のはらわた Cross of Iron
スーパーマン Superman (1978)
リトル・ヴォイス Little Voice
シーズンチケット Purely Belter
ホテル・スプレンディッド Hotel Splendide
ミー・ウィズアウト・ユー Me Without You
美術
Production Design by
ドン・テイラー
Don Taylor
トライアル 審判 The Trial
リトル・ヴォイス Little Voice
スプリング・ガーデンの恋人(未) Hope Springs
衣装デザイン
Costume Design by
エイミー・ロバーツ
Amy Roberts
マダム・スザーツカ Madame Sousatzka
背徳の仮面 Paper Mask
ロンドン・キルズ・ミー London Kills Me
ホワイト・ナイトメア(未) ホワイト・ナイトメア
音楽
Music by
トレヴァー・ジョーンズ
Trevor Jones
暴走機関車 Runaway Train
エンゼル・ハート Angel Heart
リトル・ヴォイス Little Voice
ロザンナのために Roseanna's Grave
フロム・ヘル From Hell
亡国のイージス Aegis
ノッティングヒルの恋人 Notting Hill
演奏
Performed by
グライムソープ・コリアリー・バンド
Grimethorpe Colliery Band
挿入曲
Various Music
Death or Glory - R. B. Hall
Floral Dance - K. Moss
En Aranjuez Con Tu Amor
  (based on the theme from the 2nd movement of "Concerto de Aranjuez")
- Joaquin Rodrigo / Solo Flugel - Paul Hughes
March of The Cobblers - R. Barrett and E. Siebert
Cross of Honour - W. Rimmer
Jerusalem - Parry and Blake (arr. Herbert)
Florentiner March - Fucik (arr. Barsotti)
Danny Boy - Percy Grainger
Clog Dance - Marcangelo
Colonel Bogey - Alford
All Things Bright and Beautiful - Monk and Alexander (arr. D. Rimmer)
William Tell Overture - Rossini (arr. G. J. Grant) / Solo Cornet - Shaun Randall
Pomp and Circumstance - E. Elgar (arr. Ord Hume)
キャスト
Cast
配役
Plays
関連作品 (抜粋)
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