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Der Untergang a.k.a. " Downfall "
ヒトラー ~最期の12日間~ (2004) Germany / Italy / Austria 155min.
Introduction 序盤アウトライン
「ヒトラーの晩年、常に彼の傍らにいた秘書ユンゲと出合った事はショックだった。53000冊にも及ぶ関連書籍は、どれも彼のある側面しか語っていない事が分かったからだ。本当の歴史を理解する為に、そして、隠蔽された真実を多くの人に伝える為に、私はこの映画を撮ったのだーー」 監督オリヴァー・ヒルシュビーゲル
Various Note メモ
ヒトラーの下で総統秘書を勤めていたユンゲ女史(02年に他界)の証言を基に、これまでに挙げられていた数々の事実との符合点が見出されると云う衝撃のシナリオ。ヨアヒム・フェストが脚本と監督を務めた77年度監督作品「ヒトラー」も下敷きにされている。その邦題は、「ヒトラー最期の12日間」と題されているが、その実、ここでは1945年4月30日に死亡したとされるヒトラーのエピソードだけに止まるものではなく、全戦闘終結で合意に至る同年5月8日までのさまざまな群像を克明に再現。実際に、その終盤で描かれるヒトラーに最後まで忠実だったゲッベルス一家のエピソードなどはヒトラーのそれを凌駕しているもので、ゲッベルスがユンゲ女史に遺言の口述筆記を依頼するシーンなどは、ユンゲ女史の体験そのままの出来事だったと捉えれば衝撃以外の何物でもない。
ノンフィクションをモチーフにしながらも劇映画としての整然な脚色も味わえる出色の作品だが、世界各国さまざまな著名紙での意見を異にするその論評も興味深い。以下は、フライヤーに記されていたそれぞれの論評についての個人的所感。
ニューヨークタイムズ紙 (USA)
「戦後初めてヒトラーを注視した映画。実に力のある映画だ。」


生の証言を基に燻り出されるヒトラーの人間像は、正に「注視」と呼ぶにも相応しいもの。その証言を事実として提示する自信にも満ち溢れた演出には「力」が漲る。ストレートながらも的を得た寸評。
エルサレムポスト紙 (イスラエル)
「ドイツはユダヤ人大虐殺の歴史を取り繕い美化している。」


これは如何なものか。劇中でナチスの蛮行を正当化すべくその自論を展開するのはヒトラーとゲッベルスだけ。その「戦時中に国民は存在しない」「弱者を排除出来る者こそが強者」と云ったヒトラーのダイアローグや、ユンゲ女史に語られるゲッベルスの遺言の口述筆記などは、むしろ、その非人間性やエゴイズムを如実に燻り出そうとするもので、行き場を失った他のドイツ人の様子などは、そのナチズムに携わった者の代償として「無条件降伏」しか許されぬ過酷な状況をヴィヴィッドに描き出すもの。このエルサレムポスト紙の視点は、作品に対して向けられたものとは到底思えない。
ターゲスシュピーゲル紙 (ドイツ)
「殺人鬼の人間性を振り返る必要など、どこにあるのだろうか。」


信じられない。これが加害当事国の論評だとすれば正しく危険極まりない。このシナリオでは、国民を蔑ろにするエゴイズムの権化として描写されるヒトラーの人間性だが、ユンゲ女史やグレダ女史に対しての優しさを指して侮蔑しているのであれば、それはお門違いも甚だしい。左手に病的症状を発症するまでに切り刻まれていたヒトラーの精神性だが、ユンゲ女史らに対する優しさも、その精神力を維持する為に確保しなければならなかった最後の砦のオアシスとして必要不可欠なものに過ぎなかったと云う事。端的に云ってしまえば、未曾有のエゴイズムを実践する傍らで飼い慣らされていたペットのような存在である。ユンゲ女史に注がれる「情」などは誰しもが持ち合わせるそれにも等しいものだが、忘れてならないのは、侵攻するソ連に足場を固められぬ為には国民を犠牲にしてまで市街地を廃墟にせよと命じるヒトラーの真意が描き出されていたと云う事。この恐怖の人間性を敢えてカミングアウトしようとするシナリオを指して、その必要性に疑問符を投げ打つなど言語道断。加害当事国のメディアとして恥ずべき論評だと云える。その勢力なども単純に割り切る事も出来ない混沌とする今の時世に於いて、このボケているとしか思えぬズレた視点は、そのメディアの影響力を考慮すれば正しく危険。その責任を認めるスタンスには依存もないのだが。
シュピーゲル紙 (ドイツ)
「切に忘れたい事実を強烈に映し出す偉業は、誰しもが出来るものではない。素晴らしい。」


同じ「シュピーゲル」と云う名前のメディアでもここまで違うのかと。ゲッベルスの秘書官R.ミシュを除けば、既に他界しているその殆どの関係者だが、ヒトラーと妻エヴァの遺体を焼却する際にガソリンを手配したO.ギュンシェなどは03年まで存命してたもので、その決定的な真実を知り得ていた彼の証言などは、その実、知る人ぞ知る「真実」として扱われていたものである。確かに、ヒトラーの側近だった元SS幹部のカミングアウトと云う事では実に微妙なニュアンスだったと云う事情も考慮出来るもので、元総統秘書のユンゲ女史の告白によって急転直下の状況を迎えたと云う事も理解出来るが、何れにせよ、その衝撃の真実を劇場長編として世界に発信すると云う舞台裏には、さまざまな困難もあったはず。実に的を得た論評。
デイリーメール紙 (英国)
「われわれはこの映画を『良い映画』として迎える時期に来ている」


これは、ドイツと云う欧州大戦の加害当事国が然るべき過程を経て現在に至ると云う事を如実に反映。沖縄以外の土地では地上戦には至らなかった日米決戦だが、その日本に置き換えて考えた場合、大戦終結間もなかった時期から「東京裁判」までの期間を、この作品と同一路線で映像化しても説得力がないと云う事。矛盾に満ち溢れた「東京裁判」については、既にドキュメント形式での劇場長編でその真実も明確にされている訳だが、要は、四面楚歌の状況に追い込まれての戦争だったと云うその背景や動機はさて置き、事実として残される加害行為についての真摯な姿勢が国民レベルでどれだけ浸透しているのかと云う事。一部では問題分子の存在も確認出来るドイツだが、その加害当事国としての認識は、教育レベルから徹底されている。
サンクトペテルブルクタイムズ紙(ロシア)
「この映画は凄まじい人々が殺された悲惨な記憶を我々に甦らせ不安にさせる」


スターリングラードの攻防だけでも、双方合わせて100万人を越える犠牲者を出した当事国ならではの論評。「甦らせる」と云う文言だけには止まらず、不安にさせるとまで言わしめるのも、火種を常に抱える世界情勢を如実に物語る。
ソウルタイムズ紙(韓国)
「この監督はあらゆる意味で古臭い伝統を打破している。観るべき1本。」


衝撃の真実をモチーフにしながらも、感傷的なコントラストもバッサリと切り捨てるタイトなシナリオで纏め上げると云うスタンスを指せば、明らかに古典のそれとは違う。子供たちに服毒させるゲッベルス一家や、あの手榴弾2発を食卓で炸裂させるナチス高官一家の末路を描くシークエンスなどは、そのヴィヴィッドな描写も含めて正に掟破りと云えるもの。感傷性をかなぐり捨てたそれらの映像では言葉すら失う。その古臭い伝統とはさまざまな意味を含むものだと思うが、「観るべき作品」とは正にその通り。ユンゲ女史の視点で描かれる衝撃の真実はもとより、医師で士官のシェンク(98年アーヘンで死去)の視点で描かれる映像にも度肝を抜かれる。
冒頭とクロージングで語られるユンゲ女史のモノローグは次の通り。

「今なら私も、若くて愚かだった当時の私に腹が立ちます。恐ろしい怪物の正体に私は気付けませんでした。ただ夢中で何も考えず、秘書の依頼を受けました。熱烈なナチではなかったし、断る事も出来たはずです。『私は総統本部へ参りません』と。でも、好奇心に突き動かされ、愚かにも飛び込みました。思いもよらぬ運命が待っているとも知らずに。とは云え、今も自分を許せずにいます。」

「ニュルンベルク裁判で恐ろしい話は聞きました。600万人のユダヤ人や人種の違う人々が無残に殺されたと。これらの事実は大変ショックでした。でも私は、それを自分と結び付けられず、安心していたのです。『自分に非はない』『私は何も知らなかった』そう考えていました。でも、ある日、犠牲者の銘板を見たのです。『ゾフィー・ショル』彼女の人生が記されていました。私と同じ年に生まれ、私が総統秘書になった年に処刑されたと。その時、私は気付きました。若かったと云うのは言い訳にならない。目を見開いていれば、気付けたのだとーー」
このモノローグに登場するソフィー・ショルと云う人物は、反ナチズムを掲げての抵抗運動を行った「白薔薇」と云う学生グループの紅一点メンバー。その真実の物語は、05年「白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々」として映像化。
1942年11月、東プロイセン・ラステンブルク総統本部「狼の巣」で総統秘書として採用されるユンゲ女史の姿を描く冒頭から、その舞台を欧州大戦終結間際のベルリンに移しての約2週間と云う瀬戸際の光景にスポットの当てられたシナリオだが、未曾有の緊張感に支配された群像をヴィヴィッドに描くスクリプトとド迫力の映像は正に出色。証言を基にするリアルなスクリプトは当たり前のように重い。



製作スタッフ
Staff
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
監督
Directed by
オリヴァー・ヒルシュビーゲル
Oliver Hirschbiegel
ザッピング 殺意 Mörderische Entscheidung (tv)
es [エス] Das Experiment
製作
Produced by
ベルント・アイヒンガー
Bernd Eichinger
クリスチーネ・F
 Christiane F. - Wir Kinder vom Bahnhof Zoo
ネバーエンディング・ストーリー
 Die Unendliche Geschichte
薔薇の名前 Der Name der Rose
バイオハザード Resident Evil
製作総指揮
Executive Producers
クリスティーネ・ロート
Christine Rothe
ディアボリーク 悪魔の刻印(未)
 Der Grosse Bagarozy
原作
Based on the Novel
ヨアヒム・フェスト
Joachim Fest
著書「ヒトラー 最期の12日間」
ヒトラー Hitler - eine Karriere (1977)(監督も兼任)
トラウドゥル・ユンゲ
Traudl Junge
著書「私はヒトラーの秘書だった」
Secretary to Hitler (1999)
Im toten Winkel - Hitlers Sekretärin (2002)
メリッサ・ミュラー
Melissa Müller
脚色
Screenplay by
ベルント・アイヒンガー
Bernd Eichinger
スキャンダラス・クライム
 Das Mädchen Rosemarie (tv)
ディアボリーク 悪魔の刻印(未)
 Der Grosse Bagarozy
撮影
Cinematography by
ライナー・クラウスマン
Rainer Klausmann
彼方へ Cerro Torre: Schrei aus Stein
問いかける焦土(未) Lektionen in Finsternis
es [エス] Das Experiment
愛より強く Gegen die Wand
編集
Edited by
ハンス・フンク
Hans Funck
es [エス] Das Experiment
アナトミー2(未) Anatomie 2
白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々
 Sophie Scholl - Die letzten Tage
美術
Production Design by
ベルント・レペル
Bernd Lepel
鉄の天使 Engel aus Eisen
ウィーンに燃えて Burning Secret
同級生 Get Real
衣装デザイン
Costume Design by
クラウディア・ボブジン
Claudia Bobsin
魔の山(未) Der Zauberberg
ベートーヴェンの甥(未) Le neveu de Beethoven
バンディッツ Bandits (1997)
es [エス] Das Experiment
音楽
Music by
ステファン・ツァハリアス
Stephan Zacharias
ディアボリーク 悪魔の刻印(未)
 Der Grosse Bagarozy
挿入曲
Various Music
When I am Laid in Earth - (Composed by) Henry Purcell
Dido and Aeneas - (Composed by) Henry Purcell
Blutrote Rosen - (Composed by) Hermann Hunemeyer / Alfred Kronkemeier
Davon Geht Die Welt Nicht Unter - (Composed by) Michael Jary / Bruno Balz
Die Blauen Dragoner Sie Reiten - Hans Hertel / G. W. Harmssen
キャスト
Cast
配役
Plays
関連作品 (抜粋)
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Traudl Junge
Herself
(archive footage)
(uncredited)
* 原作「私はヒトラーの秘書だった」の著者
* ノークレジット
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