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日本の黒い夏 冤罪
Darkness in the Light (2000) Japan 119 min.
Introduction 序盤アウトライン
平成七年の初夏、長野県松本市。約一年前に発生した「松本サリン事件」に於ける一連の冤罪報道を検証しようとドキュメント映像の製作にあたる2人の高校生が、ローカルテレビ局を訪問、事件当時のメディアの状況を詳しく知る報道部長の笹野と三人の部下、花沢、浅川、野田からのインタビューを得る形で、当時の様相が克明にフラッシュバックされようとしていた。平成六年六月二十七日の深夜、松本市の閑静な住宅街で発生したその事件は、有毒ガスの中毒症状により七名の死亡者と五百名を越す致傷被害者を出すと云う未曾有の大量殺傷事件だった。警察は、第一通報者の神部俊夫が数種類の薬品を保持していると云う情報から、事件のその翌日にして、被疑者不詳のままでの殺人容疑で神部氏の自宅を家宅捜索、押収した数種類の薬品の中に青酸カリも含まれていた事から、神部氏の手による薬品調合のミスによって引き起こされた事件だったと云う曖昧な仮説をリークしてしまう。一方、日本全国が注目する前代未聞の大事件にスクープを狙うマスコミ各社も、何一つ裏も取れぬままに神部を犯人とする報道を展開、興奮状態にあった世論による非難中傷の矛先が神部宅を直撃していた。そんな中でも独自のスタンスに終始する笹野だったが、やがて、被害者を死に至らしめた有毒ガスが、致死性にして青酸カリの五十倍と云われる「サリン」と云う猛毒性の神経ガスだったと公式発表された事を受けて、医療機関等への独自の聞き込みを展開、その生成は素人でも容易に可能と云った稚拙な情報に惑わされた事から一時は窮地に立たされるも、大掛かりな装備なくしてサリン生成は不可能と云う決定的な見識を得た事で、その報道のスタンスを神部犯人説には懐疑的な方向に軌道修正する。世論を敵に回しながらも視聴率の回復には成功した笹野だったが、殺人犯を庇護するかのような報道スタンスを危惧するスポンサーからの組織上層部への圧力から、その進退をも左右する四面楚歌の窮地に追い込まれてしまう。もはや、一歩も退けぬ状況下にあった笹野は、捜査本部の中心で指揮を執る吉田のもとに自らの足で出向くが、オフレコを条件に笹野が聞かされたその情報とは、神部犯人説とは全く別次元での驚愕の新事実と、体裁の死守に終始する警察組織の腐敗した現状だったーー
Various Note メモ
社会派として知られる熊井監督が「松本サリン事件」の全貌をさまざまな視点から暴いた作品。事件の発生当時、さまざまな写真と活字の閲覧から導き出された感情はと云えば、実在するK氏への怒りだったものである。K氏の冤罪が証明された後には、恥ずかしさで居た堪れない気持ちにもなったが、整然とした形で編集されたこの作品で、現代の魔女狩りと云った事件当時の経緯を目の当たりにすれば、その数多くの稚拙な矛盾点にも愕然とせざるを得ない。被疑者不詳と云う形で行われた殺人罪でのK氏への家宅捜索だが、その捜索が行われたのもその翌日の事で、死因とされた中毒症状の原因も確定せぬままに述べられた見識は、押収した青酸カリと何らかの劇薬の化合物によるものと云う曖昧なもの。しかも、その情報はマスコミにリークされていたのである。
平成十年には冬季五輪を控えていた事や、過去にも例を持たぬような凶悪犯罪だったと云う事からパニック状態に陥った警察組織が勇み足に終始したと云う当時の様相も理解出来なくはないが、せめてもの話として、何故、死因の確定を待てなかったのかと云う歯がゆさを覚える。K氏が槍玉に挙げられてしまったと云う矛盾だらけの混沌とした経緯については、書き述べれば切りもないと云った所だが、劇中でも詳しくは触れらず、非常に気になった事と云えば、未曾有の精神的苦痛に曝されたその後のK氏に対する謝罪の状況である。
多数の死傷者を出した大事件についての取材であるにも拘らず、高校生程度の化学知識とバケツがあればサリンの生成は可能と云った見識を述べた某教授についての責任はさて置き、冤罪報道によって莫大な利益を得ていたメディアは、どのような謝罪をしたのかと云う事。名誉毀損で告訴された後、仮に敗訴しても気休め程度の賠償金を払えば済むと云う日本だが、冤罪が証明された後には、その信頼も回復されたと思われるK氏ながらも、真犯人の供述が取れるまでの事件から約一年と云う期間に於いての遺失利益と慰謝料については、誰がどのように補償したのかと云う事である。
実行犯グループによる事件当時の犯行の模様から被害者の様子までを、生々しく克明に再現したクライマックスには驚かされたが、映画と云うメディアの意義があらゆる側面から全うされていた本作を目の当たりにすれば、報道部長笹野(中井貴一)に投影する形で描き出されたメディアのあるべき姿についても、間違いなく一石が投じられたものと信じたい所。



製作スタッフ
Staff
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
脚色と監督
Screenplay & Directed by
熊井 啓 帝銀事件 死刑囚
海と毒薬
深い河
千利休 本覺坊遺文
原作
Based on the novel by
平石耕一 NEWS NEWS
製作
Produced by
豊 忠雄 フリーズ・ミー
修羅雪姫
プロデューサー
Producers
福田豊治 雀豪烈伝 海に眠る月(ov)
東京原発
新津岳人 ヌードの夜
夜がまた来る
GONIN
製作総指揮
Executive Producer
中村雅哉 月光の囁き
ガラスの脳
カリスマ
企画 猿川直人 助太刀屋助六
うつつ
赤い橋の下のぬるい水
撮影
Cinematography by
奥原一男 生地獄
海は見ていた
新しい風 若き日の依田勉三
編集
Edited by
井上 治 湯殿山麓呪い村
海と毒薬
遠き落日
美術
Production Design by
木村威夫 肉体の門
タンポポ
海と毒薬
音楽
Music by
松村禎三 竜馬暗殺
夢千代日記
海と毒薬
キャスト
Cast
配役
Plays
関連作品 (抜粋)
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野獣の肖像
遠野凪子
島尾エミ お引越し
新仁義なき戦い 謀殺
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北村有起哉
浅川浩司 赤い橋の下のぬるい水
海は見ていた
加藤隆之
野田太郎 雨あがる
LADY DROP レディ・ドロップ
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藤島教授 ラヂオの時間
Quartet カルテット
梅野泰靖
鈴木捜査一課長 網走番外地
ラヂオの時間
平田 満
小田営業部長 蒲田行進曲
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