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血を吸う薔薇
Evil of Dracula (1974) Japan 83min.
Introduction 序盤アウトライン
八ヶ岳の麓。東京の大学で教鞭を執っていた教師・白木が、80年の星霜を数える短期女子大・聖明学園に赴任して来る。駅で往生していた白木は、フランス文学の教師・吉井の出迎えによって学園に送り届けられるが、その途中の道路端で学長夫人も巻き添えで他界したと云う凄惨な跡を残す事故車を見掛けてしまった事で気持ちを曇らせていた。間もなくして対面した学長との挨拶も弔いの言葉から始まってしまった白木だったが、ワインを飲み交わしながらの歓談の最中、病を持つと云う学長から切り出された話は、その学長としての後継者の椅子を用意していると云う唐突なものだった。あまりに性急な展開に戸惑いも隠せぬまま床に就いた白木だったが、そんな彼が学園での初夜に見た夢は、胸元から血を流す女と牙を剥いて襲い掛かろうとする恐ろしい形相の女に追い捲られると云う奇怪なものだった。やがて、数人の女生徒が過去に失踪を遂げていると云う事実を知らされた白木は、自身と同様に次期学長の座を約束されていた教師が精神病院に収容されている事と200年前から当地に伝わると云う妖怪伝説に来るべき暗雲を予感する。そんな最中、原因不明の貧血状態で床に臥していた教え子の一人が怪死を遂げると云う事件が発生するーー
Various Note メモ
ロマネスクとゴシックの香りも漂う和製ヴァンパイア三部作と認知されるそのシリーズ最終作だが、そのコントラストは前作までとはかなり違う。その内容は、新たな赴任先で次期学長に指名された若き教師が、数々の不可解な事件に遭遇する中で、その背後に蠢く恐るべき真相に辿り着くと云うものだが、甦生した女性の遺体が殺戮を繰り返すショッキング・スリラーとでも云うべきシリーズ1作目「幽霊屋敷の恐怖/血を吸う人形」や日本を闊歩する吸血鬼とその標的となった女性との因果の顛末を描く和製ゴシックホラー調のシリーズ第2作目「呪いの館/血を吸う眼」とは違い、拍子はずれした印象すら受けるシュールなモチーフも挿入されるここでのシナリオは、やや濃い目のミステリー色にも満ちたもの。学長=吸血鬼と云うモチーフは序盤から提示されながらも、その人間離れしたヒールとして登場する学長夫妻の目論みが判るのも中盤以降に差し掛かってからの事だが、その前作までとは一線を画したバラエティー性にも富んだ映像は、良くも悪くも、その緊張感を終盤まで強引に継続させている。

以下、ネタバレ含みます。未見の方はご留意下さい。
シナリオのコントラストから映像のアプローチまで全てに於いて異色のシリーズ作だったと云えるが、まず、冒頭のスコアでその異変に気付かされる。チェンバロ+オルガンの二重奏だった「幽霊屋敷の恐怖/血を吸う人形」、チェンバロ+オルガン+フルート+ポルタメントを活かしたモノシンセと云う四重奏(+α)だった「呪いの館/血を吸う眼」だが、ここではスコアの全編からチェンバロが消え去っているばかりか、そのアンサンブルは、ソリストとしてもかなりのアビリティだと思われるフルート奏者のパフォーマンスを前面に打ち出した鍵盤(エレピ)+ウッド+ギター+タイコ(+α)と云うコンボ編成でのモードバリバリのズージャである。ズージャと云えば、乳房も見せる最初の犠牲者・野々宮敬子を演じる「麻里とも恵」さんと云う女優さんは、後年、ジャズヴォーカリストとしてデビューする阿川泰子さんその人。
また、映像の方では、寸鉄の台詞とピンポイントでの爆発的パフォーマンスでアピールしていた前作までのヒールキャラに対して、岸田森さんが演じる本作の学長=吸血鬼のアピール度はかなり露骨なものになっている。そのスクリプト上重要となる学長としてのダイアローグはさて置き、終盤で披露される一連のアクションは、アイアンクローまでが飛び出すアジりまくりのプロレスの様相を呈したもの。劇中、折々の場面で登場する唸り声もかなりしんどい。小学生だった劇場公開当時には、かなりの衝撃だったのだが。全体的にも、仄々としたローカル駅での情景で始まるオープニングや当時の流行を打ち出す女子学生が大挙登場するカットなど、ゴシックとは決別していた事が伺えるカットが満載だが、中盤に差し掛かる辺りでは、何と一杯飲み屋の赤ちょうちんまでがどアップで映し出されている。
ちなみに、ウッドのラケットも懐かしい学園でのテニスのシーンだが、本作が公開された74年7月の頃と云えば、あのビヨン・ボルグが18歳にして全仏を制した直後。クレーを得意とするベースラインプレーヤーでありながら76年から80年までの全英を5連覇するボルグだが、そんなテニスブームの到来を予感させる頃の懐かしいカットである。DVDのコメンタリーでは撮影監督の原一民さんが興味深い話を大挙披露しているが、原さんの話によれば、学園の建物は東工大の学舎で、学長の邸宅外観は北区の旧古川庭園でのロケだったとの事。また、学園を舞台にするシナリオの設定は、製作の田中文雄さんが実現したがっていたと云う梅図かずおさん著作の学園ホラーのテイストを反映したものだったらしい。春闘真っ盛りの頃の撮影だった為に、ピーカン(快晴の事)にも拘らずカメラを回せずイライラしたと云う話も傑作だったが、1作目では殺人鬼を演じていた女優の小林夕岐子さん、2作目では製作の田中文雄さん、そして3作目の本作では撮影監督の原さんと、全く異なる視点で語られるDVDのコメンタリーには格別の味わいがある。
夫婦をテーマにしたと語る山本監督も明らかにコケけてしまったと打ち明けているこの作品、先にも述べたアジテーション満開の吸血鬼をはじめ、学園ドラマを髣髴とさせる複数の女子学生やリーマン根性むき出しのオヤジ刑事、悪代官とつるむ越後屋主人的な計算高いキャラの副学長、更には、砂丘(浜松でのロケ)を彷徨うバテレン(キリスト教伝来当時の宣教師)までが登場すると云う相容れぬカラーのキャラクターはもとより、妖しい雰囲気も充分の地下室のワインセラーを映し出す一方で、一杯飲み屋の赤ちょうちんが映し出される映像など、ごった煮状態のコントラストで描かれている作品だが、71年の英国ハマープロの「ドラキュラ血のしたたり」を参照にしたとも思われる胸元への咬み付きや惜しげもなく乳首を見せてしまうと云うエロティシズムなども注入された画期的な映像だった事にも留意したい所。血しぶきが飛び散る中、顔面の皮を剥ぐと云うマカロニホラー的なゴアな描写もシリーズでは唯一のテイストだったと云える。
苦虫潰した表情に終始する黒沢年男さんはもとより、70年代の典型的しょうゆ顔美人の望月真理子さん、いつもながらのキャラ色を貫く田中邦衛さん、自害を遂げる犠牲者役だった前作を凌ぐ役回りとなった桂木美加さん、慕っていたと思われる学長夫人との絡みも見せて欲しかった佐々木勝彦さん、スポットのカット(1作目はやや長い)ながらも只一人シリーズ全作品に出演する二見忠男さん、そして、怪気炎上げる岸田森さんと云った一様の熱演も懐かしい所。劇場公開時の併映は、フォーリーブスと郷ひろみさんが競演を果した「急げ!若者 TOMORROW NEVER WAITS」。
3作目の本作でシリーズにピリオドが打たれて以来、気骨のある吸血鬼が闊歩するヴィヴィッドな作品なども望めなくなってしまった昨今だが、下手なウィットやロマンティシズムなどとは決別したストレートなホラー路線の和製ヴァンパイア作品を望むファンなども幅広い年齢層で存在しているのではないだろうか。斯く云う自分もその一人なのだが。



製作スタッフ
Staff
関連作品 (抜粋)
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監督
Directed by
山本迪夫 野獣の復活
悪魔が呼んでいる
幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形
雨は知っていた
呪いの館 血を吸う眼
製作
Produced by
田中文雄 野獣の復活
悪魔が呼んでいる
幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形
呪いの館 血を吸う眼
エスパイ
脚本
Written by
小川 英 野獣の復活
悪魔が呼んでいる
幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形
呪いの館 血を吸う眼
エスパイ
武末 勝 野獣の復活
赤線最後の日
呪いの館 血を吸う眼
撮影
Cinematography by
原 一民 幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形
悪魔が呼んでいる
ひめゆりの塔
さよならジュピター
編集
Edited by
池田美千子 日本沈没
エスパイ
八甲田山
聖職の碑
走れ!イチロー
美術
Production Design by
薩谷和夫 HOUSE ハウス
ねらわれた学園
転校生
時をかける少女
音楽
Music by
真鍋理一郎 悪魔が呼んでいる
幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形
ゴジラ対ヘドラ
呪いの館 血を吸う眼
青春の門
助監督
Assitant Director
小栗康平 HOUSE ハウス(助監督)
泥の河
死の棘
眠る男
キャスト
Cast
配役
Plays
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