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Scent of a Woman
セント・オブ・ウーマン 夢の香り (1992) USA 157min.
Introduction 序盤アウトライン
自ら招いたアクシデントにより失明、軍役から退いたフランクは、大統領の側近を務めると云う輝かしい経歴を持ちながらも、退役して久しい現在では、生きる目的を完全に喪失していた。姪夫婦の世話になりながらの自堕落な生活にも潔く終止符を打とうと考えていたフランクだったが、そんな彼のもとに、全米屈指の名門ベアード高校の奨学生チャーリーが訪れる。チャーリーは、フランクの世話をする姪夫婦が旅行に出掛ける週末の数日、フランクの世話を引き受けると云うアルバイトを得ようと面接の為に訪れたのだった。フランクの気難しさに面食らいながらも、週末のアルバイトを承諾したチャーリーだったが、翌朝、ベアード校の校長トラクスの愛車がペンキ塗れにされると云う事件が発生、チャーリーは、同級生らによる犯行を偶然にも目撃してしまう。犯人を明かせばハーバードへの道を約束すると云う校長のトラスクと同級生の犯人たちとの狭間に立たされてしまったチャーリーは、悩み苦しみながらフランクとの週末を迎える事になってしまうが、その二日間と云う僅かな時間が、生涯忘れ得ぬ体験をはらんだ劇的なものになろうとは、この時点での彼には知る由も無かったーー
Various Note メモ
本作でノミネートされた92年度のアカデミーで主演男優賞、ゴールデングローブでは男優賞を獲得したパチーノだが、その過去には、73年の「セルピコ」でゴールデングローブの受賞経験はあったものの、アカデミーに於いては、主演と助演の二つのカテゴリーを合わせれば、72年「ゴッドファーザー(助演)」73年「セルピコ」74年「ゴッドファーザーPARTⅡ」75年「狼たちの午後」79年「ジャスティス」90年「ディック・トレイシー(助演)」に続く7度目のノミネートにしてようやくの受賞だった訳である。その生放送で放送された授賞式の様子は、今でも忘れられない。名前がコールされた場内は流石に騒然となっていたが、注目のスピーチでの彼の表情には誰もが唖然としたはずである。シニカルな台詞にも終始すると云った落ち着いたスピーチになるものと誰もが予想していたからである。パチーノの両親はシシリア移民だが、あのスピーチで見せた歓喜の表情は、喜びを爆発させた南イタリア人そのものと云った所。数多くの作品で名演技を披露して来たパチーノだが、あのスピーチで見せた表情は、役者としてのパフォーマンスをも凌駕する赤裸々なインパクトに満ちていた。正に感動の一幕。
そのオスカーの行方を決定したと云っても過言ではないクライマックスでのフランクのスピーチ、チャーリーが沈黙を貫く事についての正否は判らないと語るフランクだが、場合によっては、同級生による悪い行いを目撃したにも拘らず、黙り込むのもどうかと云ったコントラストにも映ってしまいそうな所。しかし、その実は、正にフランクの云う通り「判らない」ケース、と云うより、第三者には関与出来ないケースだったと云える。何故ならば、一連の騒動は、校長のトラスクと3人の犯人(生徒たち)による単なる民事トラブルだったからである。つまり、証言するもしないもチャーリーの腹一つと云う状況だった訳だが、その証言をチャーリーから引き出せなかったのも、偏に校長のトラスクの人間性に問題があったと云う事で、懲罰委員会と称されてあの会合に列席していた先生方も、大方、アホらしいと思っていたに違いない。現に、フランクのスピーチが終わると同時に結論は出されていたもので、仮に、フランクのスピーチがなかったとしても、正直者のチャーリーが火あぶりにされる事はなかったはず。ただ、その場の空気を味方に付けてしまったフランクのスピーチによって、しち面倒くさいプロセスも割愛されたと云う事なのだが。
それにしても、あのクライマックスは実に爽快。学校長としての権力を振りかざす形で、理不尽極まりのない擬似的な裁きの場が形成されてしまった訳だが、凡人がチャーリーの付添い人にでもなった日には、当事者同士での話し合いによってのみ解決される民事トラブルだと判ってはいても、その場の雰囲気に飲み込まれて判断力も失われてしまっていたはず。結果的には、海千山千の経験を経た人物ならではと云ったフランクのパフォーマンスによって会場は圧倒されてしまう訳だが、同時にフランク自身も再生される訳である。華々しい経歴とプライド、そして、自身の短所が災いしてのトラウマなどが交錯していたフランクと云う人物は、心を閉ざし、殻に閉じこもってしまった事で活路も見出せぬままに自殺にまで追い込まれていた訳だが、正直で純粋なチャーリーとの交流にもまれる形で、思いがけぬ程、容易に再生してしまう訳である。これは、自らのポテンシャルに見合う形で、その力や能力を他人の為に発揮出来れば、快適な居場所は何処にでもあると云う強烈なメッセージと云った所だが、フランクのような波乱に満ちた人生を送ってはいなくても、要は、桜梅桃李、それぞれの個性に見合った活躍の場が、人間同士の交流の中には歴然と存在すると云う事で、殻に閉じこもるばかりでは、どのような素晴らしい資質を持った人物でも疑心暗鬼のドツボに填ってしまうと云う事である。
本作は「娘は魔女」「猿の女房」等のミステリー短編や62年の「ボッカチオ'70」の第1話「レンツォとルチアーナ」の原作著者ジョヴァンニ・アルピーノの小説が下敷きになっているもので、アン=マーグレット主演の「カロリーナ」やソフィア・ローレン主演の「結婚宣言」を監督したディノ・リージによって75年に映像化、そのタイトル"Profumo di donna"も英訳すれば本作と同じだが、本作の場合は、ゴールドマン自身の体験も織り込む形で大幅に脚色されている。92年度のアカデミーでは受賞を逃したゴールドマンだが、同年度のゴールデングローブでは脚本賞を獲得しているもので、カーディーラーと交わす絶妙な話術、人生を左右する重大な局面を迎えるNYでのシークエンス、クライマックスで展開されるド迫力の大弁論、また、その前日までは諦めていたフランクの願いが遂げられる「香り」との出会いなど、正に、その全てのモチーフが忘れられないものばかりである。ガブリエル・アンウォーが登場するタンゴのシークエンスも、主人公のキャラクター性を物語る上では極めて重要。また、全編を彩るトーマス・ニューマンによるクリアなスコアも秀逸極まりない。
ソニー・ピクチャーズからリリースされていたDVDが完売となった後、本作のディスクにはオークション等でも高値が付いていたものだが、当時、LDは持っていたもののDVDは買いそびれていた為にソニー・ピクチャーズに問い合わせをした所、ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパンに権利は移転されたとの丁寧なご回答を頂いた。それから一年くらいは経過していただろうか、04年5月、遂にユニバーサルからリリースされた訳だが、05年7月には廉価版としてリリースされていたりもする。馬鹿にされてしまいそうだが、個人的には、それぞれのリリース時期に1枚ずつ購入している。友人・知人との会話で「何か面白い映画ある?」と云った漫然とした質問を受ける事も多々あるが、この作品が念頭にある為にその返答に困る事もない。



製作スタッフ
Staff
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
製作と監督
Produced & Directed by
マーティン・ブレスト
Martin Brest
ビバリーヒルズ・コップ Beverly Hills Cop
ミッドナイト・ラン Midnight Run
ジョー・ブラックをよろしく Meet Joe Black
製作総指揮
Executive Producers
ロナルド・L.シュワリー
Ronald L. Schwary
スクープ・悪意の不在 Absence of Malice
ハバナ Havana
オヴィディオ・G.アソニティス
Ovidio G. Assonitis
デアボリカ Chi sei?
ラストコンサート Dedicato a una stella
原作
Based on the novel by
ジョヴァンニ・アルピーノ
Giovanni Arpino
novel "Il Buio E Il Miele"
ボッカチオ'70 Boccaccio '70
参考
Suggestion
character from
"Profumo Di Donna"
ルッジェロ・マッカーリ
Ruggero Maccari
マカロニ Maccheroni
ラ・ファミリア La Famiglia
ディノ・リージ
Dino Risi
セッソ・マット Sessomatto
女トラッカー 甘い爆走 Teresa
脚色
Screenplay by
ボー・ゴールドマン
Bo Goldman
カッコーの巣の上で
 One Flew Over the Cuckoo's Nest
ローズ The Rose
ジョー・ブラックをよろしく Meet Joe Black
撮影
Cinematography by
ドナルド・E.ソリン
Donald E. Thorin
愛と青春の旅だち An Officer and a Gentleman
デッドフォール Tango & Cash
編集
Edited by
ウィリアム・スタインカンプ
William Steinkamp
トッツィー Tootsie
3人のゴースト Scrooged
マイケル・トロニック
Michael Tronick
ミッドナイト・ラン Midnight Run
ハドソン・ホーク Hudson Hawk
ハーヴェイ・ロゼンストック
Harvey Rosenstock
パリス・トラウト Paris Trout (tv)
トゥームストーン Tombstone
美術
Production Design by
アンジェロ・P.グラハム
Angelo P. Graham
ナチュラル The Natural
ビバリーヒルズ・コップ Beverly Hills Cop
衣装デザイン
Costume Design
オード・ブロンソン・ハワード
Aude Bronson-Howard
エンゼル・ハート Angel Heart
ミシシッピー・バーニング Mississippi Burning
音楽
Music by
トーマス・ニューマン
Thomas Newman
ロストボーイ The Lost Boys
ザ・プレイヤー The Player
挿入曲
Various Music
* Performed by The Tango Project
Por Una Cabeza - Carlos Gardel
La Violetera - Jose Padilla
キャスト
Cast
配役
Plays
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
アル・パチーノ
Al Pacino
Lieutenant Colonel
Frank Slade
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シー・オブ・ラブ Sea of Love
ゴッドファーザーPARTⅢ The Godfather: Part III
クリス・オドネル
Chris O'Donnell
Charlie Simms フライド・グリーン・トマト Fried Green Tomatoes
バットマン・フォーエヴァー Batman Forever
三銃士 The Three Musketeers
ジェームズ・レブホーン
James Rebhorn
Mr. Trask 氷の微笑 Basic Instinct
ロレンツォのオイル 命の詩 Lorenzo's Oil
不機嫌な赤いバラ Guarding Tess
ガブリエル・アンウォー
Gabrielle Anwar
Donna 三銃士 The Three Musketeers
デンバーに死す時
 Things to Do in Denver When You're Dead
フィリップ・シーモア・ホフマン
Philip Seymour Hoffman
George Willis, Jr. あの頃ペニー・レインと Almost Famous
コールド マウンテン Cold Mountain
カポーティ Capote
リチャード・ヴェンチャー
Richard Venture
W.R. Slade チャンス Being There
ミッシング Missing
ブラッドリー・ウィットフォード
Bradley Whitford
Randy 北京のふたり Red Corner
ニューヨークの恋人 Kate & Leopold
ロシェル・オリヴァー
Rochelle Oliver
Gretchen リアンナ Lianna
さよなら、さよならハリウッド Hollywood Ending
マーガレット・エジントン
Margaret Eginton
Gail 私に近い6人の他人 Six Degrees of Separation
トム・リース・ファレル
Tom Riis Farrell
Garry めぐり逢えたら Sleepless in Seattle
ステップフォード・ワイフ The Stepford Wives
ニコラス・サドラー
Nicholas Sadler
Harry Havemeyer モブスターズ 青春の群像 Mobsters
ツイスター Twister
トッド・ルイーゾ
Todd Louiso
Trent Potter アポロ13 Apollo 13
ザ・エージェント Jerry Maguire
マット・スミス
Matt Smith
Jimmy Jameson Meet the Mosaics
Before She Met Me
ジーン・キャンフィールド
Gene Canfield
Manny シー・オブ・ラブ Sea of Love
グッドフェローズ Goodfellas
フランセス・コンロイ
Frances Conroy
Christine Downes 私の中のもうひとりの私 Another Woman
キャットウーマン Catwoman
ジューン・スキッブ
June Squibb
Mrs. Hunsaker ジョー・ブラックをよろしく Meet Joe Black
アバウト・シュミット About Schmidt
ロン・エルダード
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Karen Rossi キスへのプレリュード Prelude to a Kiss
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