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The Jackal
ジャッカル (1997) USA / UK / France / Germany / Japan 124min.
Introduction 序盤アウトライン
国際的暗殺者ジャッカルが、弟を殺害され復讐に燃えるチェチェンマフィアの首領テレクの依頼を受けて、米FBI長官暗殺に乗り出す。情報をキャッチしたFBI副長官プレストンとロシア情報局のコスロヴァ少佐ら米ロ混合の対策チームは、ジャッカルの情報に精通していると云う収監中の元IRA幹部デクランと接触、実は、デクラン自身もジャッカルとの因縁を抱えた人物だと云う事を知る。やがて、独自のハンティング嗅覚を持つデクランを加えた対策チームは、神出鬼没の暗殺者ジャッカル追跡に乗り出すのだがーー
Various Note メモ
ショーン・コネリー、リアム・ニーソン、マシュー・マコノヒーらの辞退で始まった主役二役のキャスティングだが、ジャッカルとしてのオファーを受けたリチャード・ギアは、ヒーローでなければ出演は厳しいと云う難色を示した為に、後にキャスティングされたウィリスがジャッカルを演じる運びになった。
本作の製作タイトルは73年にフレッド・ジンネマンが監督した「ジャッカルの日」と同一のタイトルだった。実際に「ジャッカルの日」のリメイクとしてアナウンスされた上で製作されていたものだが、ジンネマンとユニヴァーサル・ピクチャーズが深く憂慮した事を受けて同一タイトルでの公開は回避されている。
そのオリジナル版「ジャッカルの日」でジャッカルを演じたエドワード・フォックスは、カメオとしての出演依頼を辞退している。
(注意:以下、完全ネタバレ)

OASとチェチェンマフィアと云う違いこそあれど、それぞれのトップが精鋭部隊を配して篭城した際、郵便局へ出向く手下の一人が捜査当局に捕まり、その拷問の末に「ジャッカル」と云う名前を辛うじて残すと云うモチーフや、強欲が災いしてジャッカルに消されてしまうと云う裏稼業の男達が絡むモチーフなど、リメイクの意図で製作された事も明らかなシナリオである。消されずにジャッカルの信頼を得ると云う裏稼業の人物達もそれぞれに登場するが、その専門分野についての設定は、旧作と本作ではほぼ逆になっている。腹黒い偽造屋が消されてカスタム銃の製造屋は生かされると云う設定の旧作だが、こちらで生かされるのは偽造屋の女で、消されてしまうのはハイテク銃の台座を作る男(ジャック・ブラック)の方である。余談だが、日本版のトレーラーでは、このジャック・ブラック演じる男の末路が判ってしまうものになっているが、本国版のトレーラーには登場していない。
同性愛者の男の登場など、旧作のモチーフは他にも登場するが、双方の作品を比較すれば、その印象は全く違う。要人の暗殺と云うテーマとはパラレルで描かれる伏線としての人間ドラマの設定が全く違うからである。また、何より大きな相違点と言えば、演出のアプローチである。旧作でのジャッカルが見せる行動は、要人暗殺と云う大仕事ではありながらも、使用する武器も警戒厳重な検問突破を想定したステンレス製のカスタムライフル一丁と云う装備で、二枚舌の偽造屋を抹殺する場合に使用する手口も空手チョップと云うリアリズムに満ちたものだったが、こちらの場合、その仰々しい装備と手の込んだ仕掛けは、正にエンタメ性を重視したアプローチ以外の何物でもない。
弟を殺害され激怒するマフィアの首領テレクが、成す術がなかったと愚痴る手下にオノを振り下ろす場面なども、そのミエミエの演出によって意外性が欠落していた為に、「アンタッチャブル」でデニーロ演じるカポネが見せたような衝撃は皆無だったもので、ジャック・ブラック演じるラモントを殺害する場面も然りと云った所。あのド派手な殺戮を演じた事で、ジャッカルともあろう人物が結果的には自らの首を絞める事にもなっていたりもする。旧作でのジャッカルは、不気味な含み笑いの末にボディーブローから頚椎へのカラテチョップ一閃、これだけでジャッカルと云うキャラクターの存在感を知らしめるにも充分と云った演出だった訳である。こちらの作品が視覚的にも「見せる」と云うスタンスに終始していた事は重々承知で、細かい事は気にしなければそれなりに楽しめる事に違いはないのだが、ややこしいのは、見過ごせぬようなポイントが他にも何点かあったと云う事である。
まず筆頭に挙げられると云えば、ブラック演じるラモントを殺害した後に何故、設計図などを回収に行かなかったのかと云う事。結果、犯行で使用される武器の殺傷能力が明らかにされてしまっている訳である。ラモントの死体をRV車共々隠してさえいれば、取り敢えずは証拠の回収に行く必要も無かったのだろうが、野ざらしにしてしまった為に足がついてしまうと云う大失態である。そもそもが、RV車共々フッ飛ばすと云う設定では、証拠隠滅にも手間が掛かるだけと云った所だが、その証拠隠滅すらしていないと云う有様なのだ。旧作でのジャッカルは、僅かな手掛かりをも憂慮する形で、殺害した偽造屋の死体は、ボックスの中に厳重に隠していたものである。
また、カナダから密入国する際にレガッタに紛れ込むと云う場面があるが、ここでは、たった一人のクルーと云うレガッタには有るまじきヨットが、巡視艇のすぐ傍を通っているにも拘らず、疑われもせずに悠々と入国を果してしまう訳である。しかも、互いに挨拶まで交わしていたりする。一般の人物が紛れ込むと云う可能性もあるのかもしれないが、一般のクルーザーがレガッタを競う一団に自ら近づいて行くと云う事も非常に考え難い所。
また「女一人も守れない」と云う台詞が、劇中の数箇所で重要な意味を持つモチーフとして登場するが、これも巧いスクリプトだったとは思えない。これはそもそも、ギアが演じるデクランの過去に起因するものだが、そのデクランの過去についてのモチーフも、聞き手に見せられるものではなく、ややもすれば聞き逃してしまうようなタイミングでポワチエの口をついて飛び出す程度のモチーフだった為に、「女一人も守れない」と云う台詞に深い因縁を実感すると云う事が出来ないのである。ただ、ロシア情報局のヴァレンティーナが殉職する際に絡む台詞でもある為に、ジャッカルが女の子を人質とするクライマックスでは、劇的な印象を与える為の伏線としての役割も果しているが、ヴァレンティーナが殉職する際に絡む「女一人も守れない」と云うラインでは、逆に、ファーストレディーも標的となっている事を悟られてしまうキッカケにもなってしまっている為に、これでは、情緒を揺さぶるモチーフと云うより、むしろ、ドジを踏んだジャッカルと云う歓迎したくもない印象が強調されてしまっていると云った所である。
そのジャッカルが狙撃現場に登場する場面、あのいきなりと云った印象の警官コスプレについては、ジャッカル級のアサシンであれば充分可能と云った芸当なのだろうが、問題はどうやって路上駐車出来たのかと云う事である。事の重大さを認識していないと云う地元警官たちの低いモチベーションは劇中でも描かれているが、式典が狙撃の現場となる事は大分以前から判っていた事で、だとすれば、事の重大さを認識している優秀な捜査関係者による四方八方での検問があったはずではないのだろうか。となれば、車の色が違うと云う事も理由にはならないもので、たとえその車の色が、ショッキングピンクにラメを散りばめたような捜査対象とは全く関係の無い奇天烈極まりのない色であっても、その車種が車種なのだから車内のチェックは必須となる訳である。シナリオの通り、路上駐車に成功してしまえば、その後の展開にも納得は行くのだが。
結果的には重要なキャラクターだった元バスク祖国と自由の闘士イザベラだが、その登場カットも実に唐突な印象である。イザベラとその家族は、ロシア情報局のヴァレンティーナが殉職する前に安全な場所へと避難していたはずだが、どうやってヴァレンティーナの死後間もなくその現場に顔を出す事が出来たのかと云う事だ。そのクライマックスでは、いきなり登場してデクランを助けるイザベラだが、これは、かつては屈指の女戦士だったと云う彼女であれば、その唐突な出没も不思議な事ではなかったと解釈すべき所だったのか。
仰々しい本編とは打って変わり小ぢんまりとした印象ながらも、人情味にも満ち溢れた情緒豊かなラストシーンだが、ここは、もっとスマートにすべきだったように思えてならない。大手柄を立てながらも、実は懲戒も覚悟していたと云うプレストンの侠気を示す情感豊かなシーンなのだが、ここは、相容れぬはずの二人が接近し過ぎると云った印象も否めないもので、緊張感に終始する国際犯罪をモチーフにしていたはずのシナリオが、ホームドラマのようなエンディングで幕を下ろすと云った印象なのである。ダイアローグなどは挿入せずに、暗黙の内に互いの意図も疎通すると云った乾いたシナリオにして欲しかった所。
オープニングとエンドクレジットで流されるサウンドは、本編のスコアを手掛けたカーター・バーウェルによる楽曲ではなく、「レッド・アーミー・コーラス」の"Warsovienne"から「マッシヴ・アタック」の"Superpredators"と云うシークエンスで始まるそのオープニングだが、これにはシビれた。



製作スタッフ
Staff
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
監督
Directed by
マイケル・ケイトン・ジョーンズ
Michael Caton-Jones
メンフィス・ベル Memphis Belle
ボーイズ・ライフ This Boy's Life
ロブ・ロイ ロマンに生きた男 Rob Roy
製作
Produced by
ジェームズ・ジャックス
James Jacks
愛が微笑むとき Heart and Souls
ハード・ターゲット Hard Target
トゥームストーン Tombstone
マイケル Michael
ショーン・ダニエル
Sean Daniel
ケヴィン・ジャール
Kevin Jarre
ハムナプトラ 失われた砂漠の都 The Mummy
マイケル・ケイトン・ジョーンズ
Michael Caton-Jones
* 監督も兼任
製作総指揮
Executive Producers
テレンス・A.クレッグ
Terence A. Clegg
永遠の愛に生きて Shadowlands
サークル・オブ・フレンズ Circle of Friends
ハル・リーバーマン
Hal Lieberman
U-571 U-571
ターミネーター3
 Terminator 3: Rise of the Machines
ゲイリー・レヴィンソーン
Gary Levinsohn
12モンキーズ Twelve Monkeys
レリック The Relic
マーク・ゴードン
Mark Gordon
ブロークン・アロー Broken Arrow
スピード2 Speed 2: Cruise Control
オリジナル脚本
1973 screenplay
ケネス・ロス
Kenneth Ross
ジャッカルの日 The Day of the Jackal
オデッサ・ファイル The Odessa File
原案と脚本
Story & Screenplay by
チャック・ファーラー
Chuck Pfarrer
ダークマン Darkman
ネイビー・シールズ Navy Seals
撮影
Cinematography by
カール・ウォルター・リンデンローブ
Karl Walter Lindenlaub
インデペンデンス・デイ Independence Day
北京のふたり Red Corner
編集
Edited by
ジム・クラーク
Jim Clark
コピーキャット Copycat
マイ・ルーム Marvin's Room
美術
Production Design by
マイケル・ホワイト
Michael White
クリムゾン・タイド Crimson Tide
ザ・ロック The Rock
衣装デザイン
Costume Design
アルバート・ウォルスキー
Albert Wolsky
素顔のままで Striptease
北京のふたり Red Corner
音楽
Music by
カーター・バーウェル
Carter Burwell
陰謀のセオリー Conspiracy Theory
ファーゴ Fargo
挿入曲
Various Music
Ani Difranco - song
Gavin Rossdale - song
Noel Gallagher - Wonderwall
Liam Howlett - Poison
Siouxsie and the Banshees - Superpredators - Metal Postcard
Fatboy Slim - Going Out of My Head
Red Army Chorus - Warsovienne
Massive Attack - Superpredators
キャスト
Cast
配役
Plays
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
ブルース・ウィリス
Bruce Willis
The Jackal ダイ・ハード3 Die Hard: With a Vengeance
12モンキーズ Twelve Monkeys
リチャード・ギア
Richard Gere
Declan
Joseph Mulqueen
真実の行方 Primal Fear
北京のふたり Red Corner
シドニー・ポワチエ
Sidney Poitier
FBI Deputy Director
Carter Preston
リトル・ニキータ Little Nikita
スニーカーズ Sneakers
ダイアン・ヴェノーラ
Diane Venora
Major
Valentina Koslova
ロミオ&ジュリエット Romeo + Juliet
ヒート Heat
マチルダ・メイ
Mathilda May
Isabella 他人のそら似 Grosse fatigue
おっぱいとお月さま La teta y la luna
J.K.シモンズ
J.K. Simmons
Witherspoon ファースト・ワイフ・クラブ The First Wives Club
ボディ・バンク Extreme Measures
リチャード・ラインバック
Richard Lineback
McMurphy ナチュラル・ボーン・キラーズ Natural Born Killers
スピード Speed
ジョン・カニンガム
John Cunningham
FBI Director
Donald Brown
ニクソン Nixon
スターシップ・トゥルーパーズ Starship Troopers
ジャック・ブラック
Jack Black
Ian Lamont ザ・ファン The Fan
ケーブル・ガイ The Cable Guy
テス・ハーパー
Tess Harper
The First Lady クリミナル・ロウ Criminal Law
家族狂想曲 Daddy's Dyin'... Who's Got the Will?
レスリー・フィリップス
Leslie Phillips
Woolburton 愛と哀しみの果て Out of Africa
愛と野望のナイル Mountains of the Moo
スティーヴン・スピネラ
Stephen Spinella
Douglas バーチュオシティ Virtuosity
大いなる遺産 Great Expectations
ソフィー・オコネド
Sophie Okonedo
Jamaican Girl
ヤング・ソウル・レベルズ Young Soul Rebels
GO NOW Go Now
デイヴィッド・ヘイマン
David Hayman
Terek Murad シド・アンド・ナンシー Sid and Nancy
ロブ・ロイ ロマンに生きた男 Rob Roy
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