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Matando Cabos
カクタス・ジャック (2004) Mexico 99min.
Introduction 序盤アウトライン
メキシコ・シティ。泣く子も黙る町のボスとして君臨する鉄鋼王カボスの下で働くジャックは、カボスの娘ポーリーナと交際していたが、あろう事かカボスの自宅でベッドインする中、その濡れ場をカボスに目撃された事から半殺しの目に遭う。後日、ポーリーナとの交際をきちんと説明すべくカボスのもとを訪れたジャックだったが、カボスはジャックの来訪を襲撃と早合点。ジャックを返り討ちにしようとゴルフクラブで殴り掛かろうとしたカボスだったが、ゴルフボールを踏んずけて勝手に転倒、意識を失ってしまう。予想外の展開に狼狽したジャックは、気絶するカボスを残して同僚で親友のムドを呼びにその場を離れるが、何とその間、会社ビルの掃除夫でカボスの元朋友ナチョが横たわるカボスの前に出現。兄弟の契りまでを結びながらカボスに裏切られた過去を持つナチョは、意識を取り戻そうとしていたカボスをモップで一閃、身包み剥がした上でカボスになりすまして会社ビルを後にしようとする。一方、20年に亘りカボスに虐げられていた父親ナチョの恨みを晴らすべくカボスの身代金誘拐を企むナチョの息子ボチャは、退社時間を見計らいカボスが現れる駐車場で息を潜めていたが、何とそこに現れたのは、カボスになりすましていた実の父親のナチョ。実の父親とは気付かずに背後から襲撃するや否や、その頭部を袋で包んだまま拉致してしまう。一方、身包みを剥がされたカボスの姿に疑問を抱きながらも、その図体を屋外に運び出すハメとなったジャックとムドは、短気なカボスの逆鱗にも触れる事のない自然な状況設定をお膳立てすべく奔走するが、やがて2人を待ち受けていたのは、さまざまな人物の運命をピンポイントで手繰り寄せる一つのシュールな顛末だったーー
Various Note メモ
行き当たりバッタリのようにも思えるモチーフを、あたかも必然の様相で手繰り寄せるクライムコメディ+サスペンス。入り乱れているようにも思える主要キャストも、実は直接的に絡み合わせる一枚岩のシナリオ。タランティーノが引き合いに出される事もあったようだが、ポリフォニックなモチーフの複合技だった「パルプ・フィクション」などとは印象もかなり違う。強引な顛末ながらも妙に釈然とさせられる一遍。因果を踏んでの強引なピリオドとなるクライマックスのウィットも格別。魅力あるキャストも印象的。主演のトニー・ダルトンやペドロ・アルメンダリス・Jrをはじめ主要キャストの全員が絶妙な印象を残す。オリジナル脚本は、劇場長編初メガホンとなるアレファンドロ・ロサーノ、出演も兼任するトニー・ダルトンとクリストフ・ラチンスキの三者による共同執筆。

以下、完全ネタバレ。未鑑賞の方はご留意下さい。
義理の父親になるかもしれない凶暴な人物を下着姿のまま車のトランクに押し込むハメとなった主人公一派と、その凶暴な人物の代わりに誤って実の父親を拉致誘拐してしまった誘拐犯一味が、必然とも思えぬ接点を経て怒涛の結末に向うまでの顛末を描くシナリオだが、カボスと云う一人の人物で利害を共有していた事を挙げれば、両者の接点も必然的だったようにも思える所。ところが、実は全然そうじゃない所がこのシナリオの面白さ。主人公らが下着姿のカボスを無事に解放する一方、誘拐した男が実の父親だったと云う事にボチャが気付いていれば(あるいは、誘拐する時点で気付いていれば)、何ら騒ぎにもならなかったと云う事。何が一体この破天荒な顛末を生み出していたのかと云えば、以下、それぞれの事情を抱える2つの人脈に割って入るお騒がせな登場人物らの面々。
緑と白のツートンワゴンを転がす逆上男。
この男に追突された事でジャックの車のトランクが損傷。終盤、誘拐犯一味のニコとルラがトランクを開けられなかった事で悲劇の顛末に。トランクを開けてカボスの身柄を拘束出来ていれば、ジャックとムドと云う主人公ペアは完全に蚊帳の外だった。トランクを開けられずに往生する中、ルラに罵声を浴びせられたばかりか、伝説のルチャリブレ「マスカリータ」に一蹴されたニコはホントに哀れ。フィニッシュホールドもコンクリートの路上でのパイルドライバーだったので。

伝説のルチャリブレ「マスカリータ」ことルベン(ホアキン・コシオ)
ムドの朋友でジャックも顔見知りと云う設定で登場するこの人物、義侠心にも厚い正義のキャラクターとして描かれているが、そもそもこの人こそが下着姿のカボスを自宅に送り届けると云う遠回りなプランの発案者。お騒がせ人物と呼ぶには相応しくない訳だけど。序盤、ドラッグでラリった姿も描写されているが、あの正体不明の女宇宙人一味や狼男?、MJのスリラーに登場するようなゾンビ軍団(太めだったが。しかも襲っている相手は老婆だったし。)などが登場するシークエンスはご愛嬌と云う事で。

小鳥を溺愛するガンマニアの男
結果的には、ボチャの銃口に曝されたジャックとムドの命を助ける迷惑男。何らかの局面で絡む事も容易に予測出来たキャラながらも、問題の当日に限ってあれだけ厳重な部屋の施錠が解かれていた辺りはやや疑問。

“人食い”トニー(シルベリオ・パラシオス)
カボス夫人のガブリエラ(ジャクリーヌ・ヴォルテア)

逃げ出す際のレスラーパンツとシューズが笑えるトニーだが、一方のガブリエラは相当なお騒がせキャラ。誘拐犯ボチャ(ラウル・メンデス)の満を持しての第一案(電話による脅迫計画)を頓挫させたのもこの人だったので。アヴァンギャルドにも思えるこの両者の刹那的なロマンスの情景は、帰結に向けての何気に重要なモチーフ。そもそもの事の元凶と云えば、ボチャの父親ナチョ(ペドロ・アルタミラノ)が、冒頭で気を取り戻そうとしていたカボスに成り代わったと云う事。そんな人物が、女房を寝取られたカボスに一撃を食らうクライマックスは、ある意味、物語り全体の因果を踏んでの然るべき結末と云った所。

ボチャの父親ナチョ(ペドロ・アルタミラノ)
顛末を踏まえれば、お騒がせの元凶だったとも云える人物ながらも、よくよく考えてみれば、この人もカボスに対する20年に亘る積年の恨みを晴らしただけに過ぎなかったキャラクター。カボスに間違われてボコボコにされた挙句、膝までを打ち抜かれて指までも切断、更には息子ボチャ(誘拐犯)も他界と散々な目に遭っているが、となれば、今度はカボスに対するナチョの復讐を綴る続編に期待するしかないのかも。冒頭の回想シーンでカボスに半殺しにされるあの中国人シェフ・チーノ(テロップ終了後にも登場)や誘拐犯一味のニコ(グスターボ・サンチェス・パッラ)とチームを組めば説得力も充分。ちなみに、チラシなどの日本版宣材ではボチャの父親「ナチョ」の名前と中国人シェフ「チーノ」の名前が間違って紹介されている。

カボスの娘ポーリーナ(アナ・クラウディア・タランコン)
この人の責任も間接的にはかなり重大。誘拐犯一味のルラ(ロシオ・ベルデホ)と繋がっていた事は仕方のない所。問題は、そもそもの開始点で主人公のジャックを自宅に引き入れていたと云う事。カボスが意識を失ったのも、ボコボコにしたジャックの来訪を襲撃と勘違いし、返り討ちにしようとした最中でのアクシデント。ただ、誘拐されようとしていたカボスの窮地を救ったと云う見方も出来る訳だけど。
シナリオと云う代物は、どのような作品でもタラレバで展開すれば如何様にもなってしまうもの。ただ、これも全ての人物を強引に絡み合わせていたシナリオだったからこその醍醐味。必然的なモチーフを整然と組み合わせたシナリオでは、その選択肢もかなり狭い。クライムアクション系のドラマでここまでIF~の面白味が満喫出来る作品もそうざらにはないはず。メキシコ映画ならではのダイナミズムを彩る挿入曲とスコアも抜群のセンス。低音レンジが唸りを上げる一発目の挿入曲で釘付けに。



製作スタッフ
Staff
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
監督
Directed by
アレファンドロ・ロサーノ
Alejandro Lozano
Guzman huerta (2002)
Sultanes del Sur (2007)
製作
Produced by
ビル・ロヴサール
Bill Rovzar
Scriptfellas (1999)
Kilómetro 31 (2006)
Sultanes del Sur (2007)
フェルナンド・ロヴサール
Fernando Rovzar
製作総指揮
Executive Producer
アレクシス・フリッドマン
Alexis Fridman
Kilómetro 31 (2006)
脚本
Written by
アレファンドロ・ロサーノ
Alejandro Lozano
* 監督も兼任
トニー・ダルトン
Tony Dalton
* 主演も兼任
クリストフ・ラチンスキ
Kristoff Raczynski
* 出演も兼任
撮影
Cinematography by
フアン・ホセ・サラビア
Juan Jose Saravia
Avalon (1996)
Santo al cielo (2001)
Guzman huerta (2002)
Feliz cumpleaños (2006)
Sultanes del Sur (2007)
編集
Edited by
アルベルト・デ・トロ
Alberto de Toro
Ausencias (2001)
Escalera al cielo (2002)
Nicotina (2003)
Ciudado con el tren (2004)
Kilómetro 31 (2006)
美術
Production Design by
ミゲル・アンヘル・アルヴァレス
Miguel Ángel Álvarez
Libre de culpas (1996)
Pachito Rex - Me voy pero no del todo (2001)
Y tu mamá también (2001)
Bordertown (2006)
衣装デザイン
Costume Design by
マレーナ・デ・ラ・リーヴァ
Malena De la Riva
¿Y cómo es ÉL? (2001)
Asesino en serio (2002)
Fuera del cielo (2006)
El Bufalo de la noche (2007)
音楽
Music by
サンティアゴ・オヘダ
Santiago Ojeda
Camino largo a Tijuana (1991)
Bandidos (1991)
Ámbar (1994)
Perfume, efecto inmediato (1994)
Una de dos (2002)
El Tigre de Santa Julia (2002)
挿入曲
Various Music
Leave Me - The Primos
Car Chase - Plastilina Mosh
Camel de Sevilla - Ultrasonicas
Un Millonario Mas - Manolo Munoz
La Sirenita - Shajatos
Un Hombre y Una Mujer - Hermanos Castro
Que No Quede Huella - Shajatos
Mas Caliente Que El Sol - Fobia
No Puedo Estar Sin Ti - Shajatos
Cambia Cambia - Dug Dug's
Cabos Ofendido - Giacoman
Cabos Cornudo - Giacoman
Bizco's Revenge - Lost Acapulco
The Nutcracker op.71 act 13 Waltz of the Flowers - The Orchestra of the Royal Opera House, Convent Garden
9a Sinfonia de Beethoven 4o.movimiento - Boston Simphony Orchestra
17 Anos - Los Angeles Azules
La Reina de Polanco - Letra Alejandro Lozano
Todos Somos Dj's - (written by) Lozano/Greiner
キャスト
Cast
配役
Plays
関連作品 (抜粋)
Related Works "excerpts"
トニー・ダルトン
Tony Dalton
Javier
a.k.a. Jaque
* 脚本も兼任
Minotaur (1997)
Scriptfellas (1999)
El camino de las ceibas (2001)
Volver, volver (2005)
Mujer alabastrina (2006)
Efectos secundarios (2006)
Sultanes del Sur (2007)
アナ・クラウディア・タランコン
Ana Claudia Talancón
Paulina Cabos アマロ神父の罪 El crimen del padre Amaro
スウェー★ニョ(未) Sueño
ペドロ・アルメンダリス・Jr
Pedro Armendáriz Jr.
Oscar Cabos 死の追跡 The Deadly Trackers
大襲来!吸血こうもり Chosen Survivors
大地震 Earthquake
刑事コロンボ 闘牛士の栄光 Columbo: A Matter of Honor (tv)
戦争の犬たち The Dogs of War
エビータ Evita Peron (tv)
007 消されたライセンス Licence to Kill
アミスタッド Amistad
マスク・オブ・ゾロ The Mask of Zorro
ザ・メキシカン The Mexican
レジェンド・オブ・メキシコ デスペラード Once Upon a Time in Mexico
アマロ神父の罪 El crimen del padre Amaro
レジェンド・オブ・ゾロ The Legend of Zorro
クリストフ・ラチンスキ
Kristoff Raczynski
Mudo * 脚本も兼任
Vivo por Elena (1998) (tv)
Ramona (2000) (tv)
ラウル・メンデス
Raúl Méndez
Botcha レジェンド・オブ・ゾロ The Legend of Zorro
Kilómetro 31 (2006)
ホアキン・コシオ
Joaquín Cosio
Ruben
a.k.a. Mascarita
Una de dos (2002)
Sin ton ni Sonia (2003)
グスターボ・サンチェス・パッラ
Gustavo Sánchez Parra
Nico アモーレス・ペロス Amores perros
メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬
 The Three Burials of Melquiades Estrada
ロシオ・ベルデホ
Rocío Verdejo
Lula Padres culpables (2001)
Calvario (2003)
Mosquita muerta (2006)
Rímel (2006)
シルベリオ・パラシオス
Silverio Palacios
Tony
a.k.a. El Canibal
レジェンド・オブ・ゾロ The Legend of Zorro
Sultanes del Sur (2007)
ジャクリーヌ・ヴォルテア
Jacqueline Voltaire
Gabriela Cabos ホーリー・マウンテン The Holy Mountain
砂の惑星 Dune
ビバリーヒルズを乗っ取れ! The Taking of Beverly Hills
アライバル 侵略者 The Arrival
ペドロ・アルタミラノ
Pedro Altamirano
Nacho
(Papa de Botcha)
ロミオ&ジュリエット Romeo + Juliet
マスク・オブ・ゾロ The Mask of Zorro
ラビナス Ravenous
コラテラル・ダメージ Collateral Damage
レジェンド・オブ・ゾロ The Legend of Zorro
サミュエル・ルー
Samuel Loo
Concinero Chino Sin ton ni Sonia (2003)
Extorsión (2006)
ノーマン・ソトローニョ
Norman Sotolongo
Vecino Choo Piedras verdes (2001)
Nicotina (2003)
ホセ・アンヘル・ビキール
José Ángel Bichir
Ulises Familia tortuga (2006)
アレハンドロ・ハラン
Alejandro Galán
Juan レジェンド・オブ・ゾロ The Legend of Zorro
メアリー・パズ・マータ
Mary Paz Mata
Tere ストリーターズ(未) De la calle
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製作年度別一覧 Production Year's List
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