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Departures
おくりびと (2008) Japan 130 min.
Introduction 序盤アウトライン
所属するオーケストラが解散する中、チェロ奏者の大悟が妻の美香と共に東京から郷里の山形へUターンする。就職に迫られた大悟は、求人折込で「旅」のお手伝いと正社員で高給保証を謳う会社に足を運ぶが、何とそこは、故人の「旅立ち」を手助けする「納棺師」と云う名の仕事だった。抵抗を覚えながらも、社長の佐々木に押し切られる形で入社した大悟は、案の定、死臭漂う初仕事で散々な目に合わせられるが、やがて目の当たりにしたのは、個人の尊厳を守りその遺体に命を吹き込む「納棺師」の崇高な仕事ぶりだった。そんな仕事に魅了された大悟は、社長・佐々木の片腕として邁進する日々を送るが、故人を食い物にするかのような世間での心無き風評にも晒される中、遂には理解も得られぬまま夫婦別居にまで追い込まれてしまうーー
Various Note メモ
父親に捨てられた過去を持つ主人公の心の旅立ちを描く。旅先で納棺師の仕事ぶりを目の当たりにした主演・本木雅弘のアイディアを起点に、放送作家の小山薫堂が劇場長編のために始めて書き下ろした一遍。音楽は、宮崎アニメやCMナンバーでもお馴染みの久石譲。アカデミックな内容ながらも、田舎の風土を連想させるテーマモチーフは抜群のインパクト。監督は「木村家の人びと (1988)」「病院へ行こう (1990)」「秘密 (1999)」「バッテリー (2006)」の滝田洋二郎。
主演は「シコふんじゃった。(1992)」「GONIN (1995)」「夜の上海 (2007)」の本木雅弘。主な共演は「秘密 (1999)」「WASABI (2001)」「Little DJ 小さな恋の物語 (2007)」の広末涼子、「ヌードの夜 (1993)」「GONIN2 (1996)」「茶々 天涯の貴妃(2007)」の余貴美子、「あいつと私 (1961)」「ダブルベッド (1983)」「佐賀のがばいばあちゃん (2006)」の吉行和子、「半落ち (2004)」「武士の一分 (2006)」「歓喜の歌 (2008)」の笹野高史、「白蛇抄 (1983)」「ポルノスター (1998)」「草の乱 (2004)」の杉本哲太、そして「天国と地獄 (1963)」「赤ひげ (1965)」「マルサの女 (1987)」「雪に願うこと (2005)」の山崎努。

以下、完全ネタバレ。未鑑賞の方はご留意下さい。
やはりここでの大きなポイントは、「納棺師」と云う名のキャラを中心に据えるそもそものシチュエーション。転職間もなくして日当2万円を支給される高給取りながらも、「まともな職業に付けよ」などと世間から揶揄される仕事と云うのも今どき珍しいと思うが、そもそもの話、この一遍に詰め込まれた情緒豊かなモチーフなども、世間での風評とその真実のギャップがここまで広い職業を底辺に据える脚本ならではのもの。チェロ一本に1800万円をつぎ込む主人公(本木雅弘)の暴挙にも動じぬあの寛容この上ない良妻(広末涼子)にして、遺体に接する職業を「汚らわしい」とするセリフには衝撃も受けてしまうが、納棺師の真実とその晴れ姿を知らぬ近親者にとってはこの辺りもごもっとも。大爆笑トーンながらも、納棺師の仕事ぶりを端から見せられていたオーディエンスにしてみれば、世間や良妻から侮蔑される主人公の姿にはかなりヘコまされるが、そんな我慢も暫しの間。やがては、全てが円満に帰結される訳だが、その内容があまりにも素晴らしい。
のっけから爆笑させられるイントロは絶品だったが、そんなゲイの息子に対して厳しく接した事を悔やむ父親の姿や、別場面での愛娘を不良に育て上げてしまった両親の後悔、社長の佐々木(山崎努)と主人公が遅刻した先で遺体に化粧を施すシーンなど、随所で見せる人間模様も見事なもの。その極め付けは、大悟を侮蔑していた同級生(杉本哲太)の母親(吉行和子)が火葬に付されるシーン。近隣の住民のために二束三文での銭湯経営に懸命だった母親がある日突然他界する訳だが、銭湯の常連で火葬場職員の母親の友人(笹野高史)による火葬間際でのセリフはかなりの衝撃だった。死別する事は別れではなく、新たな旅立ちであるとする内容も、仏教を信仰する者にしてみれば当たり前とも言えるものだが、要は、輪廻をモチーフにする劇中のダイアローグにして、かつてここまでインパクトあるシーンがあったかと云う事。他界する母親については、死の直前まで懸命に働いていた事が強調されるスクリプトだが、そんな与えられた寿命を全うする人物との死別を指して新たな旅立ちとするスクリプトは、安易な自殺者も後を絶たぬ不条理な世相に対するアンチテーゼにも思えてならない。
そんな生命論も一神教に代表されるような宗教観とは一線を画する訳だが、となれば、あのオスカー受賞もただ事では済まされない。正直、シリアスかつ重厚な対抗馬が目白押しだった中、個人的には不安定な世相が考慮されてのおこぼれ受賞だったなどと勘ぐったりもしたが、現実に鑑賞してみればビックリ仰天。ここでの情緒を鷲掴みにされるような脚本には、宗教観や文化チャネルを越えての掛け値なしでの感動があったに違いない。父親へのわだかまりを払拭させるクライマックスも凄い。「石文」が物語る息子への直球勝負での愛おしさと慙愧の念だが、「愛していたなら何故捨てた?」などと、もはや考える必要があるだろうか。父親との離別を余儀なくされた三十年の月日は、主人公にとっては如何ともし難いようにも思えるものだが、実際、成長した自分が居るのも親が居たからこそ。終盤、余貴美子さんのセリフを始め、スキだらけで煩悩まみれの人間模様も赤裸々に描かれるスクリプトだが、そんな無責任すぎる人間描写の中にあって、形はどうあれど、家族の絆を死守した脚本はマジで素晴らしい。殺伐とした世の中、この辺りを希望と呼ばずして何と言えようか。
素直に泣かせられたし、笑わされた。個人的には生涯の記憶に残る一本。



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